第四章 各々の戦い(『桔梗・光子VS公平・健太郞』)
『桔梗・光子VS公平・健太郞』
「「ふんっ!」」
私と公平は拳と大剣をぶつけ合う。両者の力関係は同程度でお互い一歩も引かない打ち合いが繰り広げられている。
「桔梗ちゃん頑張れ~!」
「公平押されないで、そこだ!」
「健太郞、貴様は貴様で戦え!」
「光子もだ!」
「「えぇ~」」
始まって少ししか経ってないのに公平と私だけがずっと戦闘を行ない二人は応援に徹している。それに対して当然の要求をしたのに二人は嫌そうな声を出して明らかに拒否する。
「まぁはっきり言ってしまうと二人の実力が凄すぎて変に攻撃を加えるとどっちが不利になるか分かったものじゃないから攻撃できないんだけどね」
「そうそう、二人とも動きが異常なんだもん~何で単に殴ったり斬ったりするのにクルクル回ったりできるの~」
「まぁでもこのままだと不利なのは事実だから、支援系魔法でのサポートは完璧に行なうよ」
そういいながら健太郞は魔方陣を描き始める。まだ魔法として回復以外の支援魔法はないとされている。この状況での支援系魔法とは何だ。
少しの危機感を感じた私は一回だけ相手の剣を避けて後退して若干の間を取る。
「ファイヤーボール!」
「サンダーボルト~!」
私が後ろに跳んだと同時に健太郞の方が早く魔法を発動させる。光子も魔法を放ちその魔法は一直線に公平に向かう。
「はっ!」
光子の魔法よりも先に発動した健太郞の魔法は私には当たらず公平の腕に当たってしまう。失敗かと最初は感じたがそのまま飛んでくる光子の魔法を健太郞の放った魔法が纏わり付いた腕をぶつけることにより消失させた。
「なんだ、今のは?」
最初は単に第一式の魔法でしかなかった物が公平の腕にぶつかった瞬間見たこともない魔法に変わってしまった。だが一回ぶつけたら使えなくなるのかすでにさっきまで纏わり付いていた魔法は消えている。
「あっはっは~!驚いているね!僕は天才だからね仕方ないよ!」
「また調子に乗ってやがる……」
魔法がきまった事にテンションを上げて高笑いしながら健太郎は喜んでいる。そんな健太郎を尻目に公平は頭を抱えながら項垂れる。
意味が分からない、一瞬だが攻撃魔法であるファイヤーボールが公平の装備であるかのように腕に纏わりついてその身をもってサンダーボルトをはじき見事公平を守って見せた。あれはサンダーボルトという名の別の魔法なのだろうか、だがあの魔法陣を描く速さと最初に見えた形からしてファイヤーボールで間違いないだろう。
考えれば考えるほど何が起こったのかが全く分からなくなっていく。
「悩んでる悩んでる、ネタバレしちゃおっかな~」
健太郎は杖を左右に振りながら乙女のように体をくねらせる。
「光子、そっちからは何か分かったか!?」
「う~ん、ごめんよ桔梗ちゃ~ん。私からは普通にファイヤーボールを放ったようにしか見えなかったよ~」
光子もやはり私と同じようにしか見えていない。やはりあれはファイヤーボールだったのだろうか、だとしたら何故あんな風に魔法が変化したのか……
「簡単にいうとあれは俺が腕から放出した魔力に健太郎の放った魔法を浮かせているだけだ」
「浮かせている?」
「あぁ~ネタバレしちゃったぁ~!」
公平が言う種明かしは公平が戦っている最中に腕だけに魔力を多く放出し、そこに健太郎の放ったファイヤーボールを上手く絡ませたという事だろう。
「練習さえすれば簡単さ、魔力のトレースは知っているだろう」
「勿論、魔力を使い自分の想像した物を作る事だ。一番多いのはバリアとして用いるが魔法を放つよりも魔力を消費するからあまり使わないがな」
「あぁ、だがトレースを用いる時に俺は『水が俺の腕の周りを流れている』というイメージを持ってトレースを行う」
「そうして練習でどれだけの早さかなどを知った魔法を腕に纏わりつかせ支援魔法へと変化させた」
「そうだ」
