絵空事
「お前には失敗してほしくないんだ」
そう何度も繰り返していた父は、人生のことをマーク試験か何かと勘違いしていたような節がある。
例えば交差点。差し掛かると空中に文字が浮かび上がり、以下のように選択肢が提示される。
どこへ行こうか?
1.右
2.左
3.直進
4.来た道を戻る
この四つのうちどれか一つだけが正解であり、それを選んだ場合にのみ何らかのスコアが加算される。選択肢を選んでさらに進んだ先にも交差点があり、そこでも同様に選択肢が提示される。そのようなことを繰り返していく。そしてその日が終わるころに一日分の答え合わせを行うのだ。
本日選んだ選択肢と、本日選ぶべきだった選択肢、その二つがどこまで一致しているか。その正答率によってその日のスコアが決まる。そのスコアは「どれだけ良い一日を過ごせたのか」の指標となる。そして高いスコアを取り続けていけば、その人は幸福な人生を送れるのだ、と。
そのように父は考えていたのではなかったろうか。
「俺は間違いばかりを選んできてしまったから」
今ではもう確かめる術もない。
大多数の人が気付いている通りもちろんこの世界はマーク試験ではなく、限られた選択肢が提示されることも少なければ、正しい答えも設定されていない。スコアなど存在しないし、例えあったとしても他人と比較もできず、何の基準にもなりはしない。
そのことに俺がようやく気付いたのは、随分といろいろなことが手遅れになってからだった。
***
空を塗る仕事をしている。
そう言うと聞こえはいいが、その響きから想像されるほどロマンチックな代物ではない。俺が塗っているのは本物の空ではなく、絵画の空でも写真の空でもない。実在しない空を塗り、俺は生計を立てている。
現在世界で流行中、史上最大のヴァーチャル・リアリティ・ネットワーキング・サービス、『ワールド』。その運営会社のグループ会社の子会社の下請けの下っ端が、俺の今の役職となる。莫大な利益と遠大なやりがいを持つ仕事は社会のもっと上層部にてかっさらわれ、俺のところまで落ちてくるのは業務を砕いて篩にかけて落ちてくるものをろ過してなお濾し取れないような、雑務の中でも生え抜きの雑務だ。目と手と体力さえあれば誰にだってできる仕事で、最悪意識も必要ない。
VR技術の発達により、簡潔に言うと、人々はネット上に存在できるようになった。ディスプレイ越しのやり取りはすっかり時代遅れとなり、ネット上の架空世界に各々の主観を宿したアバターを送り込んで、そこでコミュニティを形成するのがもっぱら今のやり方である。アバターを通じて行うやり取りは互いの表情や息遣いを敏感に反映したものであり、そのリアルさは文字や写真を通すしかない他のSNSを圧倒した。無論、その「リアルさ」も架空のものではあるのだが。
さて『ワールド』について。これが大流行に至った要因の一つとして、多種多様なフィールドが用意されていることが挙げられる。中世ヨーロッパのような荘厳な街、SFチックな宇宙ステーションの中、緩やかな空気の漂う温泉街、あるいは広大なサバンナ、剣と魔法の世界まで。冒険に興じてみたい少年も、多忙な日常から離れたいサラリーマンも、若いころの肉体を取り戻したい老人も。あらゆる欲求を『ワールド』は叶えてくれた。
新しいフィールドは現在も増え続けている。人々の興味を引き付け続けるためには、変化と改善を繰り返していくことが必要不可欠だ。そのための魅力的な世界を新たに設計するのは本社で働く才能豊かなエリートたちの担当で、実際にそれを作るのが下請けの仕事。その中でも特に些末な仕事がフィールドのエラーチェックであり、昔のゲームで例えるならキャラクターを操作して壁にぶつからせ続けていくデバッグみたいなものだ。すり抜ける壁がないか、手に持てないオブジェクトがないか、空白になっているスペースがないか。そんなことを虱潰しに点検していく。
