夫の姉に御機嫌伺いの手紙

高齢の姑が長らく病院で療養中の頃、姑と同居していた夫の兄や姉家族らが様子を見に行っていました。


介護しなくて良い私としては、時々夫婦で病院に見舞いに行く程度で良かったので気が楽でした。


私達が病院へ持参した見舞いの品に、義姉から礼状が届きます。

彼女は不定愁訴のきらいがあり、時々臥せっています。

具合は如何ですか?とお伺いの手紙を書きます。


………


梅雨に入り傘をさしての道すがら、団地に咲くくちなしの花が香りはじめました。


この度はご丁寧なお礼のお便り頂戴しまして有難うございました。

お母様もさることながら、御姉様もしばらく臥せっていらしたと伺いました。

その後お加減いかがですか。

今はご健勝でお過ごしのご様子。

大事にならずなによりです。きっとお疲れが出た事と思います。ご養生第一でお過ごし下さい。


時々私達は、お母様のお見舞いに伺いますが、いつもご機嫌よくご養生なさっておいでです。


これも御姉様方の手厚い看護のお陰と感謝申し上げます。

日々快方に向かわれているご様子、お幸せな事と確信します。


私も母に責任のある身、いずれ同じ道を行く者として心しておかなければ、と思っています。


ただ、御見舞いに伺っても、息子である彼のことはお母様の記憶の彼方の様で、誰か分かって貰えません。

彼は少々寂しそうです。


めったにお会いしないので仕方の無いことです。お元気なのがなによりと、諦め顔です。


雨が続く蒸し暑い毎日ですが、どうか御自愛ください。

お見舞いまで申し上げます。

ごめん下さい。


┅┅┅


甥の就職が決まった時のことです。

お祝いの金封と添え文を送付しました。

するとお礼状が本人から届きます。そこには結びの言葉で「かしこ」と書かれていました。

昔、女子は結語を「かしこ」(かしこまる・恐れ多いの意)、男子は「敬具」と手紙の型式がありました。

私も若い頃、意味も分からず書いてきましたが、形だけの言葉はもういらないでしょう。

それからは、「ごめん下さい」「これにて失礼します」と結ぶようにしています。

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