第8話 夜が明ける
・は場所
:モノローグ
・工業地帯
銀仮面「共闘だ! 共闘して奴を倒すぞ! 」
叶「はい? 」
闘牛が二人に向かって突進。
銀仮面は叶の手を掴み、一緒に回避。銀仮面は叶のデッキから無理やりカードをドロー。
叶「ちょっと、なにしてんのよ! 」
銀仮面「うるさい、黙れ! 」
銀仮面はピアスにカードをかざす。
銀仮面「
叶の体が緑色の光に包まれ、傷が癒える。
銀仮面「その状態では戦えないだろ」
叶「あ、ありがとう……」
銀仮面「礼などいらん。足手まといになられると困るからな」
マキナ「この男、人をイラつかせるのが得意なようだな」
銀仮面は双剣を生み出す。
銀仮面「いくぞ」
銀仮面が闘牛に迫る。闘牛は斧を生み出す。斧と剣でつばぜり合い。
銀仮面「(叶に)何してる! 援護しろ! 」
叶「あ、うん」
叶は闘牛の後ろにまわり、
闘牛「ふんっ! 」
斧でなぎはらい、銀仮面をくずす。銀仮面は双剣を捨て、距離を取ると同時に短剣を生み出す。闘牛の顔をめがけて投げる。闘牛はそれを掴む。
銀仮面「ちっ」
叶「やっぱり硬い」
マキナ「どうやら傷口を探すしかないようだな」
叶「ならもう一度、
マキナ「それは辞めた方がいい。
叶「でも、近づかないと傷口がわからないじゃん」
叶は闘牛の接近する。闘牛は叶に殴りかかるが叶はそれを回避。闘牛を銀仮面が発動した
銀仮面「何をしている! 攻撃をしろ! 」
叶「うっさい! こっちにはこっちのやり方があんのよ! 」
闘牛は氷のつぶてを払い、斧を持って二人に迫る。
銀仮面「
銀仮面は大剣を生み出す。闘牛の斧を上に払う。銀仮面は離れる。がら空きになった腹部を叶は
銀仮面「どこだ」
何かに気づく叶。上を見る。
叶「上よ! 」
闘牛「もおおおおおおおおおおおおッ! 」
闘牛は落下しながら斧を振り上げ、着地と同時に地面に振り下ろす。二人は回避する。
叶「マキナ! 」
マキナ「ああ、見えた」
銀仮面「何がだ? 」
叶「(銀仮面に)あいつの弱点。正確に言うと攻撃が通る場所」
銀仮面「なんだと!? それはどこだ」
斧を持った闘牛が襲い掛かる。二人はそれを回避。そして、走って逃げ、コンテナの陰に隠れる。
銀仮面「いいから教えろ」
マキナ「腋だ! あいつの右腋に小さいが切り傷がある」
銀仮面「そうか。おい、エセ魔法少女! 」
叶「なによ」
銀仮面「俺が奴を引き付ける。奴の腋が空いたならお前は全力を叩きこむ。どうだ? 」
叶「あんたの偉そうな態度はムカつくけど……いいわ。その話、乗った! 」
銀仮面「なら……いくぞ! 」
銀仮面はコンテナから飛び出し、闘牛の方へ走る。
銀仮面「
銀仮面は双剣を持つ。闘牛の斧を避けて切りかかる。しかし、闘牛は無傷。銀仮面は高く飛ぶ。落下と同時に剣を振り下ろす。斧と剣が交わる。
マキナ「かなえ、今だ! 」
叶「うん。
叶は高速で闘牛の右腋を切り裂いた。黒い血が舞う。
闘牛「なに!? 」
闘牛はひるみ、右手に持っていた斧を落とす。叶と銀仮面から離れ、ボクサーのファイティングポーズのように腋をしめて構える。叶、高速で連続攻撃。闘牛はガードしていて、腋に攻撃がいかない。叶の高速連続攻撃は続く。闘牛の左目に銀仮面が投げたナイフが刺さる。
闘牛「ぐわあああああああああああああ」
闘牛は目を押さえて叫ぶ。
銀仮面「ざまあ見ろ、ぐふっ……」
銀仮面、胸を押さえてうずくまる。叶、左腋を切り裂き、ひざの裏、ひじの裏と順に切り裂いていく。ひざまついた闘牛の下は黒い血で水たまりのようになっている。立ち上がろうとする闘牛。
叶「とどめだああああああああああああああッ! 」
叶は
闘牛「モおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ! 」
叶「うわあああああああああああああああああああッ! 」
