まだ早い死(60歳台)と天命と思われる死(90歳台)
私達が夫婦になる40年前、独身社員だった夫には、とても気の合う後輩がいました。
材木会社の社長の息子さんで、夫の会社へ修行に出されていました。
苦労知らずのご子息で、夫とは旅行やゴルフに出掛けていたそうです。
結婚されてから数年して実家の事業を継ぐべく帰郷されました。
その後も電話の交流はあった様ですが、しばらくすると年賀状のやり取りだけになり、すっかり疎遠になります。その年賀状も毎年人が羨むほどお幸せな出来事の写真で埋め尽くされていました。
なので、突然 妻(60歳後半)を亡くしたという喪中葉書に驚きます。
夫は電話をしてみようとしましたが毎年届く年賀状にはご自宅の電話番号がありません。
仕方無く お悔やみの葉書を、やっぱり私が書くことに。
もう ひとかどの社長さんですから、夫の友人とは言え、馴れ馴れしい言葉は失礼です。やはり儀礼的になりました。
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この度は御令室様のご服喪中のお知らせに大変驚いております
謹んで御悔やみ申し上げます
長らく御無沙汰にうち過ぎご逝去を存じ上げず失礼しましたこと お許しください
御家族皆様のご心痛はいかばかりかと拝察いたします
どうぞお身体大切にお過ごしください
心よりご冥福をお祈り申し上げます
合掌
令和三年十二月十日
すると ご本人から封書が届きます。便箋2枚にわたり、妻を亡くした喪失感が切々と綴られています。
悲痛な思いがひしひしと伝わってきます。
「あんなに強気で事業をリードしてきた彼が、こんなに弱ってしまうのか┅」とポツリともらします。
妻は夫より1日でも長生きしないといけません。
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こちらは、夫の親族から、お母さんが94歳で亡くなった、という喪中葉書が届きます。
御家族は寂しいながらも天命を全うしたと納得出来る気持ちもある事と思われます。
御悔やみ状も上記とは書き方を変えます。
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この度ご母堂様のご逝去のお知らせに接し 遅ればせながら謹んで御悔やみ申し上げます
お寂しさひとしおの事と存じますが 御家族皆様どうぞお身体お大切に新しい年をお迎えください
同封しましたのは 心ばかりの品でございます
御仏前にお供え頂けましたら ありがたく存じます
ご冥福を心よりお祈り申し上げます
合掌
令和三年十二月十日
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