神となった少女
銀礫
神となった少女
ひとつ、お話をしよう。
あるところに、神を目指した少女がいた。だけど少女はその思想故、軽蔑され、孤立し、消え去った。その後、少女の姿を見たものはいない。
少女はどうなったか。
少女は神になった。
少女に恋した少年がいた。少年はずっと少女を追いかけていた。そして少年は見た。少女が神となる瞬間を。
それは、少年が少女に拒絶された瞬間だった。この事から、少年は神となるには完全なる孤立が必要なのだと考えた。少女にまた会うには、神になるしかないとも考えた。少年は、周囲を拒絶していった。
少年には妹がいた。三つ年下の可愛らしい妹だった。妹は、ある時少年が自分を拒絶し始めたのを悟った。それから、妹は少年を振り向かせるためにあらゆる手を四六時中尽くした。優しかった少年に戻ってもらうため。
妹には彼氏がいた。同い年の彼氏だった。彼氏は妹が自分を気にかけなくなったのを感じた。その原因が少年にあることを突き止めた。嫉妬に狂った彼氏は、少年を死に至らしめた。その後彼氏は捕まり、檻に閉じ込められた。
少年を殺され、彼氏が投獄された妹の思いは、長い間地を這うことになる。
死に絶えた少年は、自分が死んだことも理解しないまま、ふと目の前に少女が立っているのをみた。再会をひとり喜ぼうとすると、少女は少年を一瞥し、手を振り上げた。それに従うように、少年は上へ上へと飛ばされた。少年の背後には天国が近づいていたが、その視線は少女に注がれたままだった。
お話は、ここまで。
神となった少女 銀礫 @ginleki
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