第十一楽章
「‥‥‥。どうして、あなたがそのことを、知っているのです?」
赤羽は誠に遺憾というように、されど隠しきれない『怒り』のようなモノを感じさせる調子で言った。
なに、簡単な話さ、俺の中の俺と話をつけてきただけだ。
淡々とした口調で言った。
話は、少し遡る。
また、ここにきたのか?でも、すごく、静かだ。日塚もいないのか?
唐突に思考は打ち切られることになる。
よぉ、ようやく会えたな。俺。
そこには、髪の毛が完全に白くなった、日常的に目にしている、存在を見た。
俺?悪い冗談はよしてくれ。俺は、そんな白い髪をしていない。
やっぱ認めたがらないか。でも、時間はあまり無い。お前にはこれから俺の軌跡を見てもらう。
お前の軌跡?そんなものを見てどうする?
お前に、色々と知ってもらわなければならない事があるからだ。これを見れば俺の様になるかもしれない。だが、赤羽に勝つにはこの方法以外には時間が無さすぎる。‥‥‥‥‥‥‥‥。始めるとしよう。
その瞬間、また、意識がなくなった。
目を覚ますと、そこには、小さい頃の俺?らしき人物が無邪気に遊んでいた。不意に、横から、少女のものらしき声が聞こえた。
「くれと〜。遊ぼう!」
そう笑顔で言った。少女を幼い頃の俺は、笑顔で いいよ。 と言った。
そんなところから幾年かたったある日。
少女が学校でいじめられだした。
「暮斗。一緒に帰ろう?」
少女は俺に心配させない様に気丈に、悟られない様に、笑った。でも、裏では、いつも泣いていた。
「暮斗。辛いよ、助けてよ。」
少女はその声を押し殺した。
対する俺は、そんなことはつゆ知らずいつも通り、変わらず、生きていた。
それから、数ヶ月後
少女は死んだ。死因は、事故死。しかし、俺は見てしまった。トラックが来る。車道に、押された少女の姿を。
その時から、俺は変わった。守りたいものを失わないために。守りたいものを害するものを破壊するために。だが、遂には、その努力が報われず死んだ。そこから、戦った。このゲームを、何度も戦った。赤羽を倒した。ゲームに勝った。それでも、報われなかった。だから、俺は、記憶のほとんどを封印した。
目、覚めたか?
ああ。
俺とは、違うみたいだな。
俺は、手に入れる。どんな存在となっても。あいつを蘇らせる。
いい覚悟だ。折れてくれるなよ。もう、俺を受け入れられそうだな。あとは、好きにしろ。任せた。
そして、俺は、目覚めた。
歯車は混ざり合って、反応を起こし、流れを変えた。
Lost my mind @nanishi
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