追う夏、来る夏(3)

 時折、トキが調理器具を扱う物音が居間まで聞こえた。

 まな板を優しく叩く音。金物が短く触れ合う音。

 しかし、そんな食欲を期待させる音に胸を膨らませる余裕はない。

 あたしは、ぺちゃんこにへこんだお腹を抱えながら、真宋さんから質問攻めにあっていた。

 しかも、それはトキが夕飯を運んでくるまでずぅっと続いていたのだ。


「ずいぶん盛り上がってたみたいですね」


 熱く湯気を立てる肉じゃがの盛られた皿。

 それをおぼんに載せ、ホッと安堵したような声と共に彼は戻ってきた。

 けど、あたしとしてはこの質問攻めにされた状況を『盛り上がる』とは言いたくない。

 夕飯が食卓に到着するまでの数十分……訊かれるがままに答えさせられ、ずいぶん余計なことまで口走ってしまった気がする。

 そうやって個人情報を放流し切りげんなりするあたしと違い、真宋さんは楽しげに答えた。


「うんっ。そうだね。昼間は浅緋ちゃんが勉強してたから話しかけられなかったし。良い時間が過ごせたよ」


 あかるく、まるで色を塗ったような栄えた声から彼女の機嫌の良さが窺える。

 それに、真宋さんはにこりと表情をほころばせたりはしなかったが、料理に対する期待が静かに胸を膨らませているようだった。

 彼女はトキの手でテーブルに並べられていく夕飯に目を奪われ、「おぉ」と声を漏らす。

 そんな真宋さんの先程の発言に、あたしは昼間の沈黙の原因を見つけてしまっていた。


「あのっ、真宋さん? もしかして、あたしが夏の課題やってたから昼間は話しかけなかったんですか?」


 それは食卓に夕飯が並び切るのとほぼ同時のこと。

 つい、そんな言葉があたしの口を突いて出た。

 すると、来客用のお箸を手に取った真宋さんが、肉じゃがからあたしに目線を移し「そうだよ?」と、答え、言葉を続ける。


「あの時、すごい集中してたから話しかけない方がいいと思ってさ」


 そして、『えらかったでしょ?』と、でも言いたげに頬を緩め、彼女はあたしに笑いかけた。

 その後、瞬きするくらいの短い間に彼女は虚空に視線を投げてから、再び口を開く。


「でもさ。良かったよ」

「何が、ですか?」

「いやさ。トキ君から従妹ちゃんの家庭教師を頼まれた時、どんな勉強嫌いな子と引き合わせられるのかなって考えてたからさ――」


 そう口にする真宋さんのまなざしが、まっすぐにあたしの瞳を捉えた。

 ピンと伸びた姿勢の良い背筋。

 座っている彼女とは目線の高さはそう変わらない筈だった。

 なのにあたしは、真宋さんに見下ろされているような気分になる。


「――昼間、見守らせてもらったけど、一人で三時間近く机に向かって課題に取り組んでたし。あれなら、多少強引な教え方でもついて来てくれそうだなって。安心したよ」


 耳に届いた温和な彼女の声に、あたしは底の見えない拘束力を感じた。

 この時あたしは、昼間の自分の行動が今の――そして、未来の自分の首を力強く絞めつけることになる、ということに気付いたのだ。


「あ、あはは……はは」


 集中力を褒められた筈なのに、乾いた笑いしか出てこない。

 肉じゃがの肉から甘い油の匂いが漂う中、この夏、彼女にどんなスパルタな指導をされるのかと思うと食欲はどんどん減退していった。


「じゃ、食べましょうか」


 けど、あたしに構うこともなく、食卓に着くなりトキがそう言って手を合わせる。

 それに呼応するように、真宋さんとあたしも手を合わせた。

 食事への期待の表れからか、合わせた手に箸まで挟んで食べる準備万端な真宋さん。

