再会

 さて、この七年間劉備達はどうしていたか。

 徐州を攻めようとしていた曹操は、本拠地である兗州えんしゅうを離れていた隙に呂布りょふに攻められ、慌てて劉備と和睦し兗州に引き返した。安心した陶謙は劉備に徐州を託して死んでしまった。これで徐州に腰を落ち着けることが出来ると思っていた。

 だが、直に徐州を欲し、呂布、袁術えんじゅつ、曹操がさまざまに劉備を翻弄した。曹操はついに呂布を捕え処刑し、劉備を取り込もうと自軍に招いた。そこで劉備は曹操に傀儡とされ、屈辱に耐えている献帝に会う。献帝が漢の再興を望む劉備を頼りにし皇叔と認められると、曹操打倒を決意し何不自由なく滞在していた曹操から離れることにした。

 劉備自身は曹操の元を何とか脱したが、関羽と妻は逃げられず、張飛ともはぐれてしまっていた。そこへ曹操と敵対していた袁紹えんしょうが劉備を迎え入れたのである。袁紹はいよいよ曹操と天下分け目の戦いに臨もうとしていた。後に『官渡かんとの戦い』と言われる大戦だ。

 関羽は捕らわれの身とはいえ、曹操に気に入られ厚遇された。それどころか、曹操に寝替えったという噂さえあった。だが、子龍は全く信じていなかった。劉備はかつてこう言った。

「雲長、翼徳は我が骨肉。二人を失えば、立つこともままならぬ」

 桃園で誓いを立てた三人は今、お互いを捜し求めているはずだ。そんな時、官渡で曹軍から関羽が出陣し、袁紹の将軍、顔良がんりょう文醜ぶんしゅうを討ち取ったという話が聞こえてきた。東郡の町の飯店である。

「関公は曹操に借りを作りたくなくて、自ら顔良、文醜を討ちに願い出たそうだ」

「だが袁紹は面白く無かろう。かくまっている劉皇叔の第一の臣下が自軍の自慢の将軍を討ったとなれば……皇叔の首は飛ぶのではないか」

 子龍は思わず食事の手を止め、後ろの席を覗った。

「劉備は関羽に使者を出して、自分が袁軍にいることを知らせると言ったそうだ」

 子龍はとりあえずほっとして考えた。間もなく劉備は袁紹と曹操から逃れ南へ、同じ劉氏の荊州牧、劉表りゅうひょうを頼るはずだ。

 子龍は南へ進みながら、兵を集めた。町の酒場には浪人兵がたむろしていた。その中の頭目と思われる者を負かせば、下の者も従ってくる。もともと王気を備えている子龍に従っているうちに無頼の輩も武人としての誇りを持っていった。そして、子龍から尊敬の念を持って語られる劉備に仕える時を心から望むようになった。

 一月後、子龍の兵は千を越していた。荊州にほど近い山城を拠点にし、情報を集めた。

 関羽の動きは鈍かった。顔良と文醜を討てば劉備のもとへ行って良いと曹操と約束をしたが、あの手この手で引き留められやっと発てたと思ったら、劉備の妻を連れているので、せっかく曹操から与えられた名馬・赤(せき)兎(と)馬(ば)を走らせることもできない。義に厚い関羽は、劉備にとって妻が軽い存在だと分かっていても、置いて行く事は出来なかったのだ。その上、手形が無いので関所でことごとく止められ、やむなく役人を殺さねばならなかった。

 だが、それを袁紹下で待っていては、劉備はいつ殺されてもおかしくない。子龍はかつて袁軍にいた配下に、密書を持たせ劉備の元へやった。そして関羽の元にも使者を送った。

 やがて劉備が子龍の配下に手引きされ、袁軍を抜け出し山城に至った。劉備の姿が見えた時、子龍は駆けだした。馬を降りた劉備の前に膝まづき礼をし、懐かしい顔を見上げて言った。

