第3話 ご飯と掃除


「で、セツナにどうやってご飯をあげればいいって?」

「簡単なの。本体の3Dディスプレイにメニューを出して、ご飯をあげる、をすればいいだけなの。まぁぶっちゃけチュートリアルなの」


 ちなみにスマホやPCからでもあげられるらしい。しかも決まった時間にタイマーであげられる機能もあるとか……


「ただ、タイマーで食べられるのは成長が少ないから、なるべく手作業で食べさせて欲しいのっ」


 そういう要素もあるのか。とりあえずメニューを開いて見る。ああ、「ご飯」のほかに「掃除」と、「トレーニング」、「ルーム」に「家具連動」ってのもあるな。ふむ、家具連動機能はここからできなくもないのか。


「おなかすいた……」

「おっと、悪い悪い。とりあえずご飯っと……うん? ポイント?」


 ご飯には必要Pが併記されていた。0Pの物もあるけど、10Pや100P、1000Pなんてものもある。ちなみに今持ってるポイントは1020P。……何かしら行動するとポイントがもらえるのかな。


「とりあえず……何ポイントのがいい?」

「100Pくらいがおススメかな? 1000Pは豪華なごちそうだけど」


 尚、課金でPも買えるらしいが、推奨はされていないらしい。トレーニングするだけでもPは貰えるんだから買う程のものではないという事らしい。

 実際、初期ポイントが1000Pだとすると、20P入っていることになる。


「ご主人様、はやくー。100Pの『大きなおにぎり』を選択してほしいのー」

「はいはい。100Pなーっと」


 100Pのご飯を選択すると、ポンッと大きなおにぎりが現れた。

 こっちもお腹が空いたな。キノコと豆腐のバター炒めでも作って食べるか。


「わーい、いただきますっ♪」

「おっと、待て」

「ひゃいっ!?」


 一緒にご飯を食べる、という機能もあるんだっけ? 試してみるか。


 俺は台所でささっとキノコと豆腐のバター炒めを作る。

 ご飯は冷凍庫に1食分に小分けにしてたものをチンして、あとインスタントの味噌汁を作る。これでよし。……肉っ気が足りないが、まぁいいか。


「お待たせ」

「遅いの! 早く食べるのご主人様!」

「ん。じゃあ一緒にご飯機能をつかうぞ」


 テーブルの上に食事を置く。すると、セツナの方でも同じメニューに切り替わる。なんでも、カメラや冷蔵庫の諸々と連動して、飼い主と同じメニューを食べているようにできるんだとか。


「まぁ見た目だけで、満腹度の回復量は据え置きなの」

「そこは世知辛いというかなんというか。じゃ、いただきますっと」

「そんなモンなのー、いただきます!」


  ~*~*~


「ごちそうさまー」

「ごちそうさまでしたっと」


 食事の後、セツナのステータスを見ると満腹度は95%まで回復していた。

 もっとも増えてなかったら困るけど。


 さて、腹ごしらえも済んだところでD-Petの操作を再開しよう。


「ご主人様! チュートリアルはまだ終わってないの!」

「おう、次は何だ?」

「ふっふっふ……チュートリアルのために清潔度を下げておいたの。さあ、掃除しようか……!」


 ステータスを確認する。なるほど、清潔度が80%まで下がっていた。どうやったんだろうとも思ったけど、チュートリアルならそういうのもアリなんだろう。


 チュートリアルなら仕方ない、俺はさくっとメニューから掃除を選択した。

 これは食事とは違ってP消費は無いようだ。


 ぽち、と押した一瞬でしゅわぁっと清潔度の%値が増えていき、あっという間に100%になった。

 簡単なもんだ、掃除みたいな面倒事は一瞬。さすが電子ペット。

 食事については食べる姿が可愛い、という意見もあり、それなりに時間をかけたりモーションがあったありするわけだ。


「うん、ばっちり綺麗になったねっ」

「掃除もタイマーで設定できるのか?」

「……掃除はタイマー設定できないんだよねぇ。まぁ、ボク自信がこちょこちょ掃除すれば清潔度を維持することはできるけど」


 そういうのもあるのか。へぇ……まぁ、所詮はプログラム上の数値といえばそれまでなんだけど。


「さて、それじゃご主人様。なにする?」


 と、そういえばD-Petを買った理由。それは最新機能が目的だった。

 しかもその機能はゲームタイプのみで有効な機能――つまり。


「最新機能……ゲームプレイ機能だね!」

「うん、というわけで、やろうか。ゲームを」





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