 対して、あたしはというと、肩を落としながら手を揉むように合わせている。

 きっと、トキの目にもあたし達はずいぶん対照的に映ったろう。


「それでは、いただきます」


 そっと目を閉じてトキが言うのに合わせ、あたしと真宋さんも同じように言葉を口にした。

 ひとまず、あたしは茶碗によそわれた白米に箸を伸ばし、数えられそうな程度に米をつまんでスズメがついばむようにそれを口の中へ押し込んだ。

 その間、トキがおかずへ箸を伸ばさず、真宋さんを静かに見つめていることに気付く。

 だから、あたしも一口分と言うにはあまりに少ない米粒を口の中でもぐもぐと咀嚼しながら、ちらりと真宋さんに目線を移した。

 彼女は、箸で一口サイズに切ったらしいじゃがいもを慈しむように見つめている。

 さっきまで食べる気満々だったくせに、妙な間を過ごす真宋さんにあたしは首を傾げた。

 けど。


「先輩?」


 そうトキが声をかけた瞬間、彼女が「うん……いいね」と、思い出したようにぽそりとつぶやく。


「まだ湯気が出てる」

「当り前ですよ? 出来立てなんですから」


 トキがそう言うと、真宋さんは何もわかってないなとでも言いたげに細い溜息を吐き――


「それが、当り前じゃないんだなぁ。これが」


 ――そう答えてから、ようやく彼女は小さく開いた口の中に肉じゃがを迎え入れた。


「……うん。おいしいね」


 あたしはどういうことかわからず、訊ねたい気持ちでトキに目線を移す。

 すると、彼と目が合い、その顔には『俺も意味を量りかねている』と書かれてあった。

 そんなあたし達に気が付いたのか、真宋さんは再び肉じゃがへと箸を伸ばしながら口を開く。


「あたしはこれまで、トキ君の作ったごはんは冷めてるお弁当しか知らなかったからね」


 そう言った瞬間、真宋さんがあたしをちらっと見たのがわかった。

 それは本当に短い時間で、あたしは何故彼女に目線を向けられたのかもわからない。

 けど――


「だから、君のあたたかいご飯が食べられるっていうのは、あたしにとって、当り前じゃない嬉しいことだよ」


 ――そんなことが彼女の口からこぼれた瞬間、あたしは胸に小さな棘が刺さるような感覚になった。

 ちくりとしたそれは胸の中でひろがり、次第にもやのようになっていき、いつしか胸中だけに収まらず、喉を這い上がってくる感じがした。

 そのせいで、心なしか口の中まで苦く思える。

 そして。


「いやいや、そんなの大げさですよ」


 茶碗片手に嬉しそうに声が上ずり、ぶっきらぼうに答えるトキの姿がいやに目に焼き付いた。

 二人からふいっと視線を逸らしてみると、自分の眉が機嫌悪く形を歪めているのがわかる。

 甘く匂う肉じゃがに箸を伸ばし、口に含む瞬間、あたしはそぅっと真宋さんを盗み見た。

 大人っぽい人だと思う。

 背も高くて、モデルみたい……間違っても、あたしみたいな取っ付きにくい雰囲気はしない、凛とした年上の女の人。

 なのに、トキのごはんを口に入れた瞬間、彼女は飴玉を大事そうに口にしまうこどもみたいに満足感に頬を緩め、安心を感じているような顔をした。

 そんな彼女の心の委ね方と、トキの後輩らしい様子を見ていると……とても、二人の間に入り込めず、自分の家なのに肩身はどんどん狭くなる。

 口の中には甘い醤油の味付けが溶けてだしていく筈なのに、二人のそばで口をつぐんでいると心の底から溢れる苦々しさで味覚が馬鹿になってしまう……。

 味覚が負け、苦々しさで口がいっぱいになる中、あたしは歯の上に残った小さいすじ肉をグニグニと噛みしめた。

 同時に、このまま黙っているだけじゃ、いつまでも拉致が開かないと考える。

