第7話 ソファーの下 再 その1
拝啓、ソファーの下の貴方
はじめまして、と言っていいのかわかりませんが、自己紹介をさせていただきま す。
私は矢島トウノと申します。
セミの声に、奈良の暑さを思い出す今日この頃ではございますが、貴方様におい ては、体調にお変わりありませんでしょうか?
普段、クーラー等の冷房器具を使わぬ私でありますので、締め切った和室に居ら れる貴方には、いささかつらい季節だと思われます。
貴方との出会いから、早、三ヶ月が経とうとしております。
最初こそ、怖がっていた私ではありますが、こうも同居が続きますと、腕のみの 貴方にもなにやら、妙な親近感を覚えてまいりました。
さて、私には一つ、貴方に謝りたいことがございます。
以前、私の靴下の片方を持って行ってしまった時のことです、思わず私はひどい 言葉で怒鳴ってしまい、貴方は驚いてソファーの足の部分に腕をぶつけていまし たね、次に見えた時には、貴方の手の甲に引っかき傷のようなものが見えたで、 私のせいで怪我をさせてしまったのだと、心痛めておりました。その節は大変申 し訳ございませんでした。
そのお詫び、というわけではないのですが、先日実家より大量の野菜が届き、そ れを使っての焼肉パーティーを企画しております。もし、ご都合悪くなければ、 是非、参加していただきたく思います。
お返事お待ちしています。
矢島トウノ
拝啓、ソファーの下の君へ 秋茄子 @isiimeguru12
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