ギョボット
肴
プロローグ
「浮上カイシ」
海のなかで、小さな電子的な声が聞こえる。
ゆっくり浮上するそれは葉巻のような形で、葉巻の上半分には太陽電池が搭載されている。正午になったら海面まで浮上して電池を蓄えるんだ。
彼は156番目に作られた探査ロボット。彼と同じタイプのロボットは全部で700機あって場所は違えど彼と同じように正午になると海面まで浮上して充電し、また潜る。
そして、充電しているときに他のロボットと情報を交換する、こんな風に。
「009、舵不調、今後ノ探査ニ影響アリ」
ーー
「017、データニナイ生物発見、周囲ノ機ハ警戒サレタシ」
ーー
「146、鯨ノ死骸ヲ発見、生物ガ周囲ニ集マル可能性大」
ーー
「356、シーラカンスノ卵ヲ発見、データベース更新」
ーー
「700、充電完了、情報開示、終了」
700機のロボット達は黙々と働き、人が欲しかったデータをすべて揃えた。
そして人はこう言った、「さて、次だ」と。
ロボット達は忘れられ、人の関心は完全に宇宙へ向いてしまった。
こうしてロボットが探査を初めてから丁度120年目、人は大きな宇宙船を作り地球を去っていった。
そして、156番目に作られた"彼"にちょっとした故障が発生した。
ギョボット 肴 @seigohukkosuzuki
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