第4話 敵

ハルヒの持ってきた怪文書をSOS団全員で確認した。

内容は次のとおりだ。


【涼宮ハルヒ及びSOS団に従う愚か者たちへ告げる。

汝らは世界の敵である。

故に我が神の名において罰を与えよう。

心せよ。我が神は偉大なり。

汝らに災いの嵐がやってくるだろう】


あぁ、俺の毒殺未遂事件の犯人からじゃねーか。ふ~ん。災いの嵐ってもう来てるんだけどな。あ、朝比奈さんお茶頂けます?

「・・・・・・何かキョン君、落ち着いているね」

何か色々ありすぎて麻痺してきたのかもしれませんね。

でも、状況がヤバイってのは認識してますよ。俺は先ほど発生した毒殺未遂にについて説明しておく。おい、どうしたハルヒ。クソ真面目な顔をしてよ。

「なんでもない。で、犯人に心当たりはある?」

ねぇよ。俺何か悪いことしたか?してねー。

「他の皆は?何か心当たりはない?」

「そうですね、最近はSOS団に好意的な方が増えてきて逆に敵対勢力は限られてきますね。そうなるとその限られた勢力がこの脅迫状の差出人ではないかと考えられます」

そっか、んじゃ調べないとな。どーするよハルヒ。

「入って」

ハルヒが唐突にしゃべった。入ってだと?誰か呼んだのか?誰よ?

SOS団に入室するのは極々まれにコンピューター研の連中ぐらいだ。あいつらかな。あと過去に来たのは朝比奈さん(大人)と長門の宇宙人友達の喜緑さんのSOS団の関係者。俺としちゃ女性陣に登場願いたいね。ふふっ。

「お久しぶりね」

・・・・・・。

朝倉じゃん。お前よくここに顔出せたもんだな。俺にやったこと忘れたとは言わせないぞ。

「あの時はごめんなさい」

謝った。おい長門、お前からも言ってやってくれ。こいつマジで反省してるのか?怪しくない?

「大丈夫。彼女は味方」

あー、朝倉。俺としちゃ思うところは多々あるんだが、非常事態につき今は仲間という枠に入れてやるよ。

「ふふ、今は・・・ね」

そうさ、今のところだぜ。もしまた凶行に及んだら承知しないぜ。な、ハルヒ!

「そうね。朝倉さん、誓ってもらえるかしら?もう変な真似はしないって」

朝倉がハルヒに向かって膝まつき誓いの言葉を述べる。

「宣誓させて頂きます。朝倉涼子は今後、我が神、涼宮ハルヒ様及びその偉大なる同志であるSOS団に対し、いかなる害を与えず、常に従うことをここに誓います」

・・・・・・おいハルヒ。お前の信徒ヤバイな。朝倉目がイッてね?コエーんだけど。狂信者過ぎて何すっか予測不能な事態になんねーよな。マジ勘弁してくれよ。看護師さんと仲良くなる以外に病院にはお世話になりたくないぞ。

俺はハルヒにそのように耳打ちしたら

「大丈夫よ」

ハルヒらしい自信を持った回答を頂戴した。何を根拠にそんなこと言ってるんだって気もするのだが、まぁ今のハルヒはすげぇオーラが漂ってて何を言ってもクソ説得力がある。頼りにしてるぜ神様。

俺もう痛いのごめんだからなマジで。

そしたら朝倉が

「神を信じなさい。さすれば真の救済を得られるでしょう」

なんてことを言いやがった。

ふざけんなお前。

お前の罪暦をを考慮すれば、再犯の可能性は有り確率もかなり高いんだぜ?長門に頼んでお前の監視をしてもらおうと考えてるくらいだ。場合によっては、長門から情報統合思念体にお前の裁定をお願いしたいわ。

「残念、それ、無理よ」

は?何でよ。ほぼ無敵じゃねーかお前んとこのボス。しかも部下のお前が間抜けな行動ばっかとるんだからとっとと処理しようとするんじゃないのか?

「ちょっと前ならそうだったけど、今の情報統合思念体はほぼ活動を停止しているの」

どういうこっちゃ?ひょっとしてハルヒが情報統合思念体を掌握したとかそんなオチか?今のあいつならそれが可能だろうしな。

「私も詳しいことはわからない。ただ分かっているのは私が……、ふふっ、見てよ、この私を!自由よ!自由!これは真実!私は自由なの!これだけはわかるの!!」

……。

何か腹へってきたわ(そして疲れた)。

おい長門、一緒に帰ろうぜ(このイカレを置いて)。

部室には二人しかいなかった。

俺と目の前で恍惚としてるイカレである。

長門、帰っちゃった。ひでぇよ。ちょっとショック。しかも俺この後このドアホと一緒に帰る羽目になりそうなのだが。

すごく嫌なのだが。

窓からは夕日がいい感じで俺らを照らしてる。

すごく切ない。




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涼宮ハルヒの神国 タビノ・ヒト @tabinohito

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