その中でも特に退屈なのが空の点検。壁にぶつかる仕事でさえ、ぶつかる壁があるだけまだマシだ。空担当ができることといえば、目視確認だけなのだから。
非実在の空をひたすら見る。おかしな欠けやムラがあったらそこを塗りなおす。
そして同じ作業を延々と繰り返していく。
それが三十路を超えた俺の、退屈極まりない仕事。
***
「一番大切なことが何かわかるか?」
そう師匠が言う。向かいの席に座る彼は師匠と言っても俺と同じくヒラであり、ただ俺よりも数年早くこの担当に就いただけなのだが、なぜかこいつは「師匠と呼べ」と俺に要求してくる。断るのも面倒くさく、俺はその要求に従っている。
「それはな、本物の空とは同じようには塗らないことだ」
誰もが日常から離れたくて『ワールド』を訪れる。なれば、我々のすることは非日常の空を用意することだ。
そう滔々と語る師匠の仕事ももちろん俺と同じくただの保守点検であり、決して彼がフィールドにおける空のデザインを担っているわけではない。それなのに何らかのプライドと信念をもって彼は仕事に携わっているらしい。そういった妙な熱意が周囲と噛み合わず、以前のチームでは厄介者扱いされて、閑職である空担当に回されたわけだ。数十人が職務に励むこのオフィスの中で、空担当の俺たちの机は二つ、隅っこの方に追いやられている。
「不自然さ。それをある程度感じさせることが大切なのだ。手法はなんでもいい。空に完璧な美しさを宿すということでもいい。敢えて不連続な部分を残しておくのでもいい。いずれも不自然さにつながることだからな」
俺は生返事を返す。彼が求めているのは有益な討論ではなく、ただ黙って聞いてくれる相手である。俺はそのことを経験から知っている。事実、少しでも反論を述べようものなら、彼は急に不機嫌になる。
「おい、聞いているのか?」
「はい、師匠」
お決まりのやり取りは定時が来るまで何度も繰り返され、それを毎日繰り返し、俺は今までに何度「はい、師匠」と言ったのやら、もうさっぱり見当がつかない。
***
休日の過ごし方がよくわからない。
適当に街を散歩して、コンビニでサンドイッチとコーヒーを買って、通りすがった公園のベンチで飲み下す。こういったことをよくするのだが、不審の目を向けられることも多い。特に子連れの女性からは。子連れの女性は怪し気な三十代独身男性をとことん敵視する。怪しげな三十代独身男性に故郷を焼き払われた過去でもあるのだろう。
小さなショルダーバッグの中には、日焼けした文庫本と塗料があちこち剥げたオーディオプレーヤーが一応入っている。入っているだけでほとんど出さない。こいつらの楽しみ方を、いつの間にか俺は忘れた。そのうちひょっこり思い出すだろうと、常に持ち運ぶようにはしている。
じゃあ公園のベンチで俺は何をしているのかというと、ただぼんやりと空を見ている。仕事熱心なわけではない。俺が空から何かを学んだことはない。それでも空を眺めるのは、単にほかのものを眺めるよりは幾分かマシだというだけだ。
どこかで何かが転ぶ音と、何かが泣きわめく声と、何かを慰める女性の声が聞こえる。大丈夫、心配ない。大丈夫、心配ない。女性の声は繰り返す。
俺はベンチから立ち上がる。泣き声は聞いていて楽しいものではない。辺りを見回すと案の定、転んだのであろう子供の頭を女性が優しく撫でている。その光景をぼんやり見ているとふと女性と目が合い、彼女は眉をひそめて険しい目つきになる。俺は慌てて目を逸らし、はて彼女の故郷を焼き払ったことはあったかなと記憶を探る。そんな過去はもちろんない。
どこへ行こうか迷い、結局帰宅することにする。ポケットに手を突っ込んで、歩きながら俺は小さく呟く。
大丈夫、心配ない。大丈夫、心配ない。
***
「一番大切なことが何かわかるか?」
そう師匠が言う。
「それはな、我々が最終製品の出来栄えを左右しうる立場にあることを忘れてはならない、ということだ」