確かに理論上はできるだろう、だが言うほど簡単な事ではない。水が流れるイメージ、ここまでは魔力さえあればできるだろう。だが問題は魔法には個人差があるという事だ。その魔法を何回練習したか、どれだけ魔力を込めたか、それで速さも変われば大きさだって変える事が出来てしまう。そして今回のファイヤーボールのような魔法は対象にぶつかった瞬間爆発する。そのため自分の腕に当てないように流れに乗せる技術が必要だ。一朝一夕でできるようなコンビ技ではない。
「あれ~、ていう事は~?これ凄いのは公平君で~、健太郎君は関係ないじゃ~ん!」
「なっ……!」
私も少し思ってしまったが言わないでおこうと思ったセリフを光子は堂々と発言してしまう。その発言を聞いた健太郎の顔は固まり、幾分か顔が曇った気がする。
「それはあいつにとっての禁句なんだが」
公平がそう呟いた時には遅く、健太郎は全身をプルプルと震わせながら唇をかみしめていた。そして顔が取れるのではないかと思うほどの勢いで自分の頬を殴る。
茜学院長に殴られたのと気絶しているのを叩き起こされた時に頬を平手打ちされていたのに付け加えて今ので健太郎の頬は赤くおたふく状態になってしまっている。
「お前らはゆるさない! 僕の魔法の威力もあるからこその攻撃と防御だという事をわからせてやる!」
自分に気合いを入れなおした健太郎は私と光子を交互に指さしながら宣言する。そして杖を構えて魔法陣を描き始める。その姿を視認した私はいち早くに次の手を打たせまいとすぐさま公平に向かって攻撃を繰り出す。
「甘い」
「くっ!」
だが予期していたのだろう公平もしっかりと態勢を整えており、私の攻撃はしっかりとガードされてしまう。だがその場で引いたら支援魔法を使われてしまう為意地でもまとわりついて攻撃を行い続ける。
「ファイヤーボール!」
そして健太郎の魔法は放たれてまっすぐこちらに向かって飛んでくる。だが相手に腕を出させなければいい話だ。私はしっかりと連撃を続けてその効果によって公平は防ぐ事に力を注いでしまっており、手に纏わりつかせる余裕はなくなっている。
「自分の仲間の魔法にやられな!」
私は連撃を止めないまま魔法はまっすぐ公平の足元を捉えていた。そして公平の足に当たる寸前に私は連撃を止めて爆風に巻き込まれないようにガードをしながら後ろに下がる。そして本来ならそこで爆発するはずだったファイヤーボールだったが異質な動きをする。公平に当たらないぎりぎりを通過しそのまま公平の右足に纏わりついた。
「まずい!」
「はぁぁあああああああ!」
そして公平は足に支援魔法を受けた状態で私に蹴りを入れてくる。爆風に備えた体制だったため急に動けずなんとかダメージを軽減させようと行動に移す。
「サンダースピア~!」
間に合わず諦めかけたその時に目の前まで迫っていた蹴りに一針の雷が突き刺さり、光と爆風がおこった。私は爆風によって後ろに飛ばされ地面を転がってしまう。受け身は取れたが爆風によって腕を少し痛めてしまった。
そしてそんな私に光子はすぐに近寄り固定魔法を使い回復してくれる。
「ありがとう光子、あのままだったら絶対ダウンしていたよ」
「大丈夫だよ~サポートは任せて~」
そして回復の終わった光子はまた後ろに戻り援護をできる態勢をとり私も立ち上がり戦闘体勢にうつる。
そして爆発がおこった所ではいまだに砂埃が待っている。公平は無事だろう。光子の攻撃は支援魔法によって絶対に防がれているはずだ、やっかいすぎる。
腕だけでなく足までも魔法を装備する事ができるなんて……
「ファイヤーボール!」
私が回復している時に健太郎は魔法陣を描いており、砂埃の中に魔法が向かって放たれている。そして魔法の風圧で砂埃も消し飛び、砂埃の中から今放たれた魔法を左腕に装備している公平が姿を見せた。
「最悪だ」
あの魔法がある内は私は公平に攻撃したらファイヤーボールに接触して爆発に巻き込まれてしまうだろう。そのため左腕に攻撃はできない。
なら、私は右腕を重点的に狙えばいい!
