六月を意味する「ユーニ」と名付けられた孤児院育ちの少女が、名門男子校へ通うところからお話は始まります。
連作短篇形式で紡がれる物語は、一話一話が丁寧に描かれていて好感がもてます。なかでも1話目の「六月の入学」はキャラクター、謎の配置がバランスよく、ぐっと作品世界に引き込まれる良作でした。
話数を重ねるごとに、ユーニと同室のクルト、また周囲の人々のキャラクターに厚みが増し、生き生きと描かれています。ユーニの少し抜けたところと、クルトの素直じゃない部分がかわいいですね。
最大の謎である、主人公の入学の理由は10話目の「六月と円舞曲」でもまだ明らかになっておらず、続きも楽しみです。クルトのお姉さんへの態度の謎も、いつか明かされるのでしょうか。
日常の謎系のミステリーが好きな人に、おすすめしたい作品です。