第2話ー勇者はやはり世界を救えと言われるのであるー
裕也たちが転生してから約一時間。大体落ち着いたところで今、裕也たちがいる国、ヴェルディ王国の国王から説明を受けるために城のような場所へときていた。
裕也は緊張などしていないが、他の人たちはかなりしているようで、足が震えたりしている。
「裕也。お前は怖くねぇの?」
クラスメイトの中でも裕也と特に仲のいい男子の
「別に怖くないよ。勇者なんだから奴隷にされたりはしないだろうけど………まぁ、そういう小説もあるからね。そこは少しだけど怖いかな」
「えっ?何で不安にさせてくんの?やめろよばか」
「もしかしたら、勇者を怖がって殺しにくるかもよ?」
「だから不安にさせるようなことを言うなっ!」
バカ野郎と続けて、ちょっと怒ったように春は歩く。その歩き方を見ると、震えたりしておらず、しっかりと歩けているので、少しぐらいは緊張をほぐせたと裕也は内心でほっとする。
もし、あれで余計緊張してしまえば、自分の責任となってしまうので春があぁいう性格でよかった、と心の中で感謝する。
「こちらの扉の先に王様がいます。できれば、穏便にしたいので、騒がないでくださりますようにお願いします」
あの、転生した教会のような場所からずっとついてきてくれている女性………リオリス・ニトルさんがそういい、扉をノックする。
返事がないのか、もう一度ノックするが、まだ、返事はない。
「勇者様が、参られました。開けますね」
ニトルが少し大きな声で言い、扉を開ける。
扉を開けた先には数人の女性がせっせっと料理を大きく長い机に運んだりとしていた。
「よく来たな勇者諸君っ!私の名前はフェルト・ウィング・ベルティーっ!この国の王だっ!私は君たちに謝るとともに感謝するっ!勝手な理由で呼び出してすまないっ!そしてこちらへ来てくれてありがとうっ!今日は召喚の成功の宴だっ!おもいっきり楽しんでくれっ!!リオリスっ!勇者様を座らせてくれっ!」
今日は宴だっ!と続ける国王にニトルは返事がなかったことを不思議に思いながら勇者のみんなを席に座らせる。
裕也たちの目の前にある料理はとても美味しそうで、画面越しで見ているだけでもすぐに食べたくなるようなものだ。
こんなに美味しそうな料理を始めて見る勇者たちは「すごい………」などの感嘆の声を出す。
「さて、それでは頂こう。この世のすべての食材に感謝を。いただきます」
「「「いただきますっ!!」」」
国王の声に続いてみんながそう言い、料理を食べ始める。
裕也はこの世界に「いただきます」という言葉があったのかと疑問に思ったが、そんな疑問は捨てて、料理を食べ始めた。疑問を捨てて食べられるほどに美味しいのだ。
食べ始めて数十分経つと、フェルトが「食べながらでいいので聞いてくれ」と言い、裕也たちがなぜ、この世界に呼ばれたのか、何が目的なのかを話す。
話の内容を要約すると、とある予言者が「近い内に大規模な戦争が勃発する」と予言したから勇者たちが世界を救うために呼ばれた、である。
一番最初は
「質問って大丈夫か?」
「なんだ?なんでも聞いてくれ」
質問したのは裕也のクラスの委員長である
理央は「んじゃ、」と言って言葉をつなげる。
「魔人族の読み方はイービル。人間族はヒューマン。獣人族はビースト。これは三つともこの世界に元々ない言葉だ。じゃあ、これは誰が考えたんだ?」
裕也はそれを聞き、自分の頭の中に自然に入っている言語を調べて、確かにと思いながら国王からの答えを待つ。
「昔は人間族。獣人族。魔人族とそのままよんでいたが、初代勇者がそうしろということでそうしたんだと書物には書かれていたぞ」
「そうですか。ありがとうございます」
それだけ言うと理央はゆっくりと席に座り直す。
それからいろいろな質問をしたり、寝泊まりする部屋を伝えられたりして宴が終わり、明日にはステータスの鑑定があると国王が言い、解散したあと皆は今日から自分の部屋となる場所へと向かう。
* * * * * * * *
裕也が部屋の中に入って思ったことは、「あまりに広い」というものであった。
中世の城のように大きなこの城でも、さすがにこれが40もあるのはおかしいのではないかと思いながら裕也は部屋を見ていく。
20畳ぐらいある部屋の奥にある【個人訓練場】と書かれた扉を開けると学校のグラウンドの半分ぐらいはありそうな白い部屋がそこにはあった。
「なんなのかな………。空間魔法的なものでもあるのかな………」
裕也はこの部屋は空間魔法によって作られていると結論付け、一人で納得し、明日へと期待を膨らませ、ベッドへとダイブした。
「────やっぱり、テンプレ通りに世界を救えとか言われるんだね………」
そう一人でごちり、裕也は真っ黒な場所へと意識を落とした。
耐性と魔力が恵まれていたら無双とか楽勝でしょ(震え声) ユール @riase
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