真夜中にお腹を空かせた迷える子羊達を迎え入れるのは元魔王が営業するカフェ。もう一度言おう、店主は元魔王である。というか魔王である。
裸足で逃げ出したくなる恐ろしい外見に反して店主が出す料理は温かく、夜風と空腹に身を震わせた人々を優しく包み込む。一口食べれば目の前の怖い魔王のことなど頭から吹っ飛び、店主が腕を振るった絶品お夜食に舌鼓を打つことだろう。使用されている食材に一抹の不安が残るが、美味しい食事の前で気にしている余裕はない。
丁寧な料理の描写は読んでいるだけで涎が出てきて、客と店主(魔王)とのコミカルな掛け合いに腹筋はマッハ。貴方のお腹に空腹と笑いのダブルパンチが容赦無く襲いかかる。
読み易く楽しく、読了後には腹の虫が唸り声を上げていることだろう。
真夜中に読んではいけない真夜中のための飯テロ小説。
さあ、貴方も素敵なカフェで魔王様特製の絶品お夜食をご賞味あれ。