古い友人に書く手紙
良い旅の思い出を反芻しながら生きていきます
夫は、入社35年の節目に会社から一週間の休暇を戴きます。新婚旅行以来、初めて宿泊する旅行に出掛けました。
その旅で親しくなった方から記念写真を送って頂いたので、お礼状を書きました。
………
あの楽しかった旅を思い出すお懐かしい方からのお便り、嬉しく拝見。
お忙しい中、丁重な御手紙とお写真をお送り下さいまして誠に有難うございました。
写し出されたあの時の光景が目に浮かび、暫く見入ってしまいました。
大切な記念の品です。
心より御礼申し上げます。
新婚旅行以来、24年ぶりの海外旅行でした。
旅慣れた方々の中、私達は初心者という風で、バスに乗り遅れたりチェックアウトし忘れたりと、全くトラブルメーカーでした。
皆様に大変ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありません。
この様な、いっときだけの出会いでも、会話の中でその方の人生が垣間見えてくるものです。
印象深く思い出しては、その人が幸せでありますようにと願わずにいられません。
貧しすぎるでなく、贅沢な生活が出来るでなく、お金の工面をしながら繰り返しを送る日々に苦しむ事もあります。
「何のために生まれてきたんだろう」
「子供のお守りの為に生まれてきたのよ!」と自分に言い聞かせ、諦めをつけ、家事育児に追われなければなりません。
3人の子供の小さい頃は修行の日々でした。
ところがどっこい、人生の後半で、これまでの日々はこの為にあったのか、と目を開かれる時があります。
些細な事でも嬉しくて、大袈裟に“神が用意した人生”すら感じたものです。しみじみ人生に何の無駄もないと思えます。
いやでも歳を重ねると、あれこれ回想しては考えることが多くなるのに、若いときも思い悩んできたなんて、あーバカだった、と苦笑いです。
本当に良い出会いを頂き、有難う御座いました。
私がもっと歳を重ねたら思い出を反芻しながら生きていくのでしょう。
もう、お会いする事も、こうしてお便りすることもないでしょう。
御家族皆様が末永くお幸せでありますよう、御祈り申し上げます。
これにてごめんください
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