第2話 入学式があった日


「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?こまちゃん!?何でここにいるんだ!?」


 俺は思わず叫んでしまった。周りの同級生とその親達が俺の事を見るが、そんなこと気にしてる場合じゃなかった。


「ふっふっふ、そーくんを驚かせたかったからに決まってるじゃん!」


 小毬は腕組みをして、ゲームのラスボスみたいな雰囲気で言い放った。


「ばっちり驚いたよ!こんちくしょう!だって、みっちーが小毬こまりは付属の高校に行くって言ってたからてっきりそうなんだと……。」


「あ、おかーさんも共犯者ね。」


「くっそ、みっちーめぇええええええええ!」


 俺はまた大声で叫んだ。


「まぁまぁ、落ち着いてそーくん。周りの人達みんな見てるよ?」


 やっと俺は、周りの人に注目されていることに気付いた。


「なっ!?ちょっとこっちに来い!」


 俺は小毬の手を引き、体育館の裏の方に連れて行った。


「何でこの学校にきたか理由を教えてくれないかなぁ?小毬さん。」


 めっちゃ驚いた+周りの人達に見られていた恥ずかしさで、気が動転していた俺は壁ドンしながら尋ねた。


 「こ、これがちまたで有名な壁ドンなのかっ!」


 小毬はやや興奮ぎみで言った。


「はいはい、そんで理由は?」


 俺は軽く流して早く言えと催促した。


「り、理由?ただ電車通学が面倒になっただけだよ!」


「それだけ?」


「う、うん!本当にそれだけだよ!あ、もうすぐで入学式始まっちゃうよ!早く行こ!」


 小毬は逃げるように走って行った。妙に焦っているように見えたのは気のせいだったのだろうか?


「まぁ、いいか。」


 俺は気にも留めず小毬を追いかけた。



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



 長い入学式と各クラスでの明日からの授業など話、配りものが終わり、帰ろうとしたら入学式に来ていた母親が見つからなかった。


「そーくん、一緒に帰ろー?」


「おう、母さん達は?」


「おかーさん達なら先帰るってメール来てたよ。」


「何で俺にはメール来てないんだ……。」


 母さんめと思いながら高校を後にした。


「ねぇ、帰ったらゲームしようよっ。」


 小毬が俺の方を見て後ろ歩きをしながら言った。


「おっ、久しぶりにやるかー。何のゲームにする?」


「んーと、オリオブラザーズ!!」


 オリオブラザーズ。世界中で大人気の固定画面アクションゲームだ。


「オリオかー、こまちゃん全然やってなかったけどできんの?w」


 俺は少しバカにした言い方で言った。


「できるよ!うちを舐めてると後で後悔するよっ!!」


 小毬はほおをぷくーっと膨らませて言った。


「いや、オリオ協力プレイだし……。」


 ゲームの話をしているとあっという間に家に着いた。


「あっ、お帰り、壮。」


「お帰りー、小毬。」


 家の前で立ち話をしていた2人の母親が声をかける。


「「ただいまー。」」


 俺と小毬は答えた。


「そうだ、2人で写真撮ってあげるよ!」


 母さんが言った。


「いいですねぇ!小毬、壮君並んで、並んで。」


 みっちーが俺と小毬の背中を押した。俺たちは並んでピースをする。


「「はい、チーズ!」」


 カシャッとスマホの撮影音がした。


 2人共がお昼を食べたら、ゲームをしに小毬が俺の家に来ることになった。




「お邪魔しまーす!」


 元気よく小毬が入ってきた。


「おー、飲み物とか用意してあるから2階上がって来いよ。」


 俺は階段から顔を出して言った。


「わかったー。」


 小毬は階段を駆け上がって俺の部屋に来た。


「ステージいくつからやる?」


「えー、せっかくだから最初からどこまでできるかやろうよ!」


「じゃあ、新しいデータでやるか。」


「よーし!私のテクニックをお見せしよう!!」



 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・



「や、やっと終わった……」


 俺は睡魔すいまでほとんど開いていない目で時計を見た。午前4時22分。針はそう示していた。


 途中で晩御飯とお風呂休憩を取った以外、午後1時ごろからぶっ続けでゲームをしていた。ゲームはやり始めると止まらないものだと改めて実感した。


「やった、やったよそーくん……。クッポ倒したよ……」


 小毬はパタリと力尽きて床に倒れた。


「ね、寝るなあああああ!隣の部屋で寝ろおおおおおおお!」


 小毬の肩を揺らす。しかし、起きる気配けはいはなかった。


「しょうがねぇ……。」


 俺はひょいと小毬をお姫様だっこして、隣の部屋に運んだ。


(結構軽いな……。)


 小毬を布団の上に置いて自分の部屋に戻った俺は、うとうとしながら明日の用意をし、ベッドにダイブしてそのまま寝た。





「そーくん起きて!遅刻するぅぅぅぅぅぅぅ!!」


 それで今にいたるわけである。



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全てにおいて普通の俺に可愛い彼女がいるわけ にゃん丸 @nyanmaru

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