報告書

 これは、今回アンドロイド七号を故意に逃し、第六感【ゼクスフィーリング】やその他もろもろの機能が正常に作動するかを調べるという実験の報告書である。

 ついでに行った警察の調査能力を調べる実験についても報告する。


1.七号について

 今回、Twitterを利用してリアルタイムの記録をとっている。

 大きな結論から言うと、七号の第六感は正常に作動している。七号の第六感は私に共鳴し、向かってくるようにプログラムされているので、正常という他はない。

 記憶操作は改善の余地がある。さすがに組織の名前は覚えていなかったが、何をされていたのかは記憶していた。

 七号の身体能力は申し分ない。五階にあった私の部屋(実験のために用意)に軽々たどり着いている。しかし、その際のエネルギー消費は著しい。一週間分買い込んでいた食料が朝ごはんに消えるほどだった。


 そして、今回の実験で驚くべきことが起きた。七号の超能力が開放された。おそらく第六感の副作用みたいなものだと思われる。そしてその開放には『信頼出来る仲間』が必要だと予測できる。

 ただ、七号は簡単に人を信用するようだ。私は今回、「窓に少女が逃げてきたら」という設定を演じたが、私を疑う点は多数あったと思われる。そこに気づくような洞察力も今後搭載していこう。


2.我が組織の最下位部所「警察」の調査能力について

 「1つだけの手がかりをもとに逃亡した実験体を確保する」という内容で実験したが、あそこまで堂々とTwitterを使用していたにもかかわらず、発信場所を特定するのに一日以上かかったのはサイバー調査班の怠惰としか言いようが無い。早急に改善が必要である。

 ただ、マスコミなどの情報統制の速さは素晴らしかった。一晩で全国ニュースにするにはどれほどの努力があったのだろうか。


追記

 今回の実験の最後、警視総監に報告し終わったあと、隣にいた人(役職は忘れた)が、こんな質問をしてきた。

「こんな騙すような実験をして、その子に申し訳ないと思わないのか」と。その時は「思わない」と答えておいたが、それは少し嘘になる。

 なぜなら、このアンドロイド、特に七号は、私の殺された恋人がモデルなのだから。一緒にいて情がわかない方がおかしい。

 私はあいつらに彼女を殺された復讐をするために、組織の開発部のトップに立ち、人型兵器を造っている。モデルが彼女なのは、私なりの皮肉である。

 今回、偶然にも超能力が開放されたのはちょうどよかった。これで兵器利用への道がぐっと短くなった。

 そしていつか、彼女と、いや、彼女に似たアンドロイドと一緒に、あいつらに復讐してやる……。


 私情を挟んでしまったが、以上で報告を終わる。

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Sechs Feeling 銀礫 @ginleki

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