遅れて届いた『御仏前』にお礼状を書く

夫の母が1月に死去した年の事です。

かつて単身赴任していた横浜の女性社員の方から「お母様の新盆に御供下さい」

と6カ月経った7月に入って『御仏前』が送られてきました。


夫も嘱託職員になり、横浜からも離れて何年にもなります。

すっかり縁の薄くなった方ですのに、夫の母の死を心に留めて下さっていた事に、夫と共に驚き感謝したものです。


夫が横浜在任中、この方は50歳独身で、ご両親と暮らしていらっしゃいました。

今、なかなかいない、気配り目配りが行き届き、仕事が出来る社員さんで、支店長だった夫は大事にしてさしあげたと言います。


その夫の気持ちが彼女に通じていたのだろうと察します。


葬儀を後になってお知りになったとのことで、この機会にお心遣い頂きました。


御礼状を書きました。

まだ句読点を書き入れています。


………


梅雨の晴れ間に入道雲が現れ始めました。

いよいよ夏本番でしょうか。


〇〇様におかれましては、お健やかに御過ごしのことと、お慶び申し上げます。


この度は思いがけず丁重な御供の品とお心のこもった御悔やみの言葉を頂戴しまして誠に有難うございました。


また、老舗鳩居堂のお線香を、わざわざお選び頂いたお心遣いに感謝致します。


関西では東京の名店のお線香を手にする事はまず無いでしょう。

大切に供えさせていただきます。


なにより、夫の母の死去についてお心に留めてくださっていた事は本当に有り難く厚く御礼申し上げます。


長年病院で臥せっておりましたが、夫の姉妹の手厚い看護のお陰で九十二歳の天寿を全う致しました。


〇〇様もお父様を亡くされ、折に触れ、ことにつけ思い出されお淋しいことと存じます。

くれぐれもお体お大切になさって下さい。


夫は定年を迎え嘱託として末席に籍を置かせて頂いております。


今後共、ご厚誼の程お願い申し上げます。


この度のご厚情、深く感謝申し上げます。

ありがとうございました。


合掌

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