第2話
いつも通りの服装。髑髏のTシャツに革ジャン。チェーンのついた財布をジーパンのポッケにいれる。そしてジーパンにももちろん髑髏がついている。
まるきり周りにイタイと言われる服装を身につけて大学へと向かう。
自分自身は恥ずかしいという感情もなく、周りから浮いている存在なのも理解してるし、もうすでに好きだから仕方ないと開き直っている。
イタイと言われてもだから?と返すほどだ。
周りの友人は過去の恥ずかしい記憶を思い出すのか目をそらし、少しずつ離れていったけど。
洋楽を聴きながら大学にバイクで登校し、小腹が空いたので売店に向かう途中桜が咲き誇り綺麗な一本道をのんびりと歩く。
「春だなぁー」
のんびりと1人ごちながら周りを見渡すとサークルの勧誘にたくさんの人がせわしなく動いている。
もちろん自分には誰にも近寄ってこない。変な人間を自分のサークルに入れたくなんてないんだろう。
まぁそーだろね、とことこと人の波を避けながら売店へと向かう。
お腹がぼちぼち限界になってきた。
早足で向かいもう少しで売店に着きそうな時だった。
「あのっ、サークル興味ないですか?」
俺みたいなのに話しかけるなんて珍しいと思い、興味半分で振り返ってみた。
周りを見回すが誰もおらず自分にではなかったかと売店へと向かい直す。
でも誰かに引っ張られる。
「あの、下っ、した見てください」
下を見るとめっちゃ小さい女性が俺のTシャツをギュッと握っていた。
そして目が合うとニコッと笑う。
イチコロだった。
「入ります。」
「えっ?」
「サークル入ります。」
「あの、なんのサークルかも言ってないけどいいの??」
「サークルになんか入って見たかったのでなんでもいいです。」
あなたがいるならとはさすがに引かれると思ったので言わなかった。
「ほんと?助かります、誰も捕まらなくてこれ以上捕まらなかったらメイド服着せるって言われてて」
あと一日待てば観れたのか惜しいことしたとか言いそうになるのを我慢した。すげー言いそうだったけど。
「あの?今日5時以降とか暇ですか?部室に来て書いて欲しい書類とかるんだけど」
「いいですよ」
「よかった、あのLINEの交換してていいですか?」
LINEで始めて女性の名前が友人枠に入る。
「では、放課後サークル棟前にー」
そう言ってサークル勧誘に彼女は戻っていく。
「ヒナさんか」
LINEの名前をみて1人ごちた。
めっちゃかわいくてそしていい匂いがした。
ぼーとしながら売店で適当にパンを買い、講義を受ける。
そして、お昼になり、ぼんやりと講義の終わった教室でご飯を食べた。
いつも通り一人で。
高校時代仲の良かった友人もあちらこちらに見えたけどみんなおしゃれな服を身につけて楽しそうに笑っていた。
自分が近づいたらかわいそうだ。
せっかく大学デビューしたのだから。
窓から見える売店のある校舎を見ながら朝であったヒナさんを思い出す。
彼女は自分から俺に話しかけたから近づいてもいいよな?
桜の花びらが風に舞い上がているのを見つめながら考える。
まぁ、いいよな?そう結論づけた。
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