「わが君。御無事で何よりです」

 劉備は泣いていた。七年ぶりの再会である。子龍の肩を持って立たせ、

「子龍よ。なんと立派になったことか……」

と言って抱きしめた。二人を囲んで多くの兵が膝まづいていた。

 その後、七年間の出来事をひとしきり語り合い、共に床に就いた。しかし、子龍は再会の感激が冷めやらず眠れなかった。


 劉備に出会ったのは、十年近く前になる。十五歳で真定から義勇兵団を率い、最初は袁紹の名声を聞き仕えてみたが、口先ばかりで目的の為には手段を選ばぬ卑怯者だった。


一九一年 冀州

 子龍は陳礼の報告を夜営の幕内で聞いた。

「それはまことか……」

 思わず声が上がった。陳礼は頷いて言った。

「確かに。公孫越こうそんえつを殺したと、この耳で」

 子龍は陳真を見た。陳真は顔をしかめて言った。

「若、国盗りとはこういうものです。袁(紹)本初ほんしょ殿は公孫瓉こうそんさんを焚きつけて戦わせ、自軍の兵を失わず、まんまと冀州きしゅうを手に入れた。そういう策も時には必要かと……」

「策と裏切りとは違うだろう。その後冀州分割の約束を無視して、使者の公孫越を待ち伏せて殺すなど、外道のする事ではないか」

 子龍は陳真に食ってかかっていた。陳真はなおも顔をしかめたまま言った。

「なれど今、袁公の力大きく時勢を得ております」

 子龍は一瞬表情を無くし立ち上がった。

「わたしに仁・義・礼・智・信のことわりを授けたのは、じいではなかったか。今の袁紹に一つでも叶う処があれば申せ」

 陳真は言葉を失い子龍を見上げた。

「無ければここには居られぬ」

 陳礼も立ち上がって子龍を見た。

「いかが致しましょう」

「公孫公を援けに行く。弟の仇打ちに出陣するはず。よいな」

 子龍はそう言って陳真を見据えた。陳真は膝まづき礼をして、

「御意」

と、言った。

 真定軍百騎は夜のうちにひっそりと袁紹の陣から消え去った。


 次の日、公孫瓉は弟を殺された怒り心頭で、何の考えも無く先陣切って袁軍に挑んだ。山深い盤河ばんがの橋の上で、袁軍将・文醜と討ち合った。

 真定軍はまだ公孫軍と合流しておらず、山の上からその様子を見ていた。しかし一騎討ちでは圧倒的に文醜が勝っており、公孫瓉はみるみる追い詰められていった。

「参る」

と言って、子龍が駆け下りた。その間に公孫配下の四人の将が主を助けに駆け付けたが、これも次々と文醜に討ち取られていった。そうなると公孫瓉の戦意は失せ、逃げの一手だった。だが馬の脚が折れ、投げ出されてしまった。

 すかさず文醜が槍で貫こうとしたところ、子龍が前に槍を突き出して止めた。それから激しい討ち合いが始まった。討ち合いながら文醜は相手が子龍だと気が付いて言った。

「趙子龍、寝返ったか」

「卑怯者に仕える義理はない」

ときっぱり子龍は言った。そのうち真定軍が駆け付けて来たので文醜は馬首を返した。子龍は短い間でも同胞だったのであえて後は追わなかった。

 助けられた公孫瓉は喜んで子龍らを受け入れたが、この時わずか十五歳で昨日まで敵軍にいた者を信じ切れなかった。


 後日出陣する時には子龍を後詰めにした。だが、数に勝り有能な軍師らに支えられている袁軍にいくらも持たず劣勢となる。公孫瓉は自軍の旗が倒されたのを見るやいなや、馬首を返して逃走し始めた。陳真は思わず、

