妖怪憑きには探偵を

@doyassyu

1.探偵 赤羽 佑真

人間はよほどの潔癖症でない限り、多少部屋は汚いほうが落ち着くと言われている。

その原理に従うと、俺の事務所は最高に心地よい場所だと言えるだろう。

俺の欲しいものは手を伸ばせばすぐに手に入る。

そうすれば助手を雇うことなくても十分だという結論に至る。


俺の職場は1DKのぼろいアパート。

自分の家が職場になっているから仕事と買い物以外で外には出かけない。

9帖の狭い部屋に机が一つと椅子が一つ。

周りは本棚で囲んである。重要な資料が探偵には多いから。

そのせいで窓が半分隠れてしまったことには触れないでいてほしい。


俺はいつものように椅子に座り解決した依頼の書類の束を眺めていた。

一番新しいものでも、1週間前が最後の依頼になっている。


言わなくてもいいだろうが、探偵なんて仕事はあまり入らない。

漫画であるような殺人事件を解決するなんて一度もない。

ましてや警察の協力など来るわけもない。

探偵なんて浮気を調査するだけの、ないほうがいい職業なのだ


実際に浮気調査をしたせいで離婚した夫婦もいた。

浮気じゃないと判明して、調査された旦那が奥さんに不信感を抱き離婚・・・・。

もちろん頼まれてやった仕事だからこちらに落ち度はないが、後味が悪い結果になってしまった。


「「ぐぅーー」」


腹の虫が鳴いた。

もちろん仕事がなければお金も入らない。

どれだけ出勤しても公務員のように月給などはない。

そして今は一文無し。

もうそろそろ限界だろう、仕事を探さなければ。


俺は今机に備えられている唯一鍵のある引き出しから、黒いカバーの手帳を手に取った。

この手帳を開く前にまずはパソコンを立ち上げる。

ネットに繋ぎ、お気に入りに登録してある「「田島心霊研究所」」というサイトを開く。

そのサイトにある会員ログインというボタンをクリックする。

そしてやっとこの手帳が役に立つ。

手帳に記載された100文字から成る会員番号と暗証番号を入力するだけ。

これだけでログイン完了。



会員ページに入ったらサイト上部に会員番号2番 赤羽 佑真 と表示されていた。

きちんとログインされていることを確認し次の作業を行う。

会員ページの欄にある、依頼表をクリックし次のページに移り依頼を確認。

自分の条件に合う依頼を選び、依頼受諾というボタンをクリック。

この一連の動作を行えば、自分の携帯にメールが届き依頼の詳細を知ることができる。


俺は久々ということもあり、難易度の一番低い☆1の依頼を受諾した。

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