全てにおいて普通の俺に可愛い彼女がいるわけ
にゃん丸
第1話 始まり
「そーくん起きて!!朝だよ!!遅刻しちゃう!!!」
時計の針は8時10分を指し、HR開始のチャイムまであと30分というところだった。
「ん……あと5分…………。」
俺はそんなのお構いなしで言う。
「何言ってんの!?ほら、早く起きてよ!」
「こまちゃんだけ先行ってろよ……。」
「そう言うなら……とうっ!」
ヤツはジャンプして、俺の腹に乗ってきた。
「ぐえぇっ!いってぇ…………随分乱暴過ぎやしませんかねぇ、小毬さん。」
腹の上に乗っているヤツを見ながら俺は言った。
「仕方のないことですぞ、壮さんや。」
彼女はそう言って、微笑んだ。
俺の名前は
そんな俺には幼馴染みがいる。隣の家の
まだ、入学式しかやっていないが、「1年生にめっちゃ可愛い子がいる」という噂が流れているらしい。誰のことについて言っているかわからないが、たぶん小毬の事だと俺は考えている。
俺と小毬の出会いは4歳の時だった。俺が家の庭で遊んでいると、1人の女の子が現れた。
「わたし、こまりっていうの。おうちおとなりになったからよろしくね。」
笑顔で言った彼女の言葉に、俺はただ頷いただけだったような気がする。
その日から俺と小毬は毎日のように遊んだ。ボール遊びにアスレチック、砂場遊び、絵を描いたり、おままごとなどやったりした。自然と「そーくん」、「こまちゃん」と呼び合うようになっていた。その頃から俺は小毬に振り回される日々を送った。
小学生になっても、今まで通りに遊んだ。小毬以外に遊ぶ相手が居なかったわけではない。俺にも、小毬にも、友達は普通に居たし、たまに遊んだりしていた。でも、家が近いせいか、小毬と遊ぶのが大半だった。
「次、あっち行こうよ、そーくん!」
小毬はブランコを指差しながら走り出した。
「ま、待ってよこまちゃん!」
慌てて俺は小毬を追いかける。
目的地が決まったらまっしぐらに走り出す。それが小毬だった。俺はいつも小毬の背中を追いかけていた。
一緒に学校に行って、授業を受けて、一緒に帰って、一緒に遊ぶ。そんな生活を6年生まで続けた。これからもこんな日々が続くのだろうと思っていた。
しかし、俺は地元の市立中学校、小毬は市外の私立中学校に通うことになった。小毬は頭が良い為、特待で私立に入学することにしたらしい。なるべく近い場所から電車で通った方が楽だからと、小毬は祖父母の家から通う事になった。
俺はサッカー部、小毬はバスケ部に入部して忙しい事もあり、俺と小毬は遊ぶことも、ましてや話すことさえもほとんどなくなった。俺は寂しいと思ったが、仕方ないと思った。
サッカー部を引退するまでキツイ練習に
そして、入学式の日になったのだが、俺は自分と同じ4組に「伊々若」という苗字を見かけた。
(へぇ……こまちゃんと同じ苗字か、珍しいな。)
小毬かもしれないということは1ミリも考えなかった。小毬は付属の高校に行くと彼女の母親の
気になったので名前を見ようと思ったら、人混みに流されて見ることができなかった。
(まぁ、いいか。同じクラスだから行けばわかるだろう。)
入学式が行われる体育館に向かって歩いていると、誰かに右腕を掴まれた。
「ん?何か用ですk……。」
俺は目を疑った。
「おはよーっ!そーくん!」
そこには
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