序 まとめ

ここまでのまとめ 序 (ネタバレ)

 とある大学に通う学生、松本カツヤは謎の人物梅沢ユキの不審な言動と共に始まった世界の終わりを目の当たりにしてしまう。

 世界の変貌に巻き込まれ命を落としてしまうカツヤ。しかし、それは幻影のように過ぎ去り何事もなかったかのように元に戻ってしまった。普段と変わらない日常が始まってしまったのだ。

 自身の認識の差異を調べるべく行動に移したカツヤは、同じ認識を持った人物である大野ヒロユキと出会う。彼から自分たちの住む町の周りが見えない壁で囲まれていることを聞かされ、身の回りに起きた世界の終わりの原因をこう告げられた。


「この世界は世界五分前仮説が仮説ではない世界である」


 カツヤは困惑しつつ、幼馴染みのカオルに紹介されたマルチ制作研究部のメンツと共に世界の終わりの考察を初め、真実を知るべく梅沢ユキを問いつめた。

 そして、彼女から真実を聞かされる。


「梅沢ユキは、この町を管理する研究員であること」

「ここは箱の中に作られたミニチュアで、我々クローン達を何も知らずに生活していること」

「箱の外側である本当の世界は、すでに人類が滅亡しかかっておりクローンを用いて人類と文明の再形成を目指していること」

「全ては順調であること」


 自身が偽物であることを知ったカツヤは、何をやっても無意味であること、自分がどうすることも出来ないことを悟る。全てを忘れ作られた日常に戻ることにした。

 そこに、マルチ制作研究部の面々から日々変わっていく大野ヒロユキを救ってほしいと半ば強引に依頼されてしまう。ヒロユキも自分と同じ無意味の壁にぶつかったことを知っているカツヤは彼等に全てを打ち明け、依頼を断った。

 だが、その答えにカオルは反論する。


「自分の未来は自分で決める」


 自分の存在を否定し絶望していたカツヤは、彼女の言葉に微かな希望が芽生え、最後の悪足掻きに出る。世界の終わりの最中に梅沢を捕まえ、自分もこの状況を打破することを望み共に協力したいことを懇願した。

 だが、その願いを崩すように空から大きな顔が表れる。それはこの世界の管理をする人類最後の生き残り、クローンではない竹人カオル本人であった。

 驚くのも束の間、カオルは人類再建ではなく現状の維持、カツヤ達のいる世界を本当の世界とする思考に行き着いていた。


 だが、その答えをカツヤは否定する。

 この箱の世界にいる人々の生き様を守るまで、彼は最後まで足掻き続ける道を選んだのだ。

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