主人公に突きつけられた『神様になるか?』、それとも『人間のままでいるか?』という選択肢について、哲学的な話を交えて考察していくシンプルかつ奥深いストーリーだ。
まず最初の数行を読んだ辺りで「読みやすい文章だな、どうしてだろう?」と不思議な印象を持った。
そうして1話、2話と話を読み進めるにつれて「何だか作者さんの思考回路が自分に似ている気がする」と思うようになっていき、スワンプマンの話が出た辺りでそれはもはやシンパシーとなった。
作中で特に注目したのは、人間と神様では縛られている法則(ルール)に違いがあり、人間側の法則下で生じる多くのパラドックスが、神様側の法則を交える事により容易に解消されてしまう、という部分だ。
この辺の発想には、様々な知識が組み合わさらなければ至らないと思う。
またあくまで個人的な感想だが、神様はワンピースを着た少女であるにも拘らず、行動や発言、そして奇跡の表現手法から、西側の唯一神教や日本の神道というよりも、ヒンズー教の神様のような印象を受けた。
まぁ、神様の世界では人間の世界の分類など意味を持たないのかもしれないが……。
こういう作品と出会えるだけでも、カクヨムに存在意義があったのだと感じる事が出来る。
哲学や思考実験が好きな方は要チェックだ。