師匠の言う一番大切なことをかき集めると、啓発本が一冊書けるくらいの数にはなっているはずだ。その八割くらいが何らかの心構えを説くものであり、それを実行するにあたっての具体的な手段については一言も触れられていない。残りの二割は一般常識だ。
いつもの通り適当な相槌を打っていると、師匠が苛立たしそうに文句を言う。
「お前は本当にぼんやりしたやつだな」
「そうですね」
「アレだろ、どこだっけ、割といい大学出てんだろ?」
「そうですね」
「じゃあ頭は良いんだろ」
「そうですね」
「なんでこんな有様になっちまってんだ?」
俺は答えない。パソコンの画面を睨み付け、境界線を越えて雲の中に空が滲みだしている部分を見つけ、手作業で修正する。
「そうですね」と俺は言う。
その日の午後、回覧資料が俺の机に届く。しばらくしてから実装されることになる新しい架空世界の概要が記されており、その空を保守点検するのももうじき俺たちの仕事になるらしかった。
新しい世界の名前は『アース』。
その架空世界は、現在の地球をまるまるコピーしたものだった。
***
問題を解くのが得意だったから、俺は自分が優秀な人間なんだと勘違いしてしまった。
そう勘違いしていたのは親父にしたって同じことで、失望させてすまなかったなと思う。
しかし社会に出てから実際に優秀だとされるためには、人当たりがよく、フットワークが軽く、他人を頼ることがうまく、他人から頼られることがうまく、何をするべきかを見つけ、何を言うべきかを察し、何をやりたいかを思い付くことができる、そういった類の能力をあらかた身に付けておく必要があるらしく、さらに俺の引き出しの中にはそれに該当するようなものは何一つ入っていないらしかった。
俺は俺を見失った。
この前、ふと思い立ってジャポニカ学習帳の「じゆうちょう」を買ってみた。
何を書けばいいのか思いつかず、じゆうちょうは今も真っ白なまま俺の部屋で埃を被っている。
***
『アース』の実装が正式に発表され、テストユーザーが募集されると、全世界中から一億をはるかに超える数の応募が殺到したそうだ。
それは人々にとってもはや現実が必要なくなったのだということを、端的に表しているように俺には思えた。
***
「本当に一番大事なことが何なのか、わかるか?」
そう師匠が言う。
「それはな、俺の言うことに正しいことなど一つもない、ということだ」
俺はディスプレイから視線を外し、向かいに座る師匠を見る。彼が自己否定的な言葉を口にするのはこれが初めてだ。知ってたんですか、と言いたくなるのをなんとか堪える。
「俺を含め、正しいものなどこの世に何一つして存在しない。あったとして6×7が42になるくらいのもので、それ以外は全て正解ではない。そんな中で、我々はどうにかうまくやっていかなくちゃならんのだよ」
机の端に置いてあった紙コップを手に取る。いつ淹れたのかも覚えていないインスタントコーヒーは、もうすっかり冷たくなってしまっている。
「じゃあ」と俺は言う。言いながら、俺がこの人に質問するのなんて何年ぶりになるかな、と考えている。「どうすればいいんですか? 何一つ正しくないらしいこんな世の中で、うまくやっていくためには」
「自分で考えろ」と師匠は言う。
それが師匠と交わした最後の会話だった。次の日には師匠の席はきれいさっぱり空っぽになっていて、彼が出社することはもうなかった。上司に聞くと、ずいぶん前に退職願は提出されていたそうだ。
それ以来人員の補充もなく、俺は一人で空を塗り続けている。
***
地球の半径はおよそ6,400km。空の面積が地球の表面積と等しいと仮定して、空の面積は4×6,400×6,400×円周率、ざっと計算して51,000,000平方km。この数字を上がどう考えているのかはわからない。多いと考えるのか、少ないと考えるのか、それとも気にしたことすらないのか。ともかくこの範囲の空を、俺は一人で見守っている。
