第2話 ジェイク、やべえぞ

 ジェイク、やっと出やがったな。何度かけても留守電でイライラしてたとこだぜ。

 てめえからとっととコールバックしてこい。俺に手間かけさせんじゃねえ。

 さっき入れといたメッセージ聞いたか?

 そうだ、奴だ。クソッタレの夜鷹ウィップアーウィルが俺たちの計画に気づきやがった。

 カイルもナハヴィもやられたらしい。ニュースサイトに出てた。

カイルは自宅の風呂場で溺れ死んで、ナハヴィは車の中で首の骨折られて死んだらしい。

俺だって予定どおりアトランタに行ってたら、あいつに出くわしてバラされてたかもな。

夜鷹の鳴き声を嫌ってほど聞かされてな。


 おい、ジェイク、わかってるか?奴は計画の実行メンバーを全員る気だ。ケツに火ィついてんだぞ、俺たち。

 俺は今デトロイト・メトロポリタン国際空港DTWに向かってる。ああ、足がつかねえように盗難車でだ。

 てめえもとっとと飛ぶ必要がある。

 不意をつかれてやられたカイルたちは間抜けとしか言いようがねえが、俺たちはまだ生きてる。ツキが残ってる。

 まあ、こうやって話している間にも、夜鷹野郎は血まなこになって俺たちを追ってる。とにかく少しでも早く行動するに限るってこった。

 いいか、ジェイク。俺たちは殺されたカイルやナハヴィの分までミ=ゴ様のために働く必要がある。あの方たちの目的を達成するため、手駒はキビキビ奉仕する。わかってるよな。

 俺たちの奉仕がミ=ゴに認められれば、俺とお前はこんな小汚え星から冥王星ユゴスの楽園に行けるんだ。それまでは死ぬわけにゃいかねえ。

 だから、今はあの野郎の鉤爪から逃げるのが先だ。緊急避難さ。ミ=ゴ様も許して下さる。

 とにかくあの時代錯誤のカウボーイ野郎は俺たちのじいさんかひいじいさんの頃からミ=ゴ様の邪魔ばかりしてきやがったキモいストーカーだ。

 ミ=ゴ様もあの執念深いド変態野郎にゃ手を焼いてる。あいつにおじゃんにされた計画は両手の指じゃきかねえっつうし、くせえ毒ガスにやられたミ=ゴ様だって相当いるって話だ。

 

 ジェイク、てめえ聞いてんのか。返事くらいしろい。だからてめえは仲間ん中でも馬鹿にされてんだよ。てめえがユゴス行く時に使う脳缶tinnyにドッグフードでも詰めといてやろうか。ハハ!

 おっ、話がそれた。てめえの反応が鈍すぎるからだぞ、ボケ。

 とにかくだ、俺はひとまずアジアに高飛びする。てめえは今シカゴだったな。行き先はどこでもいいからアメリカステイツから離れろ。一か月後に例のチャットで連絡をとることにしようや。俺は顔も変えるぜ。

 それまではメールも電話もするな。飛んだ先でクレジットカードを使うのもダメだからな。ウィップアーウィルはレトロ野郎のくせにそういうところから手がかりつかんでくるからな。



 ジェイク、やべえぞ。てめえの携帯から、夜鷹ウィップアーウィルの鳴き声が聞こえてんぞ。仮面の夜鷹の次の標的はてめえだ。マジやべえ。

 いいか、落ち着け。てめえはミ=ゴ様からあの電気銃を貸していただいてるだろ。それをぶっ放しながら逃げるんだ。あれは奴にも効くからな。

 おい、もう電話切るぞ。胸糞悪い鳴き声がだんだんでかくなってきたから、耳がキンキンするんだ。あとはてめえがミ=ゴ様の信頼を裏切らねえで逃げ延びるのをいろんな○ァッキンな神に祈っとくぜ。じゃあな。




 ったく。ジェイクが逃げ切れるかは50/50ってところだな。俺は1人でも絶対に逃げ切ってミ=ゴ様のお役に……。


 携帯切ったってのに、なんでまだあのくそったれの鳥の鳴き声が聞こえるんだ。おい。

 ギャーギャーうるせえんだよ。ぶっ殺すぞ。

 黙れ黙れ黙れ、夜鷹にゃ用はねえ!

 

 あ……人間の手首……携帯握って……なんで助手席に……このタトゥーはジェイクの!

 

 ウィ、ウィップアーウィル……・いつから後部座席にいたんだ俺と電話してたんだ


 この手首まだあったけえ……・シカゴからデトロイトまでどれだけあると……・

 

 Ahhhhhhhh!




第2話 完  

 

************************************************

第1話から時代は飛んで21世紀のアメリカ。

ミ=ゴの手先として働く男の語りでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る