第5話 is
最初、僕は何故と聞いた。
渡り鳥曰く、愛する女が死んだ首を御所望のようだ。
だから死にたいんだ、お嬢さん。私を殺してくれないか?
こんなことを渡り鳥が言ってきたわけで。もとより殺すつもりではあったが、ちょうど良かったので合意のもと殺すことにした。
「あぁ、彼女は愛してくれるに違いない。何故ならこんなにも私が愛しているのだから」
「あぁ、そうだな。もうそろそろだな。最後に言い残したことはないか?」
僕は聞いた。メモは探したけど見つからなかった。でも、せめて聞いてやろう。これが遺言だ。最後だから。たとえ、向こうが理解してなくとも。
「そうか。じゃあ、君に一言」
「ん?僕でいいのかい?」
てっきり愛する彼女へのメッセージだと思っていた。
彼女は後でたっぷり愛してもらうからいいんだ、と前置きしてから、渡り鳥は言った。
「過ちを過ちとして受け入れて生きるのも悪くはないと私は思う。それが私の愛であったように。おやおや...これ....じゃ....ふた....こ...とに....」
ザザーッ。ぽたぽた。ザーッ。ぽたっ。
渡り鳥の首上に流れていた最後の血が一気に流れるとともに渡り鳥の首は喋らなくなった。
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