『アース』が稼働し始め、俺が『アース』の空を保守点検するようになってからおよそ1か月が経つ。幸いなのは他のワールドの保守点検をほとんどしなくてよくなったことだ。『アース』は大盛況、他のフィールドはもうすっかり寂れてしまっている。人口が激減したその他フィールドにまだ居着いているのは廃墟が好きか、孤独が好きか、あるいはその両方かの変わり者だ。そいつらのためだけに割く労力は生憎持ち合わせていない。
誰とも会話をする必要がなくなったおかげで、俺は仕事に集中できる。
赤く揺れる朝焼け。澄んだ明け方。圧倒的に青い昼下がり。沈みゆく夕方。静かな夜。早送りで目まぐるしく移り変わる空は情緒を感じさせる余裕もなく、俺はただ淡々と、夕方のニュースを見るように空の点検を続けている。どうやら元の設計者が優秀なようで、『アース』の空には綻びがほとんどない。どこかを塗る必要もなく、俺の仕事は空を見るだけのものに成り下がる。
空を早送りする。次の場所に移る。空を早送りする。次の場所に移る。
定時が来る。
この日俺が点検した空は面積にしておよそ100平方km。
残る未点検の空は、およそ99.96%。
***
街から、徐々に人の姿が減っていっている気がする。
ワールド本社は、莫大なその利益を惜しむことなく『アース』のサーバ増強に投資している。噂によると、もう既に全人類が『アース』に同時アクセス可能になっているらしい。
そうしようとさえと思えば、この社会は画面の向こうにそっくりそのまま移り住むことができるのだ。現実社会の、気に入らない部分だけを切り捨てて、なかったことにして。
何故『アース』がここまでヒットしたのか。俺は阿呆なりに考えてみる。他のファンタジックでノスタルジックでエキサイティングなフィールドにはなくて、『アース』にだけあったもの。それはおそらく、現実らしさってやつなのではないだろうかと俺は思う。
以前のワールドは架空世界であることを前面に押し出していた。現実から離れて新たなコミュニティを築けるということがワールドの売りであり、そのためには非現実的な要素を含むことが必須となっていた。しかしそれは裏を返せば、ワールドがあくまでも現実逃避の手段に過ぎないということでもあった。
『アース』は違った。実際の世界とそっくり同じように作られたこの世界は360度隙のないリアリティで固められており、その中で新たな現実を築くことが可能となったのだ。過去に仕出かしてきた失敗も不運も、全て帳消しにした上で。
結果として『アース』の中に作り上げられる新たな現実は、実際のものよりも「より良い現実」となる。従って、より悪い方の現実である旧現実、実際の現実はないがしろにされることになる。悪い境遇の中に埋もれていたいと思う人間なんて、そういるわけがない。
そういうわけで、架空の街に人が流れ込み、実際の街には人がいなくなった。暇な時間を今でもこちらで過ごしているのは、小さな子供と、老人と、そして俺のようなひねくれ者だけ。
ぼんやりと、俺は街を歩く。
車はほとんど通らない。思い出したようにトラックが通りがかかって、なんとかこの社会の物流を成立させてくれている。コンビニエンスストアは減り始めている。小さな個人商店も同じく。大きな百貨店やショッピングモールだけが今も辛うじて活気を保っている。信号は光っているが、交通量の少なさのせいでそれを守る意味はもう薄れてきている。赤信号だろうと構いなく、俺は横断歩道を渡る。
親に連れられていないとおかしい年頃の小さな子供が一人で道をうろついていて、歩道の縁石に躓いて転ぶ。ひざと腕を思いきりすりむいて、子供は泣く。その頭を優しく撫でる人は誰もいない。非常に残念なことに。
子供を横目に俺は歩く。泣き声は少しずつ小さくなっていき、やがて聞こえなくなる。
口の中で俺は小さく呟く。
大丈夫、心配ない。大丈夫、心配ない。
心配なんて、あるはずもない。