「これしきの事で逃げるとは、胆の座らぬ御方じゃ」

と言った。子龍は白竜の腹を蹴り飛び出した。

 無性に腹が立った。この世には英雄と呼べる者はいないのか。見せかけの忠義や口先だけの勇気ばかりなのか。気が付けば単騎、袁軍のさなかにいて荒れ狂っていた。

「子龍様、もう持ちません。退却しましょう」

と、陳礼が並び来て叫んだ。子龍ははっと我に返り、任された後詰めをしながら退き始めた。袁軍は容赦なく追撃してくる。兄から賜わった兵を自分の暴挙で一兵たりとも失ってはならないと子龍は苦戦した。公孫瓉はお構いなしに逃げていた。

 そこへ山影からどっと時の声が上がり、三人の大将を先頭に一軍が現れた。

「お助けいたします」

 優しげな声がすると、いくらもせずに袁軍が引いていった。その間に子龍は陳真と陳礼に挟まれるように退いた。安心すると初めてもう腕が上がらない程に疲れている事を自覚した。周りの事もよく見えないまま朦朧として公孫瓉の本陣に帰り着いた。

 少し落ち着くと、助けに来てくれた方に礼を言う為に真定軍を連れて公孫瓉に願い出た。

公孫瓉は弟のように慕って来る者だと言って、子龍を劉(りゅう)備(び)に引き合わせた。

 劉備一行は見るからにならず者の集団だった。まともに甲冑など着けている者はいない。それぞれに勝手な武器を持ち、中には鍬や鎌などぶら下げている者もいる。

 しかし際立っているのは、劉備の右側にいる熊のような体躯の男が握っている矛。太く長い柄の先には蛇のようにうねった刃があり、その先は三日月に尖らせてある。

 さらに左にいる者は、儒者めいた威厳があり、長い手入れの行き届いた髭を蓄えている。得物は薙刀の形をしてはいるが、先には普通の太刀よりも大きい波頭のような形の刃が付いていた。

 どちらも研きあげられていて、触れる前に切れそうだ。

 その中にあって、劉備の気は彼らの荒々しさを消し去っていた。武者とは見えぬ色白で、大きな福耳をしていた。子龍は真定城の奥の院にある菩薩像を思い重ね見とれてしまった。

 劉備は子龍の前に出て礼をした。

「劉玄徳と申します。お見知りおき下さい」

 戦いの中に聞こえた優しい声の主だった。子龍は慌てて礼を返した。本来なら、年少の者から挨拶するべきだったのだ。

「し、失礼しました。常山郡真定から参りました。趙子龍と申します」

「この子龍は袁紹に愛想をつかして、我が元へ来たのだ」

と、公孫瓉が自慢げに言った。

「袁紹の振る舞いがあまりに理不尽だったからです。公孫公のお人柄は知る由もありません」

と、子龍は思わず口走ってしまった。少し顔をゆがめた公孫瓉に、にっこり笑って劉備が言った。

「もちろん袁公に義はありません。明日には子龍殿と共に、散々に打ち負かして見せましょう」

 張飛は目を輝かせ、関羽は深く頷いた。


 翌日子龍が見たものは、張飛の蛇矛じゃほうと関羽の青龍円月刀せいりゅうえんげつとうの舞だった。刃が翻る毎に敵兵が倒れ、道が開けていった。退いた兵達は子龍らが追い、谷へ落とした。