「はぁぁあああああああああ!」
私は叫びながら近寄り攻撃を行なう。できる限り相手の攻撃を避けれるように右に右にと動いてファイヤーボールを避けながら攻撃を行ない続ける。
「さぁもう一個いくよ、ファイヤーボール!」
そして健太郞の魔法がまた真っ直ぐこちらに向かって飛んでくる。なんとかしようと私が動いた時、公平は大剣をしっかりと掴み振り回し始めた。
「っ!」
ぎりぎりの所で気付いた私は後退し回避行動をしてしまい公平との距離が開いてしまった。まずい、と思ったときにはすでに遅く、ファイヤーボールは支援魔法として公平の右腕に装着されていた。
「サンダーボルト!」
光子の声と共に公平の上空に現れた魔方陣から雷が落ちてくる。だがその攻撃を公平は大剣で防ぎ、支援魔法は未だ健在だ。
(主、固定魔法を使える準備はしておいたがどうする?)
私の契約精霊であるゴラムは戦況的に固定魔法が必要と考えたようでもうすでに準備をしてくれている。その行動力に感謝だ。
(ありがとう、やばそうな時に使わせて貰うよ)
(あぁくれぐれも無茶はするなよ)
(当たり前さ、契約者をもっと信頼しなって)
(そんな物は当たり前だ、信頼しているからこそ主が危機に陥って欲しくないのだ。強制的に使うことも考えるからな)
(分かったよ)
本当に私は良い契約精霊がパートナーだよ。信頼もあって優しいこいつがいるんだ。負けるわけにはいかないだろ。
「それでは俺からも攻撃を行なうぞ」
そして公平は大剣を構え直して、こちらへと突っ込んでくる。上段から剣を振るいそのまま左へと連続で斬ってくる。そして私は後退して避けた後こちらからも攻撃を繰り出す。私の拳の連撃も公平には効かず、全て防がれてしまう。
「ファイヤーボール!」
そして健太郞の魔法がまたこちらに向かって飛んでくる。
今度は足に支援魔法を装着する気か・・・・・・そうはさせない!
私は魔力を右手に込めてガードしている大剣に対して力の限り殴る。そして私の力に押されて公平はガードした状態のまま後ろに下がっていく。そして私も後ろに跳んで下がり、立っていた場所にファイヤーボールがぶつかり爆発が起こる。
「やるな・・・・・・」
公平は楽しそうに笑いながら剣を構え直す。この状態で笑っていられるのが信じられないが気持ちで負けたら駄目なので私も笑いながら構え直す。
「私も固定魔法を使おうかな」
(ゴラム、『破壊不能』使うよ!)
(主の命に)
右手に魔力を溜めて右拳で左手の平を叩く、そうすることによって固定魔法が発動される。これで約1分間は無敵状態。ここで決めなければ!
「はぁぁああああああああ!」
「サンダースピア!」
私が無敵状態だと分かっている光子は魔法を使い援護をしてくれる。そして私は魔法が敵に当たる前に支援魔法に自分の体の一部をぶつけて魔法をガードできない状態にする。そして光子の魔法が直撃させるために公平を後ろから掴み動けないようにして魔法を直撃させる。
「ぐぁぁぁああああああああああああああ!」
サンダースピアが直撃した公平は膝からその場に倒れこむ、相手を感電させる効果も雷の魔法特有の物だ。後は今の間に健太郞を戦闘不能にさせて勝利だ。
「桔梗ちゃん!」
「っ!?」
私が健太郞目掛けて攻撃を仕掛けようとした時光子が私を呼ぶ声が聞こえた。何があったのかと振り返ろうとした時には私は地面の上には立っておらず宙に浮いており、そのままあばらに当たっている何かの力で壁まで吹き飛ばされた。
固定魔法を使用中のためダメージはなくそのまま今の状況を整理した。私が立っていた所には今まさに目の前で倒れていたはずの公平が立ち上がっており、笑いながらこちらを見ていた。その手には大剣が持たれあれで私は吹き飛ばされたのだろう。だが何故公平は無事でいるのか・・・・・・
「僕の固定魔法『時間停止』だよ。これを使うと自分の指定した人や物以外の時間を止める事ができるんだ。君達が倒した瞬間に僕も使用して邪魔のない隙に公平を回復させてもらったよ」
そういう事か、だが固定魔法はそう何度も連発できるような物でもない。そのため後少しの時間でもう一度公平をダウンさせられれば勝てる。
