聞いた方が先に言うべきだわ

「流れ星に何を願いますか」で始まって、「君が目覚めるまでは」で終わる物語

ウィル視点のお話です。


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「流れ星に何を願うの?」

「決まってるわ、ウィルトールの――」

「俺?」


 夜空を仰いでいたきみが振り返った。その頬は見る間に赤く染まっていく。

 続く言葉をしばらく待ってみるが、彼女の口はただぱくぱくと開いては閉じてを繰り返すだけ。


「俺の、何?」


 視線を絡ませたまま小首を傾げてみれば、少女はいよいよ慌て出した。


「だから、あの……、そ、そういうウィルトールこそ、願いはなんなの?」

「俺の願い?」

「聞いた方が先に言うべきだわ」


 眉尻を上げまっすぐ見上げてくるアデレード。腰に両手を当て、唇を尖らせる可愛らしい様にはつい苦笑が漏れそうになる。

 だが思案気に拳を口に当てた。今貼りつけるべきはあくまで〝困ったような〟笑み。


「参ったな。願い事はと聞くし」

「え!?」


 少女が口許くちもとをぱっと手で覆った。

 驚愕が過ぎると次にきたのはどうやら怒りのようで、その後は「ウィルトールひどい!」「お願いが叶わなくなるところだったじゃない!」とまるで悪人扱いだった。堪えきれずに破顔し、あとは素直に謝罪の語を口にした。




 星はきっと手に入るだろう。望んだものと手にしたそれは始めは違うかもしれないけれど。たとえ差があろうとも、歩み寄りは可能なはずだから。


 ならば俺はよき〝兄〟でいよう。

 夢見るきみが目覚めるまでは。






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「流れ星に何を願いますか」で始まって、「君が目覚めるまでは」で終わる物語


診断メーカーで出したお題を元に書いたssでした。

「あなたに書いて欲しい物語2」

https://shindanmaker.com/828102


ご高覧くださりありがとうございました!

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