'umikūmāhiku、ウミクーマーヒク。ハワイの言葉で10と7の意味。
52
もう一度、慧くんのベッドで目を覚ました。あれから一度目覚めた瑠夏と一緒に三階に上がった。瑠夏は隣で眠っていた。朝の四時。慧くんも眠っているだろう。彼はガレージのソファで眠っている。
喉が渇いて起き上がった。一階のガレージまで降りる。お父さんもこの家のどこかで眠っているはずだ。そして、お母さん、慧くんの母親のことは分からない。
「起きてたんだ……」
「酒を飲むとあまり眠れねぇよ」
「あたしも。眠いんだけど夢ばかり見る。よく眠れない」
まだそれある? ワインのボトルを指差すと慧くんがグラスに注いでくれた。慧くんはそのままボトルに口を付けて飲んだ。
「お母さんも一緒に住んでるの?」
「俺を産んだ人には会ったことないよ。親父と籍を入れてた人、お袋がいたけど、こっちに来る時に離婚して今も藤沢に住んでる」
いろんなセリフが頭に浮かんでいたけれどワインを飲むことにした。浮かんだセリフは全部無視した。
「好きって言ってくれたこと……。あたし、多分同じ意味でケイくんのことが好きだよ」
「キスしていい?」
「訊かれても困る」
慧くんが覆いかぶさるように唇と唇が触れて、私にとっては新鮮なワインの香りがしていた。
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