子供が結婚してから書く手紙

娘の婚約者の両親に挨拶状

長女が結婚することになりました。

二人は、夫になる男性の両親宅へ婚約の報告するため、遠方の他県へ出掛けて行きました。


娘の親として、ご子息には好意的であることを伝え、ご両親に安心して頂けるようにと、娘に手紙を託しました。


………


初めてお便りさせていただきます。


〇〇〇〇の父□□、母◇◇でございます。


この度、ご縁がありまして御子息と娘が婚約の運びとなり、慶びにたえません。


すぐにでもお逢いして、御挨拶させて頂くところではございますが、簡単に叶う距離ではございません。


まずは書中をもちまして謹んで御挨拶申し上げます。


なにぶん、娘は行き届いた躾からは、程遠い人間です。御宅での振る舞いや言葉遣いに不都合をしでかして、御両親様が不快な思いをされたのでは、とハラハラしています。


何卒、若い故の至らなさと思し召して、寛大なお心で御許しの上、御指導、御鞭撻の程、お願い申し上げます。


御子息には拙宅までお越しいただき丁重な御挨拶を頂戴しました。


また、「半同棲生活の様な付き合いをして申し訳ありません」とも、仰って下さいました。


娘の親の気持ちも常々、気に掛けて頂けていると分かり、まことに誠実で責任感の強い方と、お見受け致しました。


「ふつつかな娘ですが何卒宜しくお願いします」と、有り難くお申し出をお受けし、心より御礼申し上げました。


有難うございました。


しかし、御子息の親御さんからすれば、安易に同棲生活まがいのことをして、ふしだらな娘とお思いでしょう。また、「それを許す親も親だ」と言われてしまえば、合わせる顔がありません。


しかし、結婚生活の予行演習とも言える、この様な生活で、お互いの“育ち”や“相性”を知り、大きな勘違いや誤解を減らして「こんなはずでは…」という後悔を、最小限に食い止める為に必要な事だと、夫も私も考えます。


(とは言え、結婚してからも勘違いや後悔など、山ほど湧いてくるのですが)


これも親族や、周りの人々の人生を見聞きして思うのでございます。


知人の、目に入れても痛くない一人娘が、大恋愛の末の結婚でしたが、夫の浮気で破綻、娘を傷つけられたと、知人の怒りは、この上ないものでした。


他人事ではありません。


結婚は守れないから、約束させるのだ、とも聞きます。


身近に例があるだけに不安が先行します。


何はともあれ、子供の幸せな結婚生活を願わずにはいられません。


どうか末長く二人のためにお力添えくださいます様、お願い申し上げます。


お会いする日を楽しみに、これにて失礼します。


五月吉日

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