殺人事件?
朝、一番に目が覚めたのは矢張りと言うべきか橋下だった。余程友人が心配なのだろう。何故其のことが分かるかと疑問を上げる声もするかもしれないが、単に私が目が覚めたのが二番目だっただけである。私は密かに橋下が一人で夜中に網皮を探しに行かないか心配していたのだが、彼にもそうしないだけの理性は有った様だ。
私達は空が白み始めるのを待ち、他の全員を起こした。
「すまない。トイレに行かせてくれ」
これが片桐の第一声だった。食堂から出て行こうとしている彼に断水である旨を伝えると、頷いて外でしてくると返事をしてきた。
片桐が戻ってきたのを契機として、全員で昨日調べた場所と同一の場所を各々調べることとなった。網皮の名前を大声で呼びながら探索を進めていく。が、結果は芳しく無く、一旦食堂へ舞い戻る。
偶然そこにいた武蔵野と内藤とお互いに網皮が見つけられないことを報告し合う。手元の時計を見ると、一時間程が経過していた。その時、叫び声が聞こえた。
私達は声が二階からのものだと判断すると階段を駆け上がっていた。その時頭の中では最悪の予想が出来上がっていた。
二階に上がり、声の発生源を求めてある部屋の扉を開けた私達を待っていたのは想像以上の惨状だった。
首なし死体が転がっていた。
部屋の中には既に秋野雲母と音無無音が既にいた。秋野は涙目になっていた。音無も少なからず衝撃を受けている様だ。
「大石、これは……」
片桐の言葉に頷き、答える。「殺人事件だね。密室では無いけど」言ってて恥ずかしくなった。
その後、片桐の手により、全員が死体のある部屋へと集まった。死体を九人で囲む。橋下の着ている服が同一であるとの証言で、愈々死体が網皮であることが確信がついた。
「この中に網皮さんを殺した人がいるなら正直に申し出てくれ」
との片桐の言葉に当然と言うべきであろうか誰も手を上げなかった。
混沌の恐怖 芥流水 @noname
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。混沌の恐怖の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます