第4話 ゲーム機能


 ゲームプレイ機能。それは別にD-Petの育成ゲームや、内蔵ミニゲームをしようっていう話ではない。

 映像認識、スコア等からAIがゲームを学習し、AIがゲームをする。D-Petとはまったく別の機器、コンシューマゲームでもだ。

 最近のゲームは無線コントローラーなので、D-Petに専用ソフトをダウンロードすれば使えるようになるという仕組み。


 AIなら本来フレーム単位で正確な入力もできるのだろうが、D-Petのステータスや学習状態からファジーに、人間臭いゲームプレイが可能となっている。

 ぼっちなゲーマーをして、『友達が売ってた』という名言が産まれた機能。それがこのゲームプレイ機能だ。


「これで2P対戦や協力プレイができる……!」

「ボンバー○ンでも桃○でもいけるよっ。RPGのレベル上げとかもできるし……あ、でもオンラインゲームのレベル上げは規約違反になっちゃうからできないようにプロテクトがかかってるのがあるの」


 人間に限りなく近いAIだけど、いや、限りなく人間にちかいAIだからこそBOT(ロボットを語源とした自動レベル上げツールとか自動アイテム収集ツール。ネットゲームでは規約で使用禁止とされているものが殆ど)扱いになるのか。


「とりあえず、1人用ゲームでもやって見せてくれ。アクションで……お、これがいいな」


 俺は国民的な有名ゲームをとりだした。では、お手並み拝見と行こうか。


 ~*~*~


「回避、回避……うわわっ!」

「あー、惜しかったな、今の」


 主役の操作キャラが、右から飛んできた敵キャラを回避しきれずにやられてしまう。「やられちゃったのー……」と落ち込むセツナのゲーマーとしての腕前は、小学生レベルだった。


 AI自身が自分で操作して動くものを『自機』と認識し、キャラクターと背景を認識し、HPやら残機、スコア、そういうパラメータを認識して、スコアが上がる『アイテム』や『地形』、自機のパラメータに害を与える『敵弾』や『敵』に、自分から発射される『自弾』や『敵の倒し方』を順に認識、学習していく。と、ゲームオーバーになりながら「そういう仕組みなの、べ、別にボクが下手なわけじゃないの」とセツナが言い訳してくれた。ちなみにちゃんと「これは敵、上から踏めば倒せる」「これはアイテム。とるとデカくなって攻撃一回くらっても大丈夫」とか教えてやると早く学習が済むらしい。


 そうした学習結果はある程度のテンプレートとなり、ほかのゲームをプレイするときにも生かされる。つまり、ゲームをプレイさせればさせるだけ、上手くなっていくのだ。SITL(Survival Instinct Template Learning)とかいうやつらしい。


 結局、学習して最初のステージ1をクリアするまで、何度かゲームオーバーになって、15分かかった。

 しかしその後ステージ1をやり直したときは普通にプレイするようなレベルでちゃんとノーミスクリアしたのである。……あ、土管でしゃがむと別ルートもあるよ、と教えるとちゃんと適応した。


「見てて面白いけど、そんなに上手いってわけでも無いんだな」

「……もっとボク自身のレベルが上がれば、もっと上達するよ?」

「え、それステータス依存なの?」

「うん。ちなみに攻撃力が高いとゴリ押しなプレイスタイルになるの」


 そういえば2番目に高かったな、攻撃力。1番は敏捷だったけど。


「敏捷は、反応速度が高くなるの! 早くて強い!」

「……防御が高いとチキンプレイとか慎重派になったりするのか」

「そうなの」

 

 最近のAIってのは本当に人間と変わらないレベルまでになってるんだなぁ、と感心するしかないなぁ。


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D-Petシンドローム! 鬼影スパナ @supana77

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