黒い血しぶき。やがて闘牛の叫びは無くなり、叶は剣を抜いた。闘牛は倒れる。
叶「はぁ……はぁ……はぁ……勝った。勝ったんだ」
マキナ「まだ、完全に死んだわけじゃない。だが、カードになるのも時間の問題だ」
叶はコンテナの方へ目をやると銀仮面がもたれて倒れている。
叶「(銀仮面に)ちょっと、大丈夫なの? 」
叶は銀仮面に近づく。
銀仮面「なんでも……ない……ぐふぉっ」
銀仮面、血を吐く。
叶「なんでもないことないじゃない。こうなったら
マキナ「かなえ、それは無理だ」
叶「なんでよ」
マキナ「(銀仮面に)お前、精霊魔導士なんだろ? 」
叶「精霊魔導士? 」
マキナ「本来使えるはずのない魔法を精霊の加護を受けて使用する魔導士だ。おかしいと思わないか? この男が魔法少女にしか使えないカード魔法を使っていることを」
叶「言われてみればそうよね……でも、それと
銀仮面「使えにははずの魔法を使うんだ……それなりにリスクを伴う。自然回復以外では治せないダメージってリスクをな」
叶「そんな……」
闘牛が目を開けて立ち上がる。
マキナ「かなえ! 」
叶は闘牛の方を見る。ふらふらとふらつく闘牛。
叶「まだ、戦うっての!? 」
突然、闘牛から黒い血が噴き出し闘牛はカードになる。
叶「封印、出来たんだよね? 」
叶はカードを取ろうとゆっくり近づく。マキナは地面に散らばった黒い血が少しだが、動いていることに気づく。
マキナ「待て、かなえ」
叶「え? 」
散らばった黒い血がカードに集まる。
叶「何が起きてるの!? 」
マキナ「こんなこと、僕にもわからない」
やがて黒い血の塊は25m程の巨大な牛と化した。
黒牛「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
耳をふさぐ叶。黒牛は突進してくる。
叶「まさかの第二ラウンドってわけ? 」
マキナ「のんきなことを言える状況ではなさそうだぞ」
叶は逃げるが、逃げる方向に銀仮面がいることに気づく。足を止める。そして、黒牛の方へ走り出す。
マキナ「どうゆうつもりだ! 」
叶「怪我人が居る方に逃げられるかっての! 」
叶は
叶「こっちよ! 」
黒牛は叶の後を追いかける。黒牛はコンテナにぶつかりながら走る。コンテナにぶつかると黒い血が舞う。
マキナ「もしかしたらあいつの体、さっきほど硬くないのかもしれない」
叶「なら! 」
叶は
叶「さすがに……これ以上はキツイかも……」
マキナ「ふんっ! 」
マキナが一生懸命に羽をはためかせてなんとか無事に着地。煙の中から赤い眼が光るのが見える。黒牛が突進してくる。
叶「
叶は障壁を使うが、簡単に壊される。叶は黒牛にはねられて宙を舞う。そしてコンテナに激突。二人は壊れたコンテナの中。気を失っている叶。ボロボロの魔法少女衣装。
マキナ「かなえ! 」
マキナは人間体に戻り、叶のもとに向かった。叶は頭から血を流し意識を失っている。マキナは叶を抱きかかえてゆする。
マキナ「おい、しっかりしろ! かなえ! かなえ! 」
工場地帯にたどり着いた詩音と金仮面。
金仮面「おいおいおい! いったいどうなっちまってんだよ! 」
詩音は何かに気づく。
詩音「喜助さん、あそこ! 」
詩音が指さした先にはコンテナにもたれかかってる銀仮面。
マキナ「かなえ! かなえ! 起きろ! 起きてくれ! ここで終わるのか? お前はこんなところで終わるのか? 言ってたじゃないか! 最強の魔法少女になるって! みんなを守るって! 言ったじゃないか……」
叶、マキナの手を掴む。
叶「うるさいなぁ……んなこと……わかってるっつーの……」
マキナ「かなえ! 」
黒牛「ぶおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ! 」
黒牛はか叶はマキナに肩を借りて、歩き出す。
叶「マキナ、大丈夫だから……杖に戻って……」
