第19話 水車の証拠

「水車?」

「あ、この敷地内、西側の方に水車があるそうなんです。自家発電も兼ねていると聞きました」


 僕が補足説明をすると、飛鳥警部補はふむふむと頷き、


「水車の場所を探せばいいのか?」

「いえ、水車自体を調べてください」


 美玖は人差し指を立てる。


「恐らくですが――


「糸状の何か?」

「それはあたしにも分かりません。実際に見ていないので。ですが、重要な証拠になると思いますよ」

「わ、分かった。至急捜索させる」


 飛鳥警部補は駆け足で捜査員の方へと向かっていった。


「……どういうことだよ、美玖?」

「あくまでまだ予測の段階だけど、ある程度のトリックは読めている」

「トリック?」

「そう、トリックだ」


 得意そうに鼻を鳴らす。


「これを使えば、例え食堂に居ようとも、誰でも目戸を煙突から落下させられるんだ」

「!」


 つまりそれは言い換えれば――韋宇だけが可能な犯行ではなくなる、ということだ。


「それは一体――」

「まあ、待て。落ち着け。まだ決まったじゃない」


 美玖は自分の腕時計に視線を向け、


「とりあえずは、先程の刑事さんの報告を待って、裏を取ってから解説することにするわ。それまで考えてみな」

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