 本当はこんな事言いたくなかったけど……あたしは本音を、すじ肉と一緒にぐっと飲み込み、声を絞り出そうと決めた。

 だって――


「ね、ねぇ! あたしにもちゃんと真宋さん紹介してよ。今日はあたしの家庭教師の話をするんでしょっ」


 ――今、あたしがこうして真宋さんに歩み寄らないと、二人が互いの距離をもっと縮めていってしまう気がしたんだ。

 結果として、この人があたしの家庭教師になってもいい。

 でも、あたしの目の前で、彼女しか知らない真宋るりの後輩の顔をするトキを見せつけられるのは――もう、やだった。

 耳に聞えた自分の声は、我ながらこどもが癇癪起こしたみたいだった。

 不機嫌さを取り繕うような表情もたぶん作れてない。

 けど、今だけはしょうがなかった。


「っと、そうだったな。悪い、浅緋」


 敬うような言葉遣いをしない、申し訳なさそうな声。

 あたしに向けられる、ご機嫌を窺うようなほんの少しのこども扱いが抜け切らない表情。

 これは、あたしのよく知るトキだ。

「じゃあ、改めて俺から――」と、彼は前置きして咳ばらいを一つ。

 その後、自身の手の平で真宋さんを指し示した。

 それを合図に、真宋さんも手にしていた箸を食卓に置き、両手をそっと膝に添える。


「浅緋、この人が真宋るりさん。俺の大学時代の先輩で、今回浅緋の家庭教師をしてもらえないかって相談してたんだ」

「はい。改めまして、真宋るりです。そう言えば、さっきはあたしが訊いてばっかりで自分のことは話してなかったね」


 にこりとあたしに向けられる真宋さんの笑顔は年相応だ。

 あたしには到底真似できない、年相応な大人の女性の微笑み。

 そんな笑顔を向けられたら、さっき急に癇癪起こしたような自分のことがひどく こどもっぽく思えて、徐々に恥ずかしくなってきた。


「あっ――は、はい」


 つい声がしぼみ、あたしは俯いて食卓に並んだおかずへと目線を逃がす。が――


「それで、あとトキ君はどんな風にあたしを紹介してくれるのかな?」


 ――その声にあたしは無意識に反応して顔をあげた。

 すると、真宋さんがいたずらっ子のような顔をして食卓越しにトキに詰めよる姿が目に飛び込んでくる!


「あ、あの! 真宋さんはその、す、スパルタなんですかっ」


 気付けば、あたしは二人に割って入れればいいと、思い付いたことをそのまま口走っていた。

 真宋さんは弾くように質問をしたあたしを見遣り、不思議そうにきょとんとしている。

 トキはというと「うぁっ……」と、汗をかくような短い声を吐き出し、心持が悪そうだった。

 そんな彼に、真宋さんはさっと目線を向け、得心いったと言わんばかりに笑みで口元をにやりと歪ませる。

 それから、彼女はあたしに向かって尋ねるような口調で話し始めた。


「うーん。あたし自身はスパルタって認識薄いんだけどねぇ。きっと、誰かに何か吹き込まれたんじゃないのかなぁ?」


 そして、つんと拗ねるように唇の形を変え、ちらっとトキに目線を流す。


「ねぇねぇ、浅緋ちゃん。その話、誰から聞いたのかな?」

「えっ、それは……えっと」

「せ、先輩、あの――そのへんで勘弁してもらえませんか……」


 言葉に迷うあたしに代り、トキがおずおずと口にする。

 彼のへこりと頭を下げるような声を耳にすると、真宋さんは「全く」とため息をこぼした。


「日頃の感謝の気持ちを込めてしっかり骨身に染みるように教えてあげたのにスパルタだなんて。あたしの気持ちが上手く伝わらなかったんだね。あのね、浅緋ちゃん。あたしは寝る時間削らせるほど変な教え方したりしないから安心してね」

