主人公は「能力」を持った女性で、その能力を使ってバトル(というか、格闘技)をしてゆきます。
「能力」を持っているけれど、それを隠しているわけじゃなくて、能力を持つ能力者たちが、普通に存在する社会。でも、ファンタジーじゃなくて、リアルな現実ベースの物語なので、少しのフィクションが差し込まれた世界観。これが、すごく読んでいて楽しいです。リアルベースの物語は、入り込みやすいですね。
長い物語ですが、面白い作品が長いのは、むしろメリット! 次々に現れる敵との戦い。週刊連載の漫画を読んでいる気分で、読み進めていきました。
主人公の年齢が高いのも、うれしいです。高校生主人公とか、もう感情移入できないし……、という大人の読者におすすめ! 大人のためのライト文芸。読み始めたら、日常の楽しみが一つ、増えることでしょう。
『極めし者』という戦いに特化した特殊技能の持ち主でありながらも、純粋に格闘を愛し、格闘を楽しむ一般人女性の照子さん。
かつて喫した屈辱的な敗北をリベンジすべく、「あの男」の影を追って、非合法の格闘大会への出場を決意する!
これは「気」を操り戦う異能力者たちの格闘バトルであり、主人公である照子さんの快進撃を楽しむ物語です。
ストーリーは爽快でテンポ良く、また大変明るくて取っ付きやすい。
それはやはり皆の憧れの姉御である照子さんの、名前の通り太陽のような明るさが、天真爛漫に、時にコミカルに物語をぐいぐいと引っ張っていってくれるからでしょう。
他の登場人物も皆個性豊かで、楽しいキャラクターばかり。
作者様の他作品からのゲストキャラも多数登場している為、思わず他の作品にも目を通したくなること請け合いです。
目的に向かって邁進する照子さんとは対照的に、迷いを抱きながらも暗躍する恋人の青井さんの存在も、もう一人の主人公として大変魅力的でした。
照子さんが動とするならば、青井さんは静。照子さんを光とするならば、青井さんは闇。
表立って動けないからこその苦労や、正体がばれてしまわないかと言う冷や冷やが、物語の楽しさを別の側面から引き立てております。
ついつい一気読みをしたくなってしまうほど、面白い作品。
私も必殺技の名前を叫びながら、戦ってみたくなる。
それくらい人の気持ちをかき立てる、勢いのある物語でした!
完結させている作品であり、全力投球して書かれたのを感じます。
アクションの緻密さもさることながら、格闘を楽しむ彼女と、彼のお仕事の多重視点がたまりません。裏の社会を描きながらも、通じて明るく爽やか。それぞれの彼氏彼女の事情をさり気なく描かれていることが反映されているから、とも思います。
アクションコメディーと言ってもいいぐらいのノリがあるのに(敗北を屈した因縁のあの男と経緯とか、内容は本作をご覧あれ)ぐっと迫るものがあるのは、大人の男女の恋の駆け引きもあるからかな、と。
ある意味では読み手を選ぶスタイルとも言えますが、読みやすい本文と相まって、非常にオススメです。
個人的な感想になりますが、彼氏さんがヒロインに思えてくるから不思議。是非、ご一読を。