***
平日は出社し、ひたすら空を見て、定時になると帰る。
休日はどこへ行くでもなく徘徊し、適当に時間を潰す。
それを繰り返し、どれほど経ったか分からない。
いつの間にかオフィスにいる人の数も半分ほどまで減っている。誰がいつ辞めたのかも俺は知らない。そもそも同僚の顔も名前も、俺はろくに覚えちゃいない。
空を早送りにする。次の場所に移る。
何故この仕事を続けているのだろう。『アース』の空に、俺の手による修正が必要だったことは一回もない。よっぽど最初の仕事が丁寧だったのか、それともこの空は自己修復機能でも備えているのか。後者だとした場合、俺の存在にはいよいよ意味がない。
空を早送りにする。次の場所に移る。
イライラすることも不安になることも最近はなくなった。もっとも、嬉しかったことも楽しかったこともあまり思い出せない。何かをすり減らしてしまったのだと思う。そしてそれは、結構かけがえのない何かだったに違いない。
空を早送りにする。次の場所に移る。
「正しいことなど一つもない」いつか聞いた言葉を思い出す。「その中で、どうにかうまくやっていかなくてはならない」
空を早送りにする。次の場所に移る。
師匠。俺は結局わからないままですよ。何が正しいか何が間違いかとかそんなことではなくて、自分がどうやればうまく生きていけるのか、たったそれだけのことを。それが分からないままだから俺は『アース』に行く気にもなれないんだ。俺はきっと、また失敗してしまうから。
空を早送りにする。
いったん手を止める。温くなったインスタントコーヒーを飲み下して、凝り固まった首を大きく回す。ついでにオフィスの様子をうかがう。いつの間にか昼休憩に入ったのか、ほとんど人はいなくなっていた。何をしても、誰に見咎められることもないだろう。
正解ばかりを選ぼうとしてきた俺は、失敗を恐れるあまりに身動きが取れなくなってしまった。周囲が提示する良さそうな選択肢を適当に選んでただ流されるまま生きて、結果として今ここにいる。何もせず、何も考えず、何もできずに、俺は日々を食いつぶしていく。消しゴムみたいな人生だ。自分の身をすり減らしながら、1日1日を消していく。あるいは消されていく日々こそが俺の人生か。どちらにせよ、最後に残るのは滓だけだ。
わかっているんだ。例え間違えてしまったとしても、行動を起こす者は、行動を起こさない者よりも圧倒的に優れているってことは。
次の場所に移る。
だから俺は、一度だけ、思い切り間違えてみることにした。
***
青い空のど真ん中に、小さく、小さく文字を彫り込んでいく。
天体望遠鏡で偶然覗かなければ見えないような大きさの、誰にも読めない小さな言葉を。俺だけがそこにあると知っている言葉を、俺は空に書き込んでいく。
まるで祈るように。願うように。
これが嘘ではありませんように、と。
現実を捨てた人々が仰ぎ見る架空の空の中に、俺は俺の言葉を、刻み付けた。
***
俺はここにいる。
***
空を塗る仕事を続けている。
実際楽な仕事であり、ちゃんと給料が支払われることを考えると、離職する理由も今はない。
変わり映えの無い作業に飽きたら、俺はあの文字を読む。空に刻まれたそれを見て俺は『アース』にいる人々に対して妙な優越感を覚え、それをもって気晴らしとしているわけで、なんとまあ器の小さな人間かと我ながら思う。
しかし万が一、『アース』の人々が本当の現実を忘れてすっかり向こうに居座ってしまった上で、何かの間違いで俺の書いたあの文字を見つけ、「これは神のいたずらか」と騒ぐようなことがあるかもしれないと想像すると、俺は口角が上がるのを抑えられない。
空を早送りする。次の場所に移る。
この日俺が点検した空は面積にしておよそ100平方km。
残る未点検の空は、およそ90.19%。
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