「そう、なんですか?」


 にこりとする真宋さんの笑顔の中にウィンクが一度瞬く。

 そんな裏のなさそうな彼女の言葉に、少しだけ安心するのだけど――


「まあ、趣味に勤しむ時間はなくなるだろうけどね」


 ――隠す気すらなかったらしいその真意に、苦い笑いしか出なかった。

 思わず、それはスパルタに入らないんですか? なんて考えてしまう。


「先輩、そういうのはスパルタに入らないんですか?」


 だから、そうやってトキがあたしの考えたようなことを口に出した時、心の奥がくすぐったくなって笑いそうになった。

 そして、彼の言葉は真宋さんにとってやわらかい棘でも刺さるような感覚だったんだろう。

 口元が緩みそうなあたしとは正反対に、彼女はむっと口を結び声に幼さが滲み始める。


「トキ君? そりゃ、あたしだって優しかったとは言わないけどさ、あの時の君にはアレが必要だったと思うけど?」


 けれど、彼女に刺さった『棘』は、トキが「返す言葉もありません……」と、頭を下げ、非を認めてしまえば簡単に抜け落ちてしまった。

 「そうだろうそうだろう」と、結んだ唇を解く真宋さんの振る舞いは、彼女がずっと年上のなんだということを、あたしに忘れさせる。

 次の瞬間、真宋さんは少女のような微笑みをあたしに向けた。


「浅緋ちゃん、後は食事をしながら話そうか。じゃないと、せっかくのごはんが冷めちゃうよ」


 そう言うなり、彼女は返事も聞かずに箸を手に取り直す。

 あたしは、真宋さんが白米をつまんで口元へ運ぶ中、遅れて「はい」と返事をしてから食事に戻った。

 箸を握り直してすぐ、食卓の影に隠れるように置かれていた漬物入れのビンが目に入る。

 それを手に取り、安い金属の冷たい感触に指先で触れると、あたしはぐっと力をこめた。

 直後、空気が破裂したような音と共に、金属が触れ合うカパッという音。

 そして――


「そう言えば浅緋ちゃん。浅緋ちゃんは、あたしのことトキ君から他に何か聞いてるのかな?」


 ――塩の酸い匂いが鼻を抜けていく中、そんな質問も耳に聞えた。


「他に、ですか?」


 即座に返答できず、確認よりも間をつなぐ意味で声が出る。

 まっすぐな真宋さんの目に『そうだよ』と見つめられながら、あたしは記憶の奥深くに手を突っ込んだ。


「えっと……あっ――そう言えば、トキの話の中に世界一周旅行を計画してる人がいるって」


 いつの夏だったか、たぶん中学の頃にそんな話を聞かされた覚えがあった。


「これも、真宋さんのことですか?」


 確証なく尋ねると、彼女は「ああ、そうだよ」と答えて、ジトリとトキに目線を移す。


「まあ、誰かにあたしのことを話すなら、それほど話題に挙げやすい特徴もないね」


 そう口にする真宋さんの瞳には強い圧がこもっていた。

 箸の先をトキに向け、試すような口調で唇を歪めている。

 そんな、力のこもった言葉と刺すような目線を向けられ、トキは箸につまんだおかずをポトリと落としていた。


「そ、そうですね」


 同意する声とは裏腹に、彼の表情はまるで言わされているかのようだ。

 彼は行儀悪く箸で指されているのに、刃の切っ先でも向けられているみたいに固まっていた。

 その後、二人は沈黙したまま視線を交差させる。

 あたしにはそれが、何やら意思疎通ができているように見えてしまった。

 例えば……今、この二人にアテレコするとしたら――


『他に余計なことは言ってないだろうね?』

『怖くてそんなこと言えませんよ』


 ――ってところだろうか?

 全く……と、あたしは心の内でため息を吐いて、漬物を白米と一緒に口に迎えた。

 トキは、この人に少し甘すぎやしないだろうか?

