第24話 的外れ

    ◆



 結果から言うと、ゴミ処理場はハズレだった。

 ゴミ処理場は事件があった後に――あったが故だとは思うが――関係者以外の立ち入りが一層厳しくなっていた。正確な事件現場である地下は封鎖作業に入っており、絶えず人がいるような印象を受ける程に遠目でも作業員が大勢いた。

 更に、そこに向かう途中に飛鳥警部補から連絡があったのだが、結果として韋宇の行方に繋がることは何一つ分からなかったそうだ。

 つまり、今は何も出来ないお手上げ状態だった。


「一旦帰ろう」


 僕は自然とそう口に出していた。


「……仕方ないな。これ以上は考えることも出来ないし、その方がいいな」


 美玖も頷きを返す。

 そして僕達は駅へと向かい、


「じゃ、明日、大学でな」


 電車の方向が違うのでそこで別れる。

 韋宇が行方不明なのに大学に行っている場合か、などということはもう言わない。

 自分のせいで他の人に迷惑を掛けたくない、って韋宇も思うだろうから、授業の欠席など目に見えるようなことは行わない。

 以前の事件で学んだことだ。

 それに、捜索能力が素人の自分達がこれ以上何しようが、警察以上の情報を入手できるとは思わない。

 僕達は無力だ。

 それを深く思い知らされた一日だった。


 家に帰っても、そんなもどかしい気持ちのまま、僕は就寝するのにいつもより時間が掛かった。

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