ステータスと異能(Ⅱ)

「よし。先ずは俺からやるぞ」


 そう宣言して、翔が前に進み出た。王から金属板を受けとり、針を指に刺した。血を垂らすと、先程、王が垂らした時とは比べ物にならないほどの光が私達の視界を白く染め上げた。


「っ......ここまでとはな」


 余りの光量におっさんことギルドマスター、アルグが小さく呟いた。その頬には汗が一筋つたっている。


「出てきました!」


 光が収まった頃、翔が告げた。どうやら、ステータスが表示されたようだ。覗かせてもらうと......


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

山口 翔 16歳 Lv.1

HP 28/28 MP 35/35

【異能】

・光の覇者 Lv.1

・雷光の勇者

雷と光を司る勇者。

【一般技能】

光魔法シャイニングマジック

雷魔法サンダーマジック

聖剣技 Lv.1

鑑定

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ............えーと。高いのか?このステータス。この世界の平均とか水準とかが分からない......。私の微妙な表情に気付いたのか、アルグさんが解説を入れてくれる。


「この世界では成人男子の平均レベルは12。そいつらの平均HPが30程度だ」


 なるほど。十分......というか、このステータスはかなり高いらしい。一般人の12倍?チートにも程がある!


「しかも、二属性。それもどちらも珍しい光と雷の属性とはな......流石は勇者、といったところか」


 小さく溢されたその言葉に気づいたのは隣にいた私だけだろう。誰にも聞こえないように放たれたその言葉には微かにだが、憎悪や憤怒といった負の感情がこもっていた。


「次は私でいいかしら?」


 鈴が質問、というよりは確認を取るように私達に聞いてくる。私は別に何時でも構わないので頷く。睡野も同様らしい。私と同じ様にコクリ、と頷き肯定を返す。


 血を流すのが怖いのか、数度大きく深呼吸をして、息を整える。それから針を手に取り、指に刺した。指から垂れた血が金属板に落ちた。翔の時と同じくらいの光が金属板から発せられ、私達の視界をまたも白く染め上げた。


「......出てきたわ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

宇佐美 鈴 16歳 Lv.1

HP 20/20 MP 55/55

【異能】

魅了する瞳ヴァーゴ・アイ

・冷涼なる乙女 Lv.1

・水氷の勇者

水と氷を司る勇者。

【一般技能】

水魔法アクアマジック

氷魔法アイスマジック

聖槍術

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 出てきたステータスは翔と同等。こちらは水と氷と使うようだ。槍......ということは中衛向きか。


 さて、次は私と睡野のどちらかだけど......。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界見聞録(仮) がしゃどくろ @Gashadokuro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