 劉備の言葉通り、袁紹を敗走させ公孫瓉は大いに満足した。

 その夜は、気を良くした公孫瓉が酒宴を開いた。技芸達もはべらせ無礼講である。兵達も久々の勝利と酒と女に酔った。

 子龍も酒を少しはたしなんだが、しなを作りすり寄って来る女達には辟易した。そっと一人高台にいた。

 そこへ劉備が酒を持って上がって来たのだった。

「素晴らしい戦ぶり、感服致しました」

 劉備は子龍に酒を勧めながら言った。

「いえ、わたしなどはまだまだ未熟です。雲長殿、翼徳殿に学ぶことばかりです」

「あなたはまだ若い。すぐにあの者らと肩を並べる腕前になります」

 子龍は少し赤くなり、ふと思い出したように問うた。

「昨日お目にかかった時、なぜ一番歳若いわたしが隊を率いているとおわかりになったのでしょう。大抵の方は年長の者に礼をされます」

 劉備は意外なことのように目を開いて、

「騎兵の気はすべてあなたに向いていた。あなた以外に考えられなかったが」

と言って、盃を舐めた。やはりこの方は尋常では無いと感じた子龍は、

「玄徳殿はいかなる志を持って兵を挙げられたのですか」

と、さらに問うた。劉備は立ち上がり夜空を見上げた。

「漢室を立て直したいのだよ。わたしの家系は中山公の傍流だ。名家とは言い難い貧しい暮らしをしてきたが、曲がりなりにも劉氏に生まれ、今この時に目を閉じていることはできない。もちろんわたしの力など微々たるものだが、せめて世の中に正道を示すことがわたしの天命と思ったのだ」

 子龍は胸が熱くなった。自分が仕えるべきはこの劉備しかいないと思った。だが、それが出来ないこともよくわかっていた。常山の兵として、趙王の臣下として、勝手は許されない。それでも少しでも長く劉備の側にいたいと思った。

「常山の者達も漢室の恩に報いるため、我等を送り出しました。しばらくここで御一緒させていただけますか」

 劉備は子龍の方に向き直って頷いた。

「今夜は床を共にしましょう。子龍殿と存分に語らいたい」

 子龍は立ち上がって言った。

「喜んで」

 この頃の武将は相手を信頼した証として、一緒に寝ることをした。劉備が子龍を気に入ったということである。


 公孫瓉が劉備にあてがった居室は粗末な所ではなかった。何故か劉備という男は何処に行っても厚くもてなされるのだ。奥まった離れにあり、酒宴の喧騒も届かない。

 話を聞けば劉備も幼くして父を亡くし、母と叔父に助けられ成長したという。二人は意気投合し、子龍も出自を打ち明けた。

「ああ、やはり普通の御身分では無かったのですね。あなたは王気を持っておられた」

 劉備はにこやかに頷いた。

「やめてください。わたしはただの騎兵。ここでは一兵卒です。ましてや玄徳殿のような真の英雄の前では、ほんの子供に過ぎません」

 子龍は思わず、寝台に座っている劉備の前に膝まづき手を握っていた。劉備は少し驚いたが、子龍の手を自分の手で包み込んで言った。

「この歳で故郷を離れ、兵を率いる責任を負い、志を持ち続けるのは大変な苦労だろう……いたわしい。せめてわたしの前では、ただの十五歳の少年に戻れば良い」

 子龍の頬を涙が伝っていた。兄と離れる時でさえ見せなかったものだ。劉備は子龍を横に座らせた。

「わたしは品行方正に生きてきたわけではない。さまざまな人や事に関わり、善行も時には悪行といわれるようなこともしてきた。そのせいか、およそ人の性質がわかるのだ」

 劉備にじっと見つめられ、子龍は顔を赤らめた。

「厭なら、拒めば良い……」

 そう言って子龍をそっと横たえた。子龍は拒まなかった。自分が何を求め、欲しているのかよくわからなかったが、万妃に汚された時から全く起こらなかった衝動が、劉備に触れられただけで戻って来たのだ。

 劉備はゆっくり子龍の体を開いていった。指で何度も試し反応を見ながら、いざという時も決して急がなかった。痛みは無く、違和感が快感に変わってゆくさなか、子龍自身も昇りつめようとしていた。

「共に行こうぞ……」


 その後も時おり肌を合わせることはあったが、子龍は劉備が男色ではないことを知っていた。若い性を持てあましながら、女を受け付けなくなってしまった子龍に情けをかけているのだ。

