カナリアが鳴いた日

@Popos

第1話

富田慎太郎は鍛えていた。


毎日の様に業務が終了した後、こっそりジムに通っていた。


富田は街に溢れる犯罪者を取り締まる会社に所属していた。


特殊能力を使い犯罪者を捕まえる事を業務とした会社が設立されたのは、特殊能力を使う犯罪者が現れたことがきっかけだった。


しかし、富田の能力には対象者の力をねじ伏せ逮捕できるような力はなかった。


ピーピー


指令26 犯罪情報 器物損壊

ギルトが店の看板を破壊している。

場所 福岡市博多区博多駅南1-3-1 前 路上

被疑者 身長2メートルくらい 緑色の皮膚

赤色のトレナーを着たギルト

指令要求先 富田


大体、勤務時間外によくもまあ。

早く行って片ずけたらさっさと家に帰ろう。


富田が現場にジャージで到着すると緑色の皮膚で赤色のトレナーを着たギルトが壊れた店の看板の前で佇んでいた。


「すみません。どうしたんですか?この看板、

通報入ってますよ。なんかあった?」


ギルトになった人間は理性がなくなり凶暴化するため、即排除するのが原則だが富田の能力では不可能だった。


「ラーメン、、中に、、髪」


「ラーメンに髪?キツイねそれ。それで看板壊したんだ。まー店も悪いけどギルト化したら終わりだよ?家族とかどうすんの?弁償するなら話付けようか?お金ある?」


「家族、、帰りたい、、迷惑、、掛けられない。」


富田はギルトから金を受け取りラーメン屋に向かった。


座って待っとくように指示した。


向かってる途中でギルトがいた方から

ギェー

と叫び声が聞こえたため振り返るといつ来たのか同僚の益田がしたのだろう、時空の歪みの中にギルトが消えていった。


「ちょいちょいちょい、何やってんの!」

益田は富田の同僚であり直属の上司だった。

「大体、ギルトに背中見せるとか自殺行為だぞ。」

「運良く攻撃されなかったかみたいだが、認識を改めろ。」


富田は叱られていた。


同僚で富田の能力を知る者はいなかった。


富田は誰にも言わなかった。


中には、動きを止める事ができる能力だと認識している同僚もいた。


富田の能力はギルトになった人間と会話できるだけだった。


会話できるだけで、元の人間に戻したりする能力はなかった。


大体交渉中に応援が来ていつもギルトは排除されていく。


ギルトも元は人間だ


なんかいい方法あればなあとギルトの財布にお金を戻し家に帰って寝た。


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