真実とは嘘か

@akgiraffe

第1話

1992年彼は産声をあげた。

名前は勇。

両親はもちろん周りからも愛され何処にでもいる普通の男の子であった。

幼稚園ではリーダー的存在で周りの子達よりも賢く、成長も早かった。色々な行事でも活躍し一際目立つ元気な子だ。

ある日の学習のお絵描きで周りの子は両親の似顔絵やお婆ちゃん、お爺ちゃん、友達と遊ぶ姿を描いた。

しかし勇はなぜか白紙全体を真っ黒く塗りつぶした。

先生やお友達は驚いた。彼は心に闇を抱えているのか?両親にもその話は行き、悩んだ。

私たちの育て方で何か嫌な思いをさせてるのか。

わかってあげられていないのか。



しかし違う。勇は幸せだし、何一つ不自由はなく、貧乏ではないし、裕福でもないがごく普通の毎日でとっても幸せだった。


小学校にあがり、勇はさらに成長した。体格も周りよりも大きく、ここでもまたリーダー的存在で周りにも慕われていた。が、ある一部であって、怖がられていたと言っても過言ではない。

そんな、勇は中学年になり、いじめをするようになった。友達に1人の子の両手を捕まえてボールを投げ当てたり、人の物を隠したり。卑怯でずるがしい子になった。


中学年にあがり、髪の毛は染めて、タバコを吸って。やりたい事があればなんでもやった。

しかし部活動にも、積極的に参加し、市の大会では知らない人がいないくらいに優秀な成績をおさめていた。学業も、両立できていてやる事はやっている。という本当に、普通の子だった。

裏と表があるだんだんとその卑怯で陰険さは増していった。


高校は行きたかった所に行くため、毎日勉強に励み、前期の試験は落ちたものの後期の学科の試験で見事に合格した。沢山の人が嬉し涙を流してくれ、頑張った甲斐があったとつくづく感じた。

毎日が楽しく、幸せで贅沢な毎日が彼を待っていた。


この後、彼は就職してアルバイトの経験なども生かして沢山の事を学び、仕事業にも専念した。

信頼もついてきて、後輩もできた。この先輩から学びたいって思う子もたくさんいた。先輩からも任せられるという存在までになった。

なのに。

彼はある日、軽い気持ちで人の靴を履いて帰った。

自分の靴が雨に濡れるのが嫌だった、ただそれだけの理由で。

靴を履いていかれた人は当然それに気づく。

俺の靴を知らないか。みんなに連絡が回った。

勇にも連絡がきた。しかし、シラを切った。

警察を呼ぶ。カメラの解析をする。

そうなってからやっと勇は罪の大きさに気づき自首した。

返したからこれで、いいんだ。そんな軽い気持ちだった。

話は上司へと行った。

それは窃盗。軽い気持ちで借りた何て言い訳であって、本当は自分が欲しかったからか、転売でもして儲ける気だったんだろ。など御尤もな意見を言われた。

勇は何故そんなことをしてしまうのか、問題になるまで気づかなかったのだ。当たり前に考えて、常識外れの事をやっている。周りからは信頼の目はなくなり沢山の人の期待を裏切った。

毎日その件について話がある。

本当に、借りるつもりだけで履いて行ったのか。

勇は本当にそのつもりだった。返すからいいや。そんな気持ち。歯車はどんどんおかしくなって行った。

嘘つき。泥棒。そんなレッテルを貼られている毎日になった。

真実は自分本人にしかわからない。

しかし本当に軽い気持ち。けど周りからは借りたってのは、言い訳。売ろうとした。欲しかったんだろ。

確かにそう思われていても仕方がない。

それが常識。

信頼を取り戻すにはどうしたらいいのか、律儀に小さなことからコツコツと、周りに誠意を見せる。

そんなことをなのか。

それを、言葉にするのは難しい。どんなに本人が思っていたって周りがどう見るかはその人達次第。

どんなに頑張ってようが。どんなに笑顔を振り撒こうが、返ってそれが仇になるのか。

信頼、信用、期待。

これは絶対に裏切ってはいけないし。どんな人間もそれさえあれば幸せになれる。

嘘はいけない。本当の事をすべて話そう。

それにつきる。

大切な彼女、家族、友達の顔を思い浮かべてみよう。

僕自身がその人達をいい人に思わすのか、悪いように思わすのかの鍵を握ってる。

大切なもの。それは何か。よく考えてこれからも生きていこう。

やってしまった過去は責任をもって自分で償おう。

幸せになりたい。そんなの簡単だ。

正直に。常識さえあれば。

真実を知ってるのは自分だけ。

それを周りにどう思われてるか。

それが信頼によって大きく変わる。

幸せになろう。

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