 あたしが彼女と同じように箸を向ければ、すぐに「行儀が悪い」と諭すだろうに。

 カリコリと小気味の良い触感を飲み込んだ後、口の中が寂しくなる。

 気付けばあたしは、唇ではんでいた箸先をカチカチと小さく音を鳴らしながら噛んでいた。

 そして、あたしと同じようにトキに諭される真宋さん……と、いうのを想像してしまう。

 すると、それはそれで口の中が苦くなる思いがしたのだから始末が悪い。

 さっきからあたしは、真宋さんに対するトキの態度が心に引っかかってばっかりだ。

 そのせいか彼女の言う『話題に挙げやすい特徴』がちっとも気にならない。

 世界一周旅行だなんて、ほのかが隣に居ればあたしに代わって聴き手を務めてくれただろう。

 そうだったら、話ももっとスムーズに進んだ筈だ。

 でも今、この場を執り成してくれたかもしれないほのかはいない。

 そんなだから、あたしの心の引っかかりと、真宋さんの『話題に挙げやすい特徴』が胸の内でぐちゃぐちゃに混ざり合ってしまったんだと思う。


「あの、――」


 だから気付いた時にはもう、それは悪態に姿を変え、制止する間もなくあたしの喉を飛び出していた。


「――そんな世界一周旅行しちゃうようなアグレッシブでグローバルな人が、どうしてあたしの家庭教師なんか引き受けようと思ったんですか?」


 あまりに可愛げのない自分の声に驚き、声に耳を引っ張られるような感覚になる。

 でも、そんなあたしよりも驚いてみせたのはトキだった。

 彼は、かっと目を見開き、何か言おうと口を形作る。

 でも、それは声になる前に真宋さんに手で制止された。


「先輩?」


 ぼそりとトキの口から声がこぼれる。

 彼女は「まあまあ」と口にした後「うーん」と唸り始めた。


「そうだね。実は、色々と理由はあるんだけどさ――」


 ゆっくりと唇が動き、落ち着いた声で真宋さんは慎重に言葉を選んでいるように思える。

 あたしにはそれが、彼女の『自分は年上だから、余裕をもって然るべき』という考えのような気がした。

 それがまるで、自分のこどもっぽさを思い知らされるようで……あたしは、真宋さんから目線を背けたくなる。

 けど、そうしなかったのはそれがギリギリ自分に保てそうな最後の礼儀だと思ったからだ。

 ただ、そんなあたしを見据える彼女の瞳に、真宋るりの本性――その片鱗がきらりと光って見えた。

 それは、今日この場所でトキにだけ見せてきた彼女の一面。

 まるで、こどもが大人をからかうような悪意の無い、しかし人を試すような目付き。

 それが、今あたしを捉えた。


「――正直、あたしが久々にトキ君に会ってみたかったのかもしれないね」


 声は出なかった。

 耳を引っ掻かれた気さえしたが、声には出さなかった。

 けど、どうしようもなく表情が動く。

 小さなあたしの表情の変化――これは、トキからは見えなかっただろう。

 でも、この人には丸見えだった。

 そして――


「ごめんごめん。ほんの冗談だよ」


 ――片目を瞬かせ、真宋さんは綺麗にウィンクを決めて見せる。

 けれど、あたしはそれをとても冗談だと受け止められなかった。

 今も、言葉の衝撃に心がずっとぐらついている。

 ただ、そんな心の中にも定まっていくものはあった。

 真宋さんは、トキに会いに来たんだ。

 きっと、好きな人に会いに来たんだ。

 この一瞬、あたしは声を出せなくなった。

 口の中は、舌があるのかどうかさえ感覚が曖昧になっている。

 でも、ごくりと喉を鳴らして、ぬるい唾を飲み込んだ。

 そして、確信する。

 真宋るりという人は、きっと、トキのことを好きなんだ。

 これを、自分の思い込みだとは思わなかった。

 あたしは、いつの間にか心の中でそう決めつけ、一人焦っていた。

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