マキナは少しためらう。
マキナ「わかった……」
マキナは杖に戻る。それを掴む叶。ふらついているが何とか踏ん張る。
叶「はぁ……はぁ……
黒牛は振り返る。叶はボロボロになった服の袖を思い切り破く。
叶「わたしは絶対にあきらめない! どんなに傷ついても……血反吐を吐いてでも……この二本の足で踏ん張って……何度でも立ち上がる! 何度でも立ち向かう! それが、わたしだ……それが宮城叶だッ! 」
叶の叫びが響く。叶のデッキが光る。
マキナ「かなえ、デッキが! 」
叶は二枚のカードをドローした。赤と橙の
叶「これは橙果ちゃんのカード……」
銀仮面のところへ向かった詩音と金仮面。
詩音「宗助さん、無茶しすぎですよ! 」
銀仮面「すまない……」
詩音の履いているズボンのポケットが光る。
金仮面「おい詩音ちゃん、なんか光ってるぞ」
詩音「えっ? 」
詩音が緑の
金仮面「行っちまった……」
二枚のカードを持っている叶の元にカードが飛んでくる。
マキナ「いったい何が起きてるんだ……」
叶「難しいことはわかんないけど、橙果ちゃんと……たぶん、詩音ちゃんが力を貸してくれてるってことでいいんじゃないかな」
黒牛「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ! 」
叶「あれやっとこっか……」
マキナ「あれって? 」
叶「決め台詞に決まってるじゃない」
マキナ「ほんと好きだなぁ……」
叶「やっとくと気が引き締まんのよ」
叶は杖を黒牛に向ける。
叶「やいやい、この牛野郎! さっきはよくもやってくれたわね! (静かに怒りながら)それだけじゃない……橙果ちゃんも、ショッピングタウンにいた人も……みんな、みんな…… でも、それもここで終わり! わたしがあんたをぶっ倒す! だから、覚悟しなさい! 」
叶&マキナ「カナエ&マキナはめちゃくちゃ強いからッ! 」
叶は三枚のカードを重ねて杖の目にかざす。叶は赤、緑、橙の光に包まれる。
マキナ「これは……すごい力だ! 」
叶「うん、わたしもこんなの初めて」
突進する黒牛。
叶「
三色の大きな光の障壁が現れる。黒牛の突進にびくともせず、障壁はぐいぐいと黒牛を押し返す。やがて黒牛はこける。
叶「
三色の無数の魔弾が黒牛を襲う。爆発が起きる。
黒牛「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ! 」
黒牛は立ち上がる。
マキナ「かなえ、出し惜しみせずにいっきに決めよう」
叶「うん、次で最後! 」
叶は天に杖を向ける。すると、杖の先端から三色の光があふれ出し、天にのぼる。
叶「
黒牛が突進する。
叶「
叶は杖を剣のように振り下ろす。天を貫く光の刃が黒牛を切り裂き、大爆発が起きる。コンテナが吹き飛び、近くの海の水が舞い、あたり一面が光に包まれる。
光が明けると、闘牛は消えていた。打ち上げられた水が雨のように降り注ぐ。夜が明け、日の光が差す。
叶「(マキナに)終わったんだよね? 今度こそあいつを倒したんだよね? 」
マキナ「そのはずだ。ただ、カードがない」
蛍のような小さな光が集まり、カードとなった。それを手に取る叶。嬉しそうな様子。
叶「よかったぁ……」
叶は倒れそうになる。「かなえ!」と言ってマキナは人間体になり、支えた。
叶「あっ……ありがと……」
叶たちのいる場所から少し離れたところ。
金仮面「いやぁー驚いた。まさか、あんな大技放つなんて……」
詩音「魔法少女の力……まだまだ未知の可能性がありそうっすね」
金仮面「ほんとになぁー。ん? むむむ!? 」
詩音「どうかしましたか? まぁ、ろくでもないこと考えてるのはわかるんですけど……」
金仮面「どうしてそれを!? ……じゃなかった。いやね、叶ちゃんの服がボロボロだからさ、性に飢えたいやらしいオスどもが寄ってくるわけですよ。だから、俺はそれを阻止しようと……あわよくば、俺が安全なところに……」
