under the bed

財布を開けた途端、コインが1枚躍り出た。


「わっ⁉︎」


掴もうとしたが失敗し、コインはベッドの下に転がっていってしまった。


ベッドの下を覗いてみた。暗くてよく見えない。


スマホのライトを点けてみた。良かった、はっきり見える。


埃や髪の毛だらけの空間に、銀色のコインがぽつんと転がっていた。


ここってこんなに汚かったんだ。たまには掃除しなきゃ…


そう思いつつ、今はとりあえずコインを拾おうと思いっきり手を伸ばす。


もうちょい… もうちょい…


人差し指と中指をコインに乗せる。よし、取れた!


あとはこのまま腕を引き出すだけ…


痛みを感じた。


床の上に横たえた頭を、ものすごい力で押さえつけられていた。


温度のない、なにか。

ぐわあああああという声を上げながら、私の頭をひたすら床に押し付ける。床がきしむ。徐々にへこんでいく。頭がギンギンいう。骨がみしみしいうのが聞こえる。


やめて、やめて、割れちゃう。床も頭も。


はっと気付いた。


私は片手にライトを点けたままのスマホ、もう一方の手にコインを握ったまま、ベッドのそばに倒れていた。少しの間意識を失っていたらしい。


慌てて起き上がる。ぎょっとした。


私が頭を置いていた箇所は、重いものが置かれていたかのようにへこんでいた。ひびもいくつか入っている。


慌てて洗面所に行って鏡を見てみたら、髪に埃がついていた以外特に異常はなかったけど、念のため病院に行ってみた。でも、なんの病気もけがもなかった。


あれから何も起こってないけど、ベッドの下には頻繁に掃除機をかけるようになった。


ただ、下を覗くことは、絶対にしない。

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