第7話 で だ
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「で、天国の階段を登るわけですか……」
伏線回収だ。先ほどの会話に戻ってきたぞ。総務はわざわざこの依頼をするためにあの話を持ってきたのか。
「別に絞首台でもいいんですよ。別に」
学校の校庭には、古びた錆びた絞首台がある。それらは
これらを使っている人を見たことはない。
「確かに天国の階段の方が分かりやすいですよね」
「まぁ、確かに。総務にお任せしますよ」
正直、どうでもいい。成仏しないりすなんて周りを見れば結構出てくると思う。
それほどこの世界には未練とか成就しなかったことが多いのだ。
それは人間も動物も限らず。その苦しみは僕も良く知ってる。
そして、僕は天国の階段でのののが上手く成仏が出来るなんて思っていなかった。
しかし、もしかしたら総務があれだけ強気なのだから、何か考えがあるんだと思って、僕は何も言わなかった。
「じゃあ、行きましょうよー」
間延びした声で言った。まるでピクニックみたいに呑気に。
「ほ、ほんとに、行けるのか……?」
のののは完全に疑心暗鬼だ。気持ちは分かる。
「ののの。もう現実に来ても、やることないだろ、さっさと終わらせたほうがいい」
「そ、そうなのか……」
僕の発言を神妙になって聞いていた。
僕らふたりと一匹は学校の屋上に辿り着いた。
昨日の雨がやんだばかりの天気である。雲の隙間から光が漏れていた。
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天国の階段。
屋上に続く学校のドアを開けた、その目の前を少し進むと階段の一段目がもうある。屋上のスペースのほとんどは階段になっているため、お昼ご飯を食べにくるなんて輩も居ないのだ。
階段には太陽だけではないであろう光が射していて、白く輝いている。
徐々に上を見上げていくと、階段の先は途中で光によって見えなくなっている。
登れば分かるが、あの光の地点からが
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「……と僕が言えるのはここまでだよ」
だいぶ説明的に語った割には、説明が曖昧すぎてしまった。
「ほー。真白って言ったか。ごめん。あんまりピンとこない」
「悪いな、はっきり言って、僕もわからないんだ」
「うーん。でも、仕方ないですよね、水乃くん。大丈夫ですよ、これから登って確かめましょうよ」
「よーし、お嬢ちゃんが言うからそうなんだろうよ。さっそくやろうぜ、その天国とやらに行こうぜ。早くしないと俺が現実に残りたがっちまうぜ」
そして、僕らは一歩目を踏み出した。
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