「お前の固定魔法はどうやら相手の攻撃を全て無効にする能力みたいだがその魔法も時間制限だろう」
「だったらどうした、それまでに君達を倒せばいい話だ」
「なら、俺も本気でいかせてもらう!」
そう言うと公平は魔力を溜め始める。後少しで私の固定魔法も切れてしまう。その前に決着をつけるために魔力を溜めている公平の元に全力で走る。
「いかせるわけないだろ!ファイヤーボ―――」
「サンダースピア!」
「うお!」
私に向かって魔法を放とうとしている健太郞に向かって光子が魔法で足止めをしてくれた、そのおかげで健太郞の魔法は発動されず邪魔がないまま私は公平に向かって魔力を込めた拳を一発くらわせる。
「はっ!」
私の拳は公平の胸に直撃する、だがその先を見てみると公平の胸筋は人間のそれではなくなっていた。ダメージも通っていないようだが今は引くこともできない。私は攻撃を止めることなく連撃を与えるが全く効いているような気配はない。
そしてどんどんと公平の体は大きくなり姿は最終的にゴリラに変わってしまった。
「それが公平の固定魔法『獣化』だよ。公平には家族がいなくてねずっと森で生活してたんだ。そしてその固定魔法は自分が喰らった事のある獣になる事ができる。まぁそこにいる者全て敵と認識するから僕も危険だから少し隠れておくよ」
「がぁぁぁあああああああああああああああ!」
公平の雄叫びで空間が振動する。本当にまずい状態になってしまった。あの固定魔法も時間制限があるだろう、だがこれから何分間か耐えきれるはずがない。私の魔力は後数秒で切れてしまう。
「はぁぁぁあああああああああ!」
「桔梗ちゃん!?」
「光子、君は逃げるんだ!そして援軍を呼んで来てくれ!」
私は残り数秒の間できる限り光子を遠くに逃がす時間を稼ぐ、この状況で私達に勝ち目はない。
「でも桔梗ちゃんが!」
「私達の部隊の意味を考えろ!」
私達は女帝を捕まえる為に作られたチームだ。最終的な目標は女帝の確保、今ここで二人とも倒れてしまうよりもどちらかが助けを呼んで早く倒して先に進む方が良いに決まっている。
「・・・・・でも、私は嫌だよ~」
「っ!?光子!」
何かを決意したように光子は魔方陣を描き始める。
何でそんな事を・・・・・・徐々に私の魔力がなくなっているのが分かる。もう時間が・・・・・・
「なっ!」
光子の方に気を取られており横からの公平のパンチに気付かずにそのまま吹き飛ばされてしまう。そして私は固定魔法が切れて意識が朦朧としてくる。その私に対して公平は徐々に近づき、拳を振り上げる。
こんな所で・・・・・・
そして拳が私を目指して飛んできた時公平の体を横から何かがものすごい早さで突き飛ばした。攻撃を受けた公平の巨体は宙に浮き、地面を揺らして重力のままに落下する。
「先輩、大丈夫ですか?」
いつの間にか私の目の前にいた学院の制服を着た女の子が私に魔力を与えながら話しかけてくる。
「き、君は・・・・・・?」
「私は矢頭真白の大切な人である暁紗雪です。動ける程度に今魔力を送ったのですが大丈夫ですか?」
「あ、あぁ・・・・・・ありがとう」
ふらふらしながら私は立ち上がり、暁の肩を借りながら後ろに後退する。
「うがぁぁぁあああああああああああああああ!」
いつの間にやら立ち上がり公平がこちらに向かって拳で攻撃をしようとしていた。暁が長刀を使ってガードをしようと試みているがあの攻撃は止められない。
「エンシェント・ライトニングソード!」
今度こそ駄目かと思った時、後ろから光子の声が聞こえ、それと同時に公平の周りに展開されたいくつもの魔方陣から雷を帯びた巨大な剣が出現し公平を突き刺す。
「うがぁぁぁああああああああああ!」
公平が苦しんでいる隙に逃げて、戦闘でできた瓦礫の陰に隠れる。
「桔梗ちゃん!」
「光子すまない、ありがとう」
光子はすぐに固定魔法を使い私の魔力を回復してくれる。
「ごめんね~、これが限界だよ~・・・・・・」
魔法をさっきから使ってくれていた光子はもうすでに魔力が底を尽きかけていた。だが光子のおかげで満足に動ける程度には回復した。
