祟り
「おっ、久しぶりだね〜◯◯さん!元気だった〜?」
「さっ、△△さん…ええ、まあ…」
「ねえねえ聞いてよ〜俺この前□□っていう心霊スポットに一人で行ってきたんだよね」
「は?あの行くと必ず祟られるっていう?」
「そうそう!でも何にも起きなくてつまんないくらいだったよ!ハハハ!」
「はあ…」
「でねでね!スマホで写真いっぱい撮ってきたんだけど見る?いや、断っても強制的に見せるけどね!ほらこれ!」
「はあ…」
「スクロール速すぎるけど本当にちゃんと見てる?ハハッ、つーかね、あの『祟られる』って噂、絶対ガチで嘘だから!何もないどころかむしろ俺最近運良くなってきてるから!」
「…と、言いますと?」
「先週ニュースになった大きな交通事故あったでしょ?14人死んだやつ。実は俺あれに巻き込まれたんだけど、なんと無傷で生還よ!」
「…」
「あとね!一昨日なんか俺酔っ払ってマンションのベランダから落ちちゃったんだよ。俺の部屋11階なんだけど。ギャハハッ。でもまたしても無傷よ。すごくない?」
「…△△さん、よく幽霊に酷いことをしたら祟りで殺されたみたいな怖い話あるじゃないですか。私、ああいうことする幽霊の気持ちが分からないんです」
「おっ!そうなんだ!優しいんだね〜」
「いや、そういう意味じゃなくて。私だったら、『本当に憎い人とは同じ世界にすらいたくない』って思ってしまうんです。だから、もし私が酷いことされた幽霊だったら、酷いことした人を殺して自分と同じあの世の住人にするなんてせず、ずっとこの世で生かしてあの世に行けないようにしておくと思うんです。永遠に」
「…というと?」
「まだ分かりません?つまり、□□にいた幽霊は私と同じような考え方で、憎いあなたを自分と同じ世界の存在にしないようにするために、交通事故に巻き込まれようが、高所から落ちようが、あなたを死ねなくしたんじゃないですか?」
「…いや、◯◯さん、なんでそんなことゆうの…」
「なんでってそりゃ…やっぱりそうなんだろうと思うし、私あなたのこと嫌いだし…」
「…俺、これからどうしたらいいと思う?」
「知ったこっちゃないですよ」
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