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私は自分の父親が好きではない。だから、と言ってはいけないが、父親と生き別れになった瑠夏に対して、思っていた程罪悪感を持っていない。
幸運と言うべきか。海で過ごす時間は嫌なことを忘れられた。
帰る頃は、瑠夏はすっかり慧くんに懐いていた。
慧くんの自宅のシャワーを交代で借りた。空調の効いたガレージのソファで飲み物を摂りながら、デリバリーピザを待つ。ディスカスが泳ぐアクアリムに面したL字型のソファ。瑠夏は慧くんと私の間に座っていた。朱里たちと和希たちのおかげで、今年も瑠夏を泳ぎに連れて行けた。
「家族みたいだね」
と、和希。
ワッツ家族? ワッツ親子? ワッツラブ?
アルコールは私をリラックスさせるけれど、不安定にもさせる。瑠夏がいる。とにかく飲み過ぎは出来ない。
「お前、仕事中は飲むなよ」
慧くんが「お前」などと呼んでくる。お前さん、ってか?
瑠夏に寄りかかると重たがって水槽の方に逃げて行った。頭が慧くんの肩に載った。
「ルナと遊んでるから、上で寝て来いよ」
ビーチで飲んだ上に、ピザで満腹になって睡魔に襲われていた。慧くんの部屋の青いベッドに入った。
「後で水を持ってくるから」
エアコンを点けて慧くんは降りて行った。
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