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朝はメダカたちに餌をやり、水の状態を見る。水質管理用に入れているオレンジ色の巻貝が、メダカを上回る勢いで増えていく。貝には雌雄の区別はないそうだ。それからモンステラ。新しく開いた葉は他の葉に比べて一際大きく育ち、先端から水滴を垂らしている。二鉢のモンステラは土の表面が乾いてからたっぷり水を与える。キッチンの三種類のハーブも土の状態を見て週に二、三回水やりをする。植え替えに失敗したカモミールが全滅しそうだった。可愛い白い花が見たいのに。ダイニングテーブルの上のエアプランツには、一週間置きに霧を吹き、月に一度水をたっぷり吸わせる。キッチンにはワイヤープランツ、プミラ、シュガーバイン、グリーンネックレスなど蔓状の植物が架かっていて、グリーンネックレス以外は土が乾いてから水をやる。エアプランツやグリーンネックレスなどの多肉植物は水を与え過ぎると腐ってしまう。
私は朝はコーヒーだけ。スクランブルエッグを焼いていると瑠夏が起きてきた。何て、何て可愛いんだろう。起こしに行かないのに自分で起きてきて挨拶してくれるなんて。
和希と英くんはまだ眠っている。瑠夏を送り出した頃に和希が起きてきた。
「腹減ってたら、それ食べて。コーヒー入れるよ」
コーヒーを飲み終えた私は既にジンをペリエで割る作業に勤しんでいた。
仕事で担当している地域に、アルコール中毒の治療で有名な病院がある。朝から飲むことなんて今までなかった。その病院はどんなところか知らないが訪れることはないだろう、と祈る。止めた筈の煙草も、和希と飲むともらって吸ってしまう。本当に頼りない、出来が悪い親の私だけれど、まだ少しは力が残っているはずだ。飲み過ぎた朝にも六時に起きて魚や植物の世話をする。ヒカリメダカの稚魚の育成とベタの繁殖もするのだ。きっとアルコールなど飲む暇がないくらい忙しい時間が増えていく。
「早いねー」
「あまり眠れないから」
「そうだったね。……これ美味い!」
「無塩せきのハム使ってマジックソルトで作っただけだよ」
「毎朝こんな朝食が食べれたら幸せだろうに……」
「ショウくんはコーヒーだけだったから」
そして私が作る夕食は薬膳みたいだと言い、苦手な揚げ物や肉料理を作るように努力していたが、一度も喜んでもらえなかった。
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