第3話
「さて、さっきの奴らは何だったんだ?」
荷解きを終えラウンジに3人で集まり、ユーリはマリーにそう問いかけた。
すると眉を顰め、困り顔で話し始めた。
「最近町に入って来たガッメイ家と言う商人たちです」
「ガッメイ?」
その名前に引っかかる部分があったのか、ユーリは首をかしげる。
「聞いたことが?」
「あー、有るような無いような…… 思い出せん。すまんな、続けてくれ」
「えっと、ガッメイの商人たちは一月程前からこの町に来ました。それからしばらく町の中で何かを探すように男たちがうろついて居たんです。その時点では怪しいとは思いましたが不都合がある訳でもなかったので放っておいたんですが……」
「……」
「ユーリさん?」
話を聞くにつれユーリの顔がだんだんと曇っていく。
その様子を不審に思い横からリルカが声を掛けた。
するとため息交じりに言った。
「狙いは『
「え……」
「その反応は当たりか。はー、ブッキングかー。なんだってこう俺の旅は……」
「あの、ユーリさん?」
「ん? ああ、すまん。俺もそれが目的で来たんだ」
「その『
「カリティっていう冒険家の残した手記に記述があるお宝だ。俺はトレジャーハンターだってのはピッツ達に聞いたんだろ?」
「え、はい」
少々離れていたためにそのことは聞こえていないだろうと思っていたリルカは少し驚きつつも肯定した。
「この業界は基本的に早い者勝ちだし、こうやって狙いが被ることはままあるんだが…… しかし商人が宝探しか。うーん、俺のこれまでの経験的に嫌な予感しかしないなぁ」
項垂れるユーリを横目に、リルカは疑問に思ったことを口にした。
「でもなんでその『
「おそらく、私が町長の娘だからかと」
「そうなんですか!? こ、これは失礼を……」
慌てて佇まいを正す様に背筋を伸ばすリルカの様子を少し可笑しそうに見ながらマリーは言う。
「いえ、そんなかしこまらないでください。私が偉いわけではありませんし」
「はあ……」
「町長はどうしたんだ? 普通なら近親だからって態々聞きに来ないだろう?」
「父は町を離れているんです。最近この町は食料が不足していまして、それを解消するために食料取引を拡大させようと首都へ向かったのですが……」
「アースドランか」
「はい……」
「そうか…… ま、俺がしばらくいるから大丈夫だろ」
「本当ならお客様にご迷惑をおかけするのは心苦しいのですが……」
「言ってるだろ? 俺の精神衛生上の話だ。気にしなくていいさ。つっても四六時中ここにいる訳にもいかないからそこら辺は気をつけるように。あとリルカも気を付けろよ? 多分顔覚えられてるから」
「うぇえ! マジですか!?」
「メインで恨まれてんのは俺だろうけど一緒に入ってきちゃったからな。アウトだろ」
「アウトですか……」
そんな二人のやり取りを見ながらマリーはどこか硬かった表情がほぐれ、くすくすと笑ったのだった。
トレジャーハンターは世界を駆ける 粉犬 @konainu
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