花はなハナ
桐塚マリア
第1話
俺は、10歳年下の少女に恋をした。出会ったのは市立の図書館。様々な小説を片手に彼女はいたんだ。そんな麗しく幼い少女に恋をしたんだ。
何回か話したことはある。彼女は、三日月 里菜という近所の花月中に通っている。ちょうど俺はそこの卒業生なんだ。ちょうどよい接点があった。国語が好きで理科が苦手。図書館には本を借りるのと、勉強しに来ているそうだ。何度か理科を教えたり、ジュースを一緒に飲んだりと、そこそこ知り合った。
ある日、決意した。彼女に、せめて思いを伝えようと。
夕焼け空、俺と彼女は図書館を出て、ふらふらと家路につきだしたころ。彼女は学校であったことを話してくれる。俺は相槌をうち、相槌をうつ。彼女が話を変える時、俺はカバンから白薔薇の蕾を取り出す。
「あのさ、これ、あげるよ」
そして、彼女に捧げる。
「ありがとうございます。白い薔薇の蕾、花言葉は確か、愛するには若すぎる。ですね」
と、メガネを上げながら微笑む彼女。俺はうん、と言う。
「それじゃあ、私がオトナになったら迎えに来るのですね」
と彼女。少し開けて、待ってますからって言う。
「ああ、迎えにいくかもな」
と、曖昧な返事をする。けれど、本当は迎えに行くつもり。彼女に、お似合いの彼氏ができていなければの話だが。
花はなハナ 桐塚マリア @yuuyuaka
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