役名:アリス

@motimoti

第1話 手紙












さぁお食べ。



フリフリの可愛いエプロンをつけた巨大なチクワが、次々と私にチクワ料理を差し出してくる。


チクワの味噌汁、チクワの漬け物、チクワのチョコフォンデュ、チーズの入ったチクワ、チクワのサラダ、チクワのカレー…


これ全部、私が食べていいの?


そう聞くとエプロンチクワは頷いた。


わー!幸せ!私いま最高に幸せっ!!


エプロンチクワに抱きつき、一緒にクルクルと回る。


うふふふふ!


あはははは!


あーはははははっ!!




















「……きろ………ん…」


「ふふふ…幸せぇ。」


「…やん。起きろ福やん!!」


「あだっ!」


突然後頭部に痛みを感じ、バッと顔をあげると………えーと、英語の先生が不愉快そうな顔で私を見下ろしていた。


「チクワはどこ…?」


「チクワの授業などしていないざます!」


猫型ロボットに出てくるズネちゃまのママのような口調で怒る英語の先生を見上げたまま呆然とする私。あれ、私は今チクワを食べようとしたところでーーー…


え?夢?


うげ!夢か!?


「ぶっ!」


幸せな夢の途中で現実に引き戻されたショックを受けている私を笑う声が聞こえ、ムッとしながら後ろを振り返った。


「真弓!早く起こしてよ!」


「起こしたって!むしろアタシの声で先生が気付いたくらい!うはは!」


「ちょ、真弓のせいじゃん!」


「人のせいにするんじゃないざます!廊下に立ってるざますぅ!」


どうやら教科書で頭を叩いて起こしてきたのも真弓らしい。ていうか、今時廊下に立ってろって…。 マジですか。

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