最初は最近ありがちな題名のラノベなのかなぁと思い手を伸ばしてみた。
(書籍で読んだわけではないけど)
ところが読後に抱いた感想は一転し、なんと軽妙洒脱な物語!
作者の慧眼を思えば幅広い年齢層に訴えるための工夫に違いない。
作中の言葉遣いやテンポも心地良く、美しい景色や香りが活発な自販機の精の様子と相まって脳裏で再現され、読書中非常に楽しく、またノスタルジックな思いに浸れた。(終わりへ向かうのが寂しくなるほどに。)
何より特徴的なのが度々登場する詩だと思う、調べてみた所明治のものだとか。筆者の文学と神道の博識さに脱帽した。
【当たりのおまじない羨ましいな、自販機の精の詩と香り気になるなと思いました。
そして〽の記号にハマった。笑
無料で読めて良いのかと疑うほどのクオリティだったので是非書店で購入して手元に残しておきたいと思います。
次回作楽しみにしてます!】
彩り豊かに紡がれる、付喪神との恋物語。
いつまでも変わることのない彼女は少年にとって故郷の象徴だった――
目を引く一方で、一発ネタかと思ってしまう題名に、おそるおそる開くと美しい文体が飛び込んできた。私は小説を楽しむとき、想像したときの絵面の美しさが先に来ることが多い中で、この物語は聴覚に訴えてきた。
何気ない会話が、やりとりが、惚れてるのだと叩きつけてくる。
難攻不落にも見えたヒロイン、壁は高い中で老いることのなかった彼女にも変化が訪れる。結末は予想はついていたけど、それでも安堵と喜びでニヤリとしてしまう。
とりあえず想像してもらいたい、美人のお姉さんが自販機に花をまいている姿を。萌えてしまった人は読むべし