「先輩、戦えますか・・・・・・?」
「すまない、この状態では足手まといになる」
「でしたらここに隠れていてください。私が倒してきます」
「ま、待て。君が勝てるはず―――」
私の制止を聞かずに暁は戦闘に向かってしまう。光子の魔法もきれて、公平は敵を探していた。
「さぁゴリラ来なさい!貴方は私が倒します!」
そして公平の前に仁王立ちして暁は呼びかけた。その声に気付き公平は攻撃をするために走ってくる。
「うがぁぁぁあああああああああ!」
そして咆哮と共に暁のいる所に攻撃を与えた。砂埃が舞いどうなったのかが全く見えなかった。
「暁っ!」
「紗雪ちゃん!」
呼びかけるが返答がない。そして砂煙が落ち着いた時、そこを見てみると、クレーターができておりこちらからではその中がどうなっているのかが分からない。
「まさか紗雪ちゃん・・・・・・」
「いや、待て」
私も一瞬諦めかけたがどうも公平の様子がおかしい、何かを探しているかのようにキョロキョロ辺りを見ている。私も辺りを見るが何処にも姿は見当たらない、そして上空に目を移したときに探していた人物を発見する。
「あれは!」
私が発見した時すでに暁は空中で思いっきり長刀を振りかぶっていた。そしてくるくると回転しながら未だ探している公平の頭目掛けて落下が始まる。
「暁流、逆竜道!」
そして暁の姿が消え、その瞬間には地面に立ってこちらに歩いてきていた。
「うがぁぁぁああああああああああああ!」
暁の存在に気付いた公平は暁に攻撃を与えようと走りながら振りかぶる。
「紗雪ちゃん逃げて!」
公平の攻撃がぎりぎりまで迫った時公平の動きが一瞬止まり、頭から地面に倒れてしまった。そして公平の固定魔法も切れて動かなくなった。
「何だ今のは・・・・・・」
「時間差です、あの人は気絶しているだけだと思うので問題はありません。先輩方は大丈夫ですか?」
私の持った疑問に目の前まで来ていた暁は一言で答え、私達の心配をする。
「あ、あぁ私達はおかげさまで大丈夫だ」
「本当にありがとね~」
時間差、普通に考えてあれは固定魔法だろう。健太郞みたいに時間を止められるのだろうか、だが同じ固定魔法をもっている例は今はまだない。どうしてあんな事ができたのか知りたい。
私が時間差、というだけの答えに納得していないと察したのか暁は頬を掻きながら答えてくれる。
「お二人は勿論、茜お姉ちゃんの固定魔法はご存知ですよね」
「あぁ『高速移動』だ。だが固定魔法で同じ物が確認された事はないが?」
「はい、同じ物ではありません。私の固定魔法は『弟子』。自分の決めた人に弟子入りをして相手も認めてくれた時に相手の使える固定魔法を私もつかえるようになる魔法です。それが私の固定魔法でさっきの時間差の正体です」
なるほど、さっき空中で加速して攻撃を与えていたのか、そして気付かないうちに攻撃されていて気付いたときにはものすごいスピードで放たれた打撃力で意識がなくなると・・・・・・
真白君といい暁といい今年は凄い生徒が多いな、上級生として本当に情けない・・・・・・だが悔やむのは後だ。
「じゃあこのまま先に進もう」
「いえ、先輩方はここにいてください」
「・・・・・・確かに今の私では足手まといになるな。任せた」
「へ?いや、違います。下でもう一人の先輩と私の同級生が戦って傷ついてここに来ると思います。ですから光子先輩が治療してください。そしてもしもに備えて光子先輩の護衛を桔梗先輩がお願いします」
「そうか・・・・・・分かった。すまないがこの先は任せた!私達もできる限り合流できるように努力する」
「はい、任せてください!」
そうとだけ言って暁は走って次のドアに向かって行く、正直真白君や茜学院長の助けになれなかったのは残念だが私は私の仕事をしよう。
そして私と光子は来ると言っていた二人を待つことにした。
重契約者の魔法学院生活 あっつまし @atuani
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