「あなたの恩に報いるには、何をすれば良いでしょう」

 ある夜、劉備の腕の中で聞いた。

「わたしの為にではなく、世の為に、腕を磨き、事を学び、正道を進んで欲しい。それがそなたに望むことなのだよ」

と、劉備は父のように答えた。

 子龍の母は後妻として一六歳で趙王に嫁いだ。年の離れた妻は大切にされたと聞く。だが間もなく身ごもり子龍を産み落とすと、そのまま儚くなってしまった。王はもう妻を娶らずその五年後に亡くなり、子龍には両親の記憶は殆んどない。兄は優しかったが、年若くして王位に就き政務に多忙であり子龍はどこか家族の愛情に飢えていたかも知れない。そんな子龍に、劉備は家族同様の無償の愛を注いだのだ。

  

 関羽や、張飛も子龍にはよく打ち解け、戦法や技を手ほどきした。武将が自分の技を教えることは稀である。それほど二人は子龍を気に入り、目を掛けていた。関羽は特に子龍の才を認めていた。

「もっと長い槍の方が技が生きるだろう。そなたは背があるからな」

「殺る時は、速やかに、確実に。苦しまぬように成すのが、情けというものだ」

 関羽の教えは、子龍の武人としての土台となった。


「雲長は今どのあたりだろう」

 寝息を立てていたはずの劉備が、隣で呟いた。子龍は劉備の方に首を回して言った。

「奥方様をお守りしておられますので、使者が申すにはあと二、三日後ということです」

「そうか」

 目を閉じて劉備が言った。

「あの者には苦しい思いをさせてしまった。曹操に借りを作ったことが、どれほどの屈辱か……わたしの為に忍びない」

 七年経っても変わらない劉備の心根が、子龍には嬉しかった。故郷を捨てても悔いはなかった。二日目の夜、関羽は張飛と共にやって来た。張飛は関羽が曹操に寝返ったという噂を真に受け、待ち伏せて斬りかかったのだ。討ちあいになったところを奥方に止められ、事情を聞いて詫びたという。張飛らしい早とちりに劉備も子龍も苦笑いした。

 ともあれ、これで皆揃った。劉備一行は山城を後にし、荊州の劉表の元へ行く。


 献帝から皇叔を認められた劉備を、劉表とその長男、劉琦りゅうきは歓待した。だが、後妻の蔡氏さいしとその弟で荊州の武官、蔡瑁さいぼうは、劉備が荊州を乗っ取ろうとしていると言っていい顔はしなかった。蔡氏は自分の息子劉琮りゅうそうを後継にしようともくろんでいた。

 劉備は、曹操が袁紹と対峙している今こそ 献帝を取り戻すべきと進言したが、劉表は動かなかった。そんなことをすれば、曹操に荊州を攻める口実を与えてしまうというのである。荊州を守ることが劉表の使命だった。

 劉表は劉備に新野しんや城を任せた。荊州の守りの要である。

「玄徳殿、志を貫くことと、現世に安住を見つけることを両立するのは難しい。だが、あなたにはそれが出来るかもしれぬ。精進なされよ」

と、劉表は言った。劉備はその言葉を真摯に受け止めた。それは、荊州が豊かで安らかだったからだ。

 劉備は若い頃、学問を嫌っていた。漢室には中華最高峰の識者や、学者が揃いながら たかが宦官に取って代わられたのだ。頭ばかり大きくなっても、何の役にも立たぬと思った。

 だが、ここで戦から離れてこれまでの事を思い起こせば、勝敗に関係なく義の為に突き進んでいた無謀な自分がいた。このままいけば、いずれ立ちゆかなくなる。わが身一つならそれも良いが、共に死すと誓い合った関羽、張飛、そして息子のように可愛い子龍はあまりにも哀れだろう。

「勝ちにゆこう」

 劉備は決心した。

 平穏な荊州には、戦火を逃れてきた学識者が多くいた。劉備は彼らを訪ね歩いた。今やいかに優れた軍師を得るかで勝負が分かれる。官渡でも袁紹の軍師が曹操に寝返って、形勢が逆転している。だが、なかなかこれはと思える者は見つけられなかった。軍師として身を立てようとする者は、すでに他将に仕官していた。小競り合いはあったが、この間劉備達は平穏に過ごしていた。

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