詩音「ていや」
詩音は金仮面のスネを思い切り蹴った。金仮面、スネを押さえて転がりながらもだえる。
金仮面「いってー。痛いなー。おい、スネはダメだろスネは! こっちは詩音ちゃんをおぶってきたんだぜ? それをこんな仕打ちないぜー」
詩音「失礼。性に飢えたいやらしいオスがいたものですから。それに、既に先客がいるようですよ」
叶とマキナの前に銀仮面が現れる。足を引きづっていて、ボロボロの叶をじろじろ見る。叶、胸を手で押さえ、にらむ。
叶「なによ」
銀仮面はしばらく黙っている。
叶「もしもーし。何か言いなさいよ」
銀仮面は叶に背を向ける。
銀仮面「(小さな声で)見事だった」
叶「え、なんて? 聞こえない。もう一回言ってくもらえる? 」
銀仮面は振り返る。
銀仮面「だから、見事だったと言ったのだ! 」
叶「あ……うん、ありがとう」
叶は少し、戸惑っている様子。
銀仮面「だが、やはりお前は偽物だ。本物とは程遠い」
叶「ずっと思ってたけど、それどうゆう意味よ! 」
銀仮面「知らなくていい。ただ、これだけは言わせてもらう。お前は魔法少女などではない……」
叶:わたしがこの言葉の意味を知るのは……この銀色の仮面の男のことを知るのは、少し先の話である。銀仮面……彼は、悲しみを背負った孤独な戦士。彼の孤独を癒せるのはただ一人。
銀仮面は去っていた。
詩音「かなえさん! 」
声のする方を見ると、名刺が一枚飛んできた。それを掴む叶。
詩音「それ、わたしの名刺っす! 」
叶「め、名刺!? 詩音ちゃん、中学生だよね? 」
詩音「中学生と言えど、偉大なる霧島の一員ですからこれくらいは当然です」
叶「そっかぁ……ん? 霧島? 霧島ってあの霧島!? 」
マキナ「気づくのが遅い」
詩音「まぁ、なんかあれば連絡してください! (目を輝かせながら)マキナさんもぜひ……」
マキナ「すごく嫌な予感がする……」
詩音「おい」
詩音は金仮面の足をこつんと蹴る。
金仮面「へいへい」
金仮面は詩音をおぶり、去っていく。詩音は手を振る。手を振り返す叶とマキナ。朝日を見つめるマキナ。
叶「どうしたの? 」
マキナ「いや、綺麗だと思って……」
叶も朝日を見つめる。
・大学
講義を受けている叶と桃。
お昼休み。ベンチに座り、二人で弁当を食べている。
叶「あのさ、この前は……その……ごめんね。心配してくれてたのに……」
桃「いいよ、全然気にしてないよ」
叶「ほんとに? 」
桃「ほんとほんと。それに、叶ちゃん、なんか吹っ切れた顔してる。そんな顔見たら、どうでもよくなっちゃうよ。なんかあった? 」
叶「(少し笑って)まぁね。内緒」
桃「あっ! またそうやって隠す! 」
叶「そのうち教えたげる! 」
叶の携帯に着信がはいる。
叶「あ、ちょっとごめん」
叶は電話に出る。
叶「はい、もしもし宮城です。えっ……!? 」
・病院
病室に入る叶とマキナ。そこにはベットから起き上がる橙果とその母。
橙果「あっ! かなえさんにマキナさん! お久しぶりです! 」
叶は思い切り橙果を抱きしめる。
橙果「かなえさん、どうしたんですか? 苦しいですよ」
叶「(泣きながら)良かった……本当によかった……」
橙果「え? 」
叶「もう、目覚めないかと思ったよ……」
橙果母「お医者さんも奇跡だって……(泣きながら)こんなことめったにないって……」
マキナ「あきらめない想いか……」
屋上。叶とマキナは橙果を車いすに乗せて屋上に来た。
橙果「え!? あの彩無一人でたおしたんですか!? 」
叶「(闘牛のカードを取り出して)まぁね」
橙果「すごいです、かなえさん! 」
叶「なんてね。ウソウソ」
橙果「え? 」
叶「ほんとはいろんな人に支えてもらったから倒せたんだよ。マキナ、詩音ちゃん、橙果ちゃん」
