⑹返事を書く(前話に)(はがき)

前話では

「もう十年になります。良い機会ですので、これを区切りにしたいと思います」と、夫のパソコンにメールが届きました。


このいかなごを辞退するメールに、夫はメールで返事を書きましたが、私は手書きの葉書で返事をしました。


お互いねぎらい合い、気持ち良く止めます。


………


街は華やかなクリスマスメロディーに溢れ、本年もいよいよ一週間で暮れていこうとしています。


厳しい寒さが続きますが、お体の具合は如何でいらっしゃいますか。


明年からは、くぎ煮を御遠慮になるとの御便りを戴き、残念で寂しい限りでございます。


〇〇様と夫も、歳を重ねてきました心と体です。まして大病なさった後は、気力体力に影響がある事と拝察いたします。

ですので、いつかそうせざるを得ない、致し方無い事でございます。


どうか今後も ご厚誼の程 お願い申し上げます。


何卒、御体お大切になさいまして、良い年をお迎えください。


┅┅┅┅


ところが翌年四月、亡くなった!…と夫から知らされます。


大きな手術をされましたから、何か予感があったのでしょうか。

最後まで御自分の事は御自身で終わらせる為、私達夫婦に通知されたのでしょう。


後を濁さず、静かに去って逝かれました。

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