引っ越し

「ちゃんと持つもん全部持った?」


「持ったよ!さっきから言ってるだろ」


「いや、お前はそそっかしいからな。俺様がひとつひとつ確認してやろう。まず、スマホは持ったか?」


「だから大丈夫だって言ってんのに…ほら、あるぞ」


「よし、次、財布は?」


「あるに決まってんだろ」


「じゃあ手紙は?」


「えーと…あれ、無い…」


「はははっ、ほらやっぱり!気を付けろよ」


「うるせ、笑うな」


「だって手紙はある意味今回最重要なものだろ?それをお前…くくっ」


「あーうるせー!ほら、ちゃんと入れたから!いいだろ!」


「はいはい、で、地図は?」


「ある。まあこれはなくてもスマホで見ればなんとかなるし、下見もしたことあるから大丈夫だと思う」


「下見してあんのか。意外としっかりしてるねー。あと、ロープは?」


「あるよ頑丈なやつが!もういいだろ⁉︎」


「遠いところに引っ越して、もうここには戻ってこないんだから確認は何度しても多すぎることはないだろ?懐中電灯は?」


「あー、やっぱりあった方がいいと思うか?」


「夜中に真っ暗な森の中歩いて手頃な木を探すんだ。あった方がいいだろ」


「んー、でもスマホのライトで間に合うと思うんだが」


「そう?ならいいけど。台も持ってけよ」


「台に乗ってロープ掛けてから、思いっきり蹴ればいいんだよな?」


「多分ね。」


「よし。じゃあ色々とサンキューな」


「どういたしまして」


「じゃあ、いってきます」


「いってらっしゃ〜い」

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