橙果「わたし? 」
叶「詩音ちゃんに、桃、あとは……あの失礼な銀仮面」
叶:それだけじゃない。今までにわたしが助けた人たち……助けられなかった人たち……その全部がわたしを強くした。わたしの覚悟の後押しをした。
叶「ま、いろんな人のおかげなんだよ」
橙果「一人で戦ってるわけじゃないってことですか? 」
叶「そうゆうこと」
・霧島ショッピングタウン
研究所。詩音と喜助がいる。二人はオセロをしている。喜助くしゃみをする。
詩音「汚い」
喜助「わりぃ、わりぃ……きっと、美少女が俺の噂してたんだよ」
詩音「いや、逆かもしれませんよ? 」
喜助「逆? 逆ってどうゆうことだよ」
詩音「あまりにも話題にされなさ過ぎてみたいな」
喜助「いやいや、俺に限ってそんなことはないだろ」
少し沈黙。
喜助「えっ、なんで黙るの? ないよな? ないでしょ! ないと言ってくれよ! 詩音ちゃーん! 」
詩音「うるさい」
・市街地
マキナと叶。病院からの帰り道。
マキナ「僕は本当に叶を支えているのか? 」
叶「いきなりどうしたのよ。あ、もしかして戦ってる最中に言ったのを気にしてる? 」
マキナ「ちょっとは……」
叶は大笑いする。
マキナ「どうして笑うんだ! 僕は真剣に考えているのに」
叶「あ、ごめんごめん。マキナは私を支えているよ。いつもそばにいてくれてるじゃん。それだけで支えになってるよ」
マキナ「よくわからない。僕は戦力になっていないし、的確なアドバイスをしているわけでもない……」
叶はマキナの両頬をつねる。
マキナ「にゃにをしゅるんだ(なにをするんだ)」
叶「そうゆうのじゃない。わたしがマキナに支えられてるってそうゆうことじゃない」
つねるのをやめる。
叶「よくわかんなくてもいいよ。でも、これだけは言わせて。これからもよろしく」
マキナ「こちらこそよろしく」
叶は笑う。そして、先を行く。
「マキナのおかげだよ」
「これからもよろしくね」
マキナの頭に誰かの声が響き、立ち止まる。苦しそうに頭を押さえる。
「大丈夫、絶対に死なせないから」
「みんなで頑張ろう」
マキナ「なんなんだこれは……」
「あんたなんか死ねばよかったのに」
叶「マキナ、どうしたの? 」
マキナ「なんでもない……」
・宮城家
翌朝。リビングに出てくる叶。マキナは朝食を済ませてテレビを見ている。
叶「寝坊したああああああああああ! 」
マキナ「かなえ、うるさい」
叶「あ、ごめん。じゃないわよ! なんで起こしてくれないのよ! 」
マキナ「昨日もレポートで大変そうだったから起こさない方がいいと思って」
叶「起こしてくれないと努力が無駄になんのよ! うわー1限に間に合わないかもしんない」
マキナはため息をついて杖に変わる。
叶「これしかないわよね」
叶「
・空中
叶:わたしは19歳女子大生にして憧れの魔法少女になった。憧れていたのは小学生だったころの話で、今はこれっぽっちもなりたいとは思っていなかったけど……思い描いていたものよりも殺伐としたものだったけど……。でも、この露出の多い衣装が妙に心地がいい。それは決して変な意味じゃなくて。な生きてる実感できるというか。よくわからない感情。結局、わたしは19歳になった今でもどこかで魔法少女になりたいと思っていたのかもしれない。まぁ、せっかくなれたんだ。めーいっぱい魔法少女ってのを堪能してやる。
叶「いっけえええええええええッ! 」
叶は
叶:ちなみに、猛スピードで学校に向かってるわたしはレポートを家に忘れていることを気づいていない。
・緑地公園
黒くて小さなスライムのようなものが動いている。それを黒ずくめの男が踏みつぶす。
黒ずくめ「残念だったな。次は俺の番だ」
魔法少女☆カナエ&マキナ サゐコ氏 @hiroako7b
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