第3話
「桜木くん、あの、、」
五限目の授業が終わり授業の教科書を鞄に片付けていると久々に人に話かけられる。しかも女性なのはレアだ。
なんだろう??そう思いじっと見ると女性は一歩さがり目をそらしながら早口で課題が今日までなので出して下さいと言う。
あーうん、このカッコだとそういう態度になるよね女性に言われた物を鞄から出す。
女性はヒナさんと同じぐらいの身長で小さく全員のレポートを持つことができるのか心配になるほどだ。
「えーと、誰さんだっけ??」
「えっ・・・吉野ですけど???」
女性はなぜそんなことを聞くのかわからないと目を開く。
モモンガみたいだ。
ふと笑ってしまう。
「あの?」
「あーごめん、吉野さんそれ山先に持ってくんだよね?俺、山先に用事あるからそら持ってくよ」
そう言って返事も聞かずレポートを受け取り教室を出る。
俺と話してると変な目で吉野さんも見られるから可哀想だしね。
山先は社会経済学の先生で入学当初、このカッコのため浮いていた俺に普通に話かけたマイペースな人だ。そして、今だに仲良い奴を作れない俺を気にかけてくれる。
ヒナさんと会うまでまだ少し時間がある。山先の手伝いでもしながら時間を潰そうと先生のいる教授室にさっさと向かった。
そして桜木が教室から去った後、クラスにいた女性らが騒いでいた。
「今のみた??」
「みたー」
見た見たと女性らが騒ぐ。
「まじ、桜木くんスマートだったねー」
「ねーやっぱクラスでダントツでカッコイイよね、見た目は」
「だね、それに優しいよね、この前売店でいざ買おうとしたらお財布忘れてるの気がついてめっちゃ並んだのに最悪って思ってたら桜木くんが後ろからすってお金出してくれてそんな高いものやないから奢るねって言われたの」
めっちゃスマートとまた女性らが騒ぐ。「でも、あのカッコがね、、」
1人の女性がそう言ったとたんみんな目をそらす。
あの中二病丸出しなカッコをやめたら桜木はすぐにでも彼女の一人や二人作ることができるだろう。
でも、本人は自分の顔がカッコイイと周りに評価されているとは知らない。
周りの高校時代の友人達も自分の青春を謳歌するためにレベルの高い敵を作りたくないために誰も教えなかったのだ。
そのため、桜木は自分が周りにキモがられていると思っている。
つまり、可哀想な奴なのだ。
中2半病 